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33 あの男、再び




なんでこいつがいるんだよ‥‥‥


用事を思い出したフリをして、その場を離れた。いつの間にかはぐれてしまっていたアデルとサイモンを探す。


実は、あの男。あの後、婚約者からは婚約破棄をされ、また公の場で醜態を晒した為に、社交界から爪弾きに遭っていた。

つまり、その原因をつくった私は、彼の恨みの対象であるということ。一瞬話しただけでは、私の正体は分からなかったようだが、あのまま話し続けるのも危険だろう。


あの男がまさか、ここに来ているとは思わず油断していた。が、よく考えれば当たり前かもしれない。

ここは、仮面を被る集まりだ。爪弾きに遭っている者でも、誰が誰だか分からない為、仲間外れにされることはない。

‥‥‥それをいいことにハーレムつくってるのは気に入らないけれど。


それにしても、アデルとサイモンが見つからない。どこを見ても、仮面、仮面、仮面。

ねっとりとした空気がそこらで流れていて、気を抜くと飲み込まれてしまいそうだ。


急がなきゃ、と私が再び歩き出すと、後ろから手を引かれた。誰かと思って振り返ると、あの男だった。名前は‥‥そうだ。フレディだったっけ。どうやら、私を追って来たらしい。

もしかして、私の正体に気付いて‥‥‥


「向こうで、お茶しませんか?マドモワゼル?」


ゾゾゾと腕が泡立つのを感じた。


やめてくれ。そんなキザなセリフは、実写では許せない。そんな声で言われてもときめかないから‥‥!

というか、そんな台詞を吐くなんて、私の正体に気付いてない?いや、これは罠という可能性も‥‥‥

そんなことに思考を巡らせるも、意味をなさない。


「いやはや、仮面越しからも溢れ出る貴方の美しさに、胸を打たれてしまってね‥‥」


そのまま、私の肩に触れてくる。その瞬間から、鳥肌が立ち、私は彼の手を振り払った。


「け、結構です!」


そのまま、私は彼を振り払うように歩いていくが、彼はめげずに何度も話しかけてくる。


「本当に、やめてくださいません?迷惑です!」


流石に無視を続けるのも限界がきて、振り返り、彼に訴えた。

しかし、私の言葉に、彼はクスクスと笑うだけだ。その様子を不気味に思い、周りを見やると、いつの間にか人がいない場所に来ていたことに気づいた。誘導されていたのだ。


「誰かっ‥‥‥」


助けを呼ぼうとするが、すぐさま口を塞がれてしまう。


「実は、ついこの間、とある女のせいで婚約破棄をされてしまったのですよ」


「‥‥‥」


「お陰で、社交界でも酷い目に遭わされて、色々大変だったんですよ」


なんとか、魔法を繰り出そうとするが、うまくいかない。すると、それに気づいたらしく、私は勢いよく壁に押しつけられた。その拍子に、カラリと仮面が落ちる。


「どうやって、落とし前をつけてもらいましょうか?‥‥‥サザンジール嬢?」


「‥‥‥‥っ」


やはり、私のことには気づいていたようだ。かなり、まずい状況だ。どうしたら、ここを抜け出せるか。

しかし、捻りあげられている手首に痛みが走り、思考が停止する。力では、まず勝てない。

魔法で怯ませるか。しかし、相手はそれも予想済みだろう。何より、相手も魔法を持っているはずだ。もし、赤の魔法を使うなら、分が悪い。炎は、圧倒的な攻撃魔法だからだ。

‥‥‥これって、詰んでいるのだろうか。


「怯えてます?愉快ですね。啖呵を切って、ワインをかけたあの時とは、似ても似つかな」


私は、彼の言葉が終わる前に、私の口を塞いでいる手を思い切りよく噛んだ。同時に、彼の足もヒールで踏んでおく。一瞬だが、私を締める手の力が緩んだ。

そのまま、脱兎の如く逃げ出す。兎の仮面なだけに。

しかし、少し進んだ先で、私の足元に炎が燃え上がる。


「っ!」


「逃げないで下さいよ」


相手は、赤の魔法を使う人間だったようだ。


「‥‥貴方!貴族の集まりで、勝手に攻撃系の魔法を使うのは、御法度のはずよ!」


「今更、貴族も何もないんでね」


青の魔法を使って、水で火を消そうとする。が、うまくいかない。多分、相手の魔法の方が強いんだと思う。相手の魔法が強ければ、本来火に勝つと言われている水でも負けることはある。そういう原理なのだ。

炎は私を取り囲んでいて、一歩でも動けば、大火傷を負うだろう。しかし、この炎。魔法を発動した主は、全く熱くないのだ。フレディは遠慮なく私に近づく。炎のせいでその手を避けることが出来ない。今度こそ詰んだ。

そう、思った時だった。


「お前、何をしているのだ?」


誰かがフレディの腕を掴み上げた。誰か、というのは、兎の画面で顔が見えない為、判別がつかないからだ。いや、違う。

その声の主の予想を、私は確定したくないのだ。

フレディは、掴まれた手を振り払う。


「な、なんだよ。お前は!」


その声の主は、仮面を外した。その瞬間、赤銅色の髪が顕わになる。


「お前?おかしいことを言う人間もあるものだな。‥‥‥‥我がビリアン家に逆らうとは」


それは、紛れもなく、ルーク・ビリアンだった。

‥‥‥結果。私に恨みを持つ人物が増えただけだった。



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