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雨の後先  作者: こなつ
2/2

白雨

驟雨の裏側。

 地面を叩きつける雨。

 けぶるふたつの人影。


 竹林を抜けると車道にでた。

 ぽつぽつと現れ始めた民家。


 その中の一軒、椿に囲まれた平屋。

 促され、中へと踏み入る。

 勢いよく引き戸が開かれた。



「ただいまー」


「誰か居るん?」


「たまに」


「へぇ」



 ここ、ほぼ空き家って言ってなかったっけ?

 法事か長期休暇宿代わりに使う位だって。



「この間、いとこが連れ込んでた」


「……まじですか」



 なんとなく、気まずい。


 手渡されたタオルを見るフリをして、火照る顔を隠す。

 でかでかとプリントされた土建屋の屋号。



「おー、レトロ」


「今もやってるっての。こういうやつのが使いでいいんだよなー」



 無駄口を叩きながら、ふたりしてガシガシ頭を拭く。



「シャワー浴びてこいよ」


「んー」



 風呂場に入って、速攻でシャワーを浴びる。

 雨で冷えた体が温まりひと心地する。


 扉越し、脱衣所に入って来たことがわかる。



「タオルと着替え、置いとくー」


「おー」



 風呂場からでて、着替えに手をかける。


 ……ん、なにこれ?

 浴衣??



「おさきー」



 首にタオルをかけて胸元を隠す。



「飲みもん、ここ置いとくから後は適当にやってて」


「んー」



 返事もそこそこに畳の上に寝転ぶ。

 とてもじゃないが、はだけすぎてどうしていいかわからん。



 ガラス瓶を手にぐっと飲むしぐさが破壊力抜群。

 イケメン、爆発しろ。


 そんな内心はおくびにも出さず。



「なに、これ」


「ティーソーダ。ここら辺で国産紅茶作ってんだよ」


「へぇー、おもしろー」



 ちらっと見上げる。


 なんか、いいな。

 こういうの。



「ふふっ、至れり尽くせりー」



 顔を上げて、一言。



「まぢ、嫁にほしー」


「オコトワリデス」



 本心を潜ませた言葉は速攻で叩き落とされる。



「ひど、即答?」



 ヤメテ、冗談でも傷付くわ。


 キュッと胸が軋んだ。



 そんなことを考えていたらすぐそばに、奴がいた。



「俺、もらうほうがいいんで」


「……」



 耳元で囁かれる、そんな距離。



 ナニヲ イワレタ



「シャワー、あびてくる」



 固まったまま置き去りにされる。



 外が明るい。

 じき、雨があがる。

驟雨白雨ともに急にどっと降りだして暫くするとやんでしまう雨、夕立などですが、驟雨には馬が駆けるような疾走感、白雨には雨が白っぽく見える様子と少し違ったものらしいです。

ふたりの見え方の違い、みたいにできたらと頑張りました。

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