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トリプルクラウンの争奪者  作者: 夏を待つ人


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60/60

60話 五十嵐陽翔と坂根勇気

 薄暗い道を楓は走っていた。

 少し息を切らしながら、一人暮らしの自宅への道を急ぐ。

 もう、結構夜遅い。

 試合は始まっている。


 今日の仕事は、ミュージックビデオの撮影だった。

 結構有名なバンドの新曲で、夢を追う誰しもにいつか現実が立ち塞がるだろうけど、それでも若者は立ち止まらず前に進めよ、みたいな応援ソングのビデオである。


 楓の演じたのは、俳優を目指して田舎から上京してきた若者というイメージ役柄だった

 毎日バイトして、演技の仕事はない、親からはいつ帰ってくるんだというメッセージが届く、現実に打ちのめされそうな若者だった。


 楓の出演するシーンはそれほど長くはないけど、カット割りが何回もあったし、四分ぐらいのビデオの撮影に、結構かかった。

 シーンの度に移動があって、こんな時間になった。


 帰ってテレビをつけると、もう試合は始まっていた。

 その時、打席に立っていたのは、陽翔だった。


「いった!!!! ライト、一歩も動けず! 五十嵐陽翔、先制ホームラン!」


 次の瞬間、実況アナウンサーの大絶叫が部屋中にこだました。

 上菅の初球を叩いた陽翔の打球は、ライトのフェンスを悠々と越え、ウォーリアーズファンの集うライトスタンドへ突き刺さった。

 先制のソロホームランだった。


「やった、やった!」


 楓は一人で騒いだ。


 今日は日本シリーズ第六戦。

 仕事が遅くなったら、試合を全部見られるか微妙だったが、なんとか試合の大半は観戦できそうだ。

 なによりも、陽翔のホームランの直前に帰宅できたことは、かなりの幸運だと思う。


 楓は適当に前日に作ったものや冷蔵庫にあったもので夕食を用意し、テレビの前で一喜一憂しながら試合を観戦した。

 我ながら一人での観戦としては熱を入れ過ぎだとは思うが、自然と力が入ってしまうし、一球一球にドキドキする。

 この試合に勝てば、カウボーイズの日本一が決まる。


 陽翔のホームランで幸先よく先制したカウボーイズだったが、四回に逆転を許す。

 それも若手右腕、山上宗次郎が緊急降板した上での二失点であり、どうにも不穏な形だった。

 初回に一点を取られたウォーリアーズエースの上菅だったが、二回以降は完璧な投球を見せており、カウボーイズにとっては苦しい試合展開に見えた。


 それでもカウボーイズの雰囲気は良く見えた。

 リリーフ陣がピンチを作りながらも粘り、打線へ望みを託す。

 特に六回から登場した守護神アレンビーの投球は、見ているこちらも感動を覚えるような、魂のこもった投球だった。


 対して、勝っているウォーリアーズはどうだろう。

 どこかチームの中に不協和音があり、カウボーイズに比べると、組織として一つになりきれていないように見える。

 そして、そのチームの一体化を阻害する原因こそ、森田監督であるかのように見えた。


 楓としては陽翔と、陽翔の所属するカウボーイズを全力応援する気持ちではいる。

 しかし、ウォーリアーズ森田監督の娘としての側面も楓は持っており、今のウォーリアーズを見ていると、あまりいい気分になれかった。


 第五戦のピンチの場面、父はここまでの好投の若手左腕、横峯に対し、陽翔と三浦への連続敬遠を命じた。

 横峯は悔しさで涙を流し、森田監督の戦略は世間的に物議をかました。

 若い才能の今後のことを考えると勝負させるべきだった、プロ野球はエンターテインメントで勝ちだけにこだわるのはおかしい、いや監督は勝つのが仕事だ、抑えられると判断されなかった横峯の力不足、など。

 この日本シリーズ自体の注目度が高いこともあり、ワイドショー、ネットニュース、SNS、場所を問わず、さまざまな意見が聞かれた。


 楓は、父の采配への批判は当然だと思った。

 ただの野球ファンの立場で見ると、あの場で陽翔たちと横峯の対決は見たかったし、横峯の涙を見ると、単純に可哀想だと思う。


 今日の試合、似たような場面があった。

 六回表ツーアウト二塁で、陽翔の打席に回ったとき、投手コーチはマウンドの上菅の元へ来た。

 なにやらマウンドでコーチと話していた上菅は、口元に笑みを浮かべていた。

 ダグアウトに戻ったコーチは、父と話していた。

 その時父は少し不満を持っているように見えた。

 そして、上菅は陽翔に対し真っ向勝負を挑み、見事三振に切って取った。


 この時の状況は容易に推測できる。

 十中八九、投手コーチは上菅に対し、監督が敬遠を命じているぞ、と言い、上菅はそれを拒否、戻ったコーチは監督にそれを伝える、監督は不満を持つ、そんな流れだと思う。


 しかし、楓はそこで疑問に思った。

 娘であるからこそわかるが、世間的に風向きが強い今だからこそ、頑固な父は自身の意思を押し通そうとするはず。

 わざわざコーチに敬遠するぞ、と上菅に確認させることもなく、勝手に球審に申告敬遠を伝えれば終わりだ。

 自身の心情を貫くなら、それが一番簡単だ。


 エースである上菅を尊重したとも思えるが、父自身、采配に迷いを生じているのではないかと思う。

 楓から見て、今シーズンずっとどこか采配がおかしいように思えた。

 より頑固というか、自身の目、選択、采配の正しさを証明したいかのような感じだ。


 おそらく、陽翔の活躍のせいだと思った。

 自分が捨てた選手が大活躍したせいで、父へたくさんの批判が浴びせられた。

 セリーグを圧倒的に力で独走したのにも関わらず、今シーズン限りの解任論もある


 父が見限った選手が、球史に残る大活躍をした。

 父の選手の才能・・を見る目に対し、懐疑論が噴出する。

 だから父は、自身の目の正しさの証明をしようとした。


 使える、使えない線引きを選手に対し強く引き、使える選手は徹底的に使う。

 使えないと判断した選手は、活躍しなくてもよいから全然使わない

 このシリーズでも、特にリリーフピッチャーの使い方では顕著だ。


 主力ピッチャーばっかり投げて、一度使えない認定されたピッチャーは全然登板しない。

 陽翔と人的補償移籍の一端を担った、FAでウォーリアーズにやってきた宮本は、第四戦にてロングリリーフで好投したのにそれ以外で登板がない。

 これまでの数年の成績により、重要な試合の接戦の場面では使えないと、既に認定されてしまっているからだろう。


 かといって、主力選手に対しても信頼している感じもしない。

 先の敬遠のように、主力選手に対しても非情な選択を簡単に取る。

 あくまで勝ちの確率と自身の正しさの証明だけを考えて、采配している。


 見ていて楽しくない。

 ただの野球ファンとして、楓は森田監督の野球をそう思う。


 逆にカウボーイズ大黒監督の見せる野球は、見ていて安心感があって、非常に楽しい。

 監督が選手を信頼していて、選手が100%、いや120%の力を出せるよう最大限の気を配っているのが見ていてわかる。

 陽翔は、カウボーイズにいったからこそ覚醒した、という論が世間一般的に浸透しているが、楓もそう思う。


 このシリーズ、陽翔にやられ続けた父は、もう自身が間違っていたこと、もう過ちを取り戻せず、野球人としての父の名声を取り戻せないことに気づき、采配に迷いが出てきている。

 父の頑固さにもとうとう限界がきて、崩れかけている。


 試合は四回に逆転したウォーリアーズが、そのまま逃げ切った。

 これで日本シリーズは三勝三敗。

 日本一の行方は、最終戦までもつれ込む。


 負けたのは残念だけど、楓は最終戦のチケットを持っている。

 今年の日本シリーズは始まる前から話題に事欠かさなくて、注目度が高かった。

 そして実際に戦いが始まってからも、熱戦続きで、陽翔、三浦、坂根、森本、上菅といった注目選手が前評判通りの活躍を見せ、注目度が指数関数的に増してきている。


 最終戦、どのような結末を辿るかはわからないけど、歴史に残るような日本シリーズになるのは間違いない。

 野球ファンとして、第七戦に立ち会えることを光栄に思う。

 そして、陽翔と父の因縁がどういう結末を迎えるか、どんな終着点を迎えても、受け入れ用に思う。


 ◇◇◇◇


 日本シリーズ第六戦を終え、坂根勇気が自宅に帰ったのは日付を跨いだ後だった。

 もう今日・・は日本シリーズ第七戦の行われる日だし、おそらく、24時間後には日本一のチームは決まっている。


 試合が終わって、1時間以上の時間をマッサージに費やした。

 坂根は30歳を今年迎えて、体のケアにかける時間を多くした。


 30歳は、野球選手としては油が乗った年齢だと思われるかもしれないが、20代前半みたいな若い頃に比べると、満足に体が動かないことも増えてきた。

 坂根は、20歳で名門ウォーリアーズのレギュラーとなり、10年間、大きな怪我もなくレギュラーとして試合に出続けた。

 その間、クライマックスシリーズには九回の出場、日本シリーズにも五回出場している。

 さらには、日本代表として本来ならシーズンオフの秋やオープン戦の時期に真剣勝負の

 舞台に身を置いた。

 この十年間、最も試合に出たプロ野球選手が坂根勇気である。


 帰宅して、電気をつけると、ただ広い空間が広がる。

 カーテンを開けると、東京の華やかな夜景が眼前に広がる。

 都内の高層マンションは、一人で住むにはどこか持て余してしまう気がした。


 日本シリーズは、傍から見たら盛り上がりに盛り上がっている。

 ウォーリアーズとしても苦戦しながら、日本一まであと一勝というところまできた。


 でも、どこか勝っているのにストレスの溜まる日本シリーズだ。

 プロ十年以上のキャリアで、こんなことは初めてだった。


 坂根としてもこの日本シリーズは楽しみたい。

 伝説的なパリーグの優勝争いを制したカウボーイズ、森本や三浦という日本代表でのチームメイトの日本最終年、五十嵐陽翔という令和のニューヒーロー。

 何度も日本シリーズという舞台を経験している坂根だが、ここまでわくわくのは初めてだ。


 この日本シリーズは、前評判通りの激戦となっている。

 両チームの主力が大活躍し、もつれにもつれ、ついに第七戦を迎える。


 野球人として、この舞台で戦えることに感謝し、全力で戦い、楽しむ。

 最高の舞台で最高の試合をできているし、坂根自身も過去の日本シリーズとは比べ物にならない、最高の成績の残している。

 でも、どこか心にしこり(・・・)のようなものがあり、この舞台を楽しめないでいる。


 それこそ、今のウォーリアーズに蔓延る森田監督を中心とする不協和音に他ならない。

 チームメイトたちが、監督の采配に疑問を持っている。

 第五戦の横峯に与えた連続敬遠の指示が話題になっているが、それだけではない。

 今シーズン、いやここ数年のシーズンで溜まってきたのもが積もりに積もり、不満を隠さない選手も増えてきた。

 その象徴的なシーンこそ、第六戦の上菅の敬遠拒否だろう。


 監督は、勝ち負けより自分の采配の正しさを証明するのに必死に見える。

 森田監督は以前から頑固な一面を持っていたが、それがより顕著になったのが今シーズンな気がする。


 森田監督に一層、頑な采配を取らせることになった要員こそ、敵である五十嵐陽翔であるように思う。

 否定した選手が球史に残る大活躍を見せ、監督は少なからぬ批判の渦の中心にいる。

 監督の本心は分からない。

 単に意固地になっているか、それとも落ちた名声を元の戻そうと躍起になっているか、わからないが、昨シーズンまでよりは采配に余裕が無いように見える。


 五十嵐陽翔。

 森田監督と因縁のある彼は、坂根にとっても少なからず思い入れのある元チームメイトでもある。


 初めて陽翔を見たときは2年前の2月、彼がまだプロ3年目のシーズンを迎え、初めて一軍キャンプに帯同した時のことだ。


 アマチュア時代、特筆すべき経歴を持っていなかった彼はその辺の高校球児かと思うほど線が細く、とてもじゃないが、数年後に本塁打王を取るような選手には見えなかった。

 それでも坂根の眼には、磨けば光るダイヤの原石のように思えた。


 体の動かし方にセンスがあり、身体の底に強烈なバネをもっている。

 さらに特筆すべきは、他者の技術やアドバイスをなんでもすぐに柔軟に吸収する力だった。

 技術、体、この二つを磨いていけば、やがて陽翔は自分の正ショートの座を脅かす存在になると、坂根は思った。


「その打球を正面に入ったら間に合わないだろ! 半身で捕った方が送球まで早い」


 坂根のアドバイスを、陽翔はぐんぐんと吸収した。

 短いキャンプの中で、二軍レベルだった陽翔の守備は、一軍で守備固めを任せられるレベルに成長した。


 キャンプの終わりころ、坂根と陽翔は二人で飲んだ。

 キャンプ地である宮崎の地鶏が食べられる店で、個室で長々といろんなことを話したように思う。


 二十歳そこそこの陽翔は宮崎の焼酎を飲んでみても、あまり口に合わないようだった。

 あまりお酒に強くないのか、少し飲んだだけで顔を赤らめていた。


「お前は、どんな選手になりたいんだ?」


 坂根がそう言うと、陽翔は困ったように「えーと……」と


「昔は勇気さんみたいな選手になりたいって思ってました」


「それは嬉しいことだが、プロ野球選手としてどういう選手になりたいか聞いてるんだ。状時期言って、今のお前からはそういうのが伝わってこないな」


「……正直言って、プロになれるなんて思って無かったし、今の自分には周りについていくので精一杯で、そういうの、あまり考えられていないです」


「まあ、闇雲にやるのもいいが、プロとしてどういうキャリアを目指すかは考えていた方がいいな。お前はまだ若いんだし、いろんな可能性がある」


「そんな、恐れ多いです……勇気さんは、そういうのがあったんですか?」


「……お前みたいに闇雲にやってた部分ももちろんあるが、俺は、松田まつだ和人かずひとさんみたいな選手になりたかったな」


 陽翔世代にとっては坂根が憧れの選手になったように、坂根たちの年代だと松田が憧れの選手になった。

 走攻守揃った遊撃手ショート

 華やかな守備に、トリプルスリーも達成した打撃と走力。

 坂根ぐらいの世代にとっては、誰もが憧れた花形の選手だった。 


「松田さんが、メジャーでショート守備が通用しなくてコンバートされてたのはショックだったな。それで、俺はメジャー行くのを諦めた」


 松田さんは鳴り物入りでメジャーに入ったものの、ショート守備で精彩を欠き、すぐにセカンドへ守備位置を転換コンバートされた。

 坂根にとっては、あの松田さんがショート失格の扱いを受けたことにショックだった。

 日本では身体能力に優れ、トップクラスだったショート守備が通用しない。

 打撃もレギュラーの平均以下になり果てた。

 あまりにも高すぎるメジャーのレベルに、坂根は愕然とした。


 その後、松田さんはセカンドとしてメジャーチームのレギュラーを張り、日本へ戻ってきた。

 セカンドとして、レギュラーとして十分な成績を残したものの、渡米前にファンが望んだ成績でないのは確実だった。

 坂根の中にメジャー挑戦という考えはずっとあったが、アメリカでの松田の姿がよぎり、決断できないまま、ウォーリアーズとの契約更新を決めた。

 二十代後半という全盛期に行くチャンスがありながら、決断できなかった。

 もう、自分はメジャーに行くことはないのだろうと思う。


「僕ら世代にとっては、当たり前のように勇気さんもメジャーに行くもんだと思ってました」


「そうか……それは、ごめんな」


「あ、いえ、そういうわけじゃ…」


 若手と一対一で話し、打ち解け、何かしらアドバイスをしてやる。

 チームのキャプテンとして若手と話すときはそういう姿勢でいるが、陽翔とのそれはどこか異なって、逆に坂根自身が己の野球観、人生観を考えさせられることとなった。


 それからキャンプが終わり、シーズンが始まった。

 陽翔は見事一軍帯同を果たし、代走、守備固めとして出場機会を増やしていった。

 そして交流戦の大阪カウボーイズ戦で、事件は起きた。


 試合に途中出場していた陽翔は、送りバントを二回失敗したのち、サヨナラホームランを放った。

 陽翔にとってのプロ初のホームランは、サヨナラホームランは相手クローザーの剛速球を捉えた見事なものだった。

 その時、坂根は自分の後継者に陽翔がなる未来を予感した。


 ところが、事態は思わぬ方向に動いた。

 森田監督が即日、陽翔を二軍に落とした。

 そして、陽翔は一軍に戻ってくることは無かった。


 坂根はその処遇に納得いかず、森田監督に詰め寄った。


「どうして陽翔を一軍に呼ばないんですか!? 彼は、今のウォーリアーズに必要な存在だし、チームの未来を担う存在です」


 熱くなる坂根とは対照的に、森田監督は冷徹に答えた。


「五十嵐がチームにとって有用な存在であることは認める」


「ではなぜ?」


「あいつがチームの方針に逸脱した行為をしたからだ」


「進塁打を狙え、と言ったのに、ホームランを狙ったから? はっ、自分の指示に従わなかったから干すなんて、随分と器が狭いんですね」


「問題なのは、俺の指示に従わなかったことではない。あいつが、自分の役割を理解していなかったことだ。自分の才能を勘違いした、あるいは才能以上のものを周囲に求められ、プロとしてキャリアをつぶしてしまったものは何百といる」


「あんたの言っていることはよくわからないが、あいつは才能ありますよ。俺の、後継者になれるぐらいね」


「俺や、首脳陣はそう思っていない。それで話は終わりだ。五十嵐が自分の間違いに気づくまで、一軍には上げない」


「あんたはいつか、自分のやったことに後悔しますよ」


 それから陽翔は二度とウォーリアーズ一軍の一員に戻ることなく、カウボーイズへ移籍した。

 その後の活躍は言うまでもない。


 今の陽翔の姿を見て、森田監督は後悔しているのだろうか。

 それはわからない。

 だが、少なくとも坂根自身は、監督へ陽翔のことを直談判しにいったことを後悔している。

 あんなことを言われたら、頑固な監督はより陽翔を干す方向に行くだろう。


 感情に任せた行動をしてしまったことで、より陽翔にとっては立場を不利にさせてしまった。

 そのことは後悔しているし、陽翔にはすまないと思っている。

 とはいえ、結果的に陽翔にとっては干されたで移籍できたのだから、喜ばしいことだから、謝る必要はないのだろうとも思う。


 陽翔は、ウォーリアーズ時代のことをどう思っているのだろうか。

 最初からカウボーイズに入っていれば、最初から才能を認められ、回り道をせずに済んだと思い、あまり思い出したくない黒歴史なのかもしれない。


 坂根の部屋には、輝かしいキャリアの証――トロフィー、メダル、賞状が並ぶ。

 数々の経験をしてきた坂根にとっても、明日――日付を跨いでいるので正確に今日の試合は、かなり重い意味を持つ一戦となる。


「お互いにいい試合にしような、陽翔」


 坂根はそう独り言をこぼし、決戦に向け、寝床についた。


 ◇◇◇◇


 83.牛を飼う名無し


 日本シリーズの成績

 森本 2試合2勝0敗 防御率1.13 24奪三振

 五十嵐 打率.320 本塁打4本 打点9 OPS 1.513

 三浦 打率.454 本塁打4本 打点8 OPS 1.811

 なぜ3勝3敗なんですかね…?


 91.牛を飼う名無し


 >>83

 リリーフがね


 103.牛を飼う名無し


 >>83

 こいつらがね

 上菅 2試合2勝0敗 防御率1.58 21奪三振

 坂根 打率.320 本塁打5本 打点9 OPS 1.513


 113.牛を飼う名無し


 一回の日本シリーズでの最多本塁打は今まで4本だったので

 現時点で坂根は歴代一位

 五十嵐と三浦は歴代二位


 118.牛を飼う名無し


 >>113

 ファッ!?


 123.牛を飼う名無し


 >>118

 スターが順当に活躍しすぎやろ…


 131.牛を飼う名無し


 そりゃ神シリーズと言われるわな


 139.牛を飼う名無し


 前評判通りの激戦になってくれて嬉しい

 カウボーイズがプロ野球の中心になるなんて久しぶりやし


 140.牛を飼う名無し


 日本シリーズも明日で終わりか

 カウボーイズの日本一は見たいけど

 この楽しい時間が終わって欲しくない気持ちもある


 151.牛を飼う名無し


 来年には三浦と森本がいないから夢見れるのも明日が最後なんだよね…


 162.牛を飼う名無し


 >>151

 やめーや


 169.牛を飼う名無し


 改めて考えると今年は完璧すぎたな…

 このチームが見れるのも最後だと思うと寂しい


 178.牛を飼う名無し


 来年になったら元の弱小チームに戻ったりしてな

 五十嵐も魔法が解けたりして


 185.牛を飼う名無し


 >>178

 チームの弱小化は十分ありそうだけど

 陽翔は大丈夫やろ















 大丈夫だよな?



 192.牛を飼う名無し


 五十嵐は指標的には落ちる要素なさそう


 200.牛を飼う名無し


 来年のことは来年考えようや

 明日は最高のチームの最後の試合を楽しむだけや


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