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43 アデルたちの答え合わせ




「それは、俺ではない‥‥」


肩を震わせるルークに、本日初めてアデルは動揺の色を瞳に滲ませた。


「何を言って‥‥‥‥」


「俺は、そんな指示はしていない‥‥‥‥そうか」


その言葉にアデルは黙り込み、反転、ルークは自嘲するように鼻で笑った。


「俺は、また裏切られたのか」


その言葉は、誰に向けられたものなのか。しかし、何かがアデルに響いたのであろう。彼は、先ほどまでの勢いをなくし、沈黙している。


「笑ってしまうな。俺の優秀な側近は、悉く俺の意思に反して裏切っていくなんて」


「まだ、そうと決まった訳では」


「黙れ」


もしかしたら、ルークのためにやった事かもしれない。その希望を込めてアデルは声をかけたが、その言葉は儚く散っていった。


「我先にと裏切っていったお前が、なにかを言う権利などないだろう」


「‥‥‥」


重たい沈黙が流れる。誰も、何も、言うことは出来ない。身動ぎすら許されないような空気だ。その最中で。

また、新たな人物が、ここに投入された。


「ちょっと、なんの騒ぎ?」


屋敷に入ってきたのは、ロイド・ビリアンだった。被っていた帽子を脱ぎ、戸惑いながらも笑顔を見せる。この空気の中で、その振る舞いは見上げたものである。


「お久しぶりですね、兄上。この騒ぎはどうしたのですか?」


「‥‥‥‥」


口を開こうとしないルークに変わり、アデルがロイドの方を向いた。


「ビリアン家の者とのコンタクトを最後にケイト様がいなくなったので、探しに来たのです」


アデルがことの顛末を全て話すと、ロイドは深いため息をついた。


「俺が考えていた中で一番嫌な結果が聞けたよ」


「どういうことですか?」


「結論から言おう。多分、黒幕は叔父様だ」


「?!」


叔父様とは。ルークたちの叔父であるノーマンである。当主争いの筆頭格であり、何かと同じ候補者のルークやロイドの妨害工作を巧妙にやってのける人物であった。


「何を根拠に‥‥」


「だって、最後に関わっていたのは、シオンでしょう?」


「そう、ですが」


「シオンは、既に叔父様に寝返っている。その事実は、ルークも気づいているんじゃない?」


ロイドの言葉に、ルークは力なく頷いた。そして、ゆっくりと首を持ち上げる。アデルと目があい、そこには迷いがあった。それに、アデルはたじろいだ。


「お前も‥‥‥アデルも、叔父上のもとに付いているのではないのか?」


ルークがロイドに訊ねると、ロイドは首を振った。


「それも俺は考えた。けれど、彼は白だよ。アデルは、完全にケイト様一択。ケイト様も叔父様と繋がっている素振りはなかったしね」


アデルが答える前に、ロイドがその質問を受ける。


「まったく。叔父様が君たちと手を組む前に、俺が提携しようと思ったのに。ケイト嬢は言うことを聞かないから」


「ロイド様は‥‥‥」


自分の声が震えていることに気づき、アデルは一度口を閉じた。


「ロイド様は、ずっとノーマン様を疑って、動いていたのですか?」


「ああ、そう。君たちに賄賂リストを盗んでと頼んだけど、あれ賄賂リストではないから」


訳が分からず、すがるようにアデルはロイドを見上げた。ロイドは呆れたように首を振る。


「真面目な兄上がそんなことする訳ないだろう。あれは、他でもないノーマン・ビリアンが関わった要注意人物・会社の名前だ」


N Bリスト。Noble(貴族)Bribe(賄賂)だと思っていたが、ノーマン・ビリアンのイニシャルだったのだ。


「そのリストの中に、新聞社の名前もあっただろう?あの会社と繋がっているのは、叔父様だ。あの記事を書かせたのも、恐らくそうだろうと思う」


「では、なぜあのように僕たちが勘違いするようなことを言ったのか」


「確実に俺のところに引き入れるためだよ。失敗したけどね」


「‥‥‥」


飄々と言いのけるその姿に、アデルはクラクラするのを感じた。今まで自分が警戒していた人物はなんだったのか、と。


「さて、ケイト嬢のいる場所はあたりがついている。これから行くよ。‥‥キャメロン。ここは任せてもいいかな?」


「ルーク様は、どうして欲しいでしょうか?」


「俺は‥‥‥」


キャメロンは、あくまでもルークに指示を仰いだ。ルークがハッとして、彼を見上げると、そこにはただ優しく微笑むキャメロンがいた。ルークは一度目を閉じ、息を吸ってからアデルを見据えた。


「俺も、行く。叔父上には納得いかないことが沢山ある。直接、文句を言いに行ってやる」


ルークの言葉に、ロイドが口角を上げた。


「それじゃあ、ケイト嬢救出大作戦といこうか」





救出隊の団結と、決行が決まり、後はケイトを助けるだけとなったのだがー‥‥


一方、その頃のケイトはというと。



「サザンジール家は邪魔でしかないからな」


「その通りですね」


「それに、娘が王家に嫁いだら、俺に有利にことを進められるだろう?」


「まったくその通りです」


「‥‥‥‥‥」


ケイトが囚われている、屋敷の当主であるノーマンとアデルの兄のデヴィッドとの会話を盗み聞きしていた。



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