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2045年問題   作者: 村田こうへい
第五章 暗躍編
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第五十一話:「妨害工作⑦」

今回は、前半桜井直人視点、後半小林昭人視点です。

<桜井直人視点>


「「「AIの敵、桜井響子をここで始末する。覚悟しろ!」」」


 緊迫したスタジオに6号君達の声が響き渡る。

スタジオにいた観客は、我先にと出口へと逃げていく。


「キョウコ様、こちらへ」


 響子の横から、女性の声が聞こえる。

見ると、先ほどまで響子の後ろで佇んでいたスタッフが彼女へ声をかけていた。


 俺はスタッフの顔をじいっと見る。


……間違いない。響子が初めてテレビに出演した時に横にいた人だ。

 革新党の補佐官がスタッフとして紛れていたのか……。


 そして、彼女に促されるように響子は席を立とうとする。

その時、目の前の6号君のうち一台が俺の目の前からふっと消えた。


「……な、なに?」


 俺は驚く。直後、俺の横で風がなびいたように感じた。

俺はその風に反応をするように横を向くと、先ほど俺から10m程離れた位置にいた6号君がそこにいた。

 なんだこのロボットの速さは……。俺は驚愕した。


 その6号君は、響子へライフル銃を突きつける。


「……動くな」


 その6号君は、響子に対し冷徹な声を出した。


「…………」


 対して響子は、面白くないような顔をしながら両手を上げる。

降伏のポーズだろう。


「……良い判断だ。もしお前が暴れたら、他の人を人質に取らなければならなかった」


 響子へライフル銃を突きつける6号君は、満足そうな声を出すと、響子へ命令をした。


「……あそこに向かえ」


 6号君は、響子にスタジオの横の壁際へ向かうように指示をする。

見るからに怪しい気がするが、響子は文句を一つもいうことなく渋々6号君に従う。


 そして、響子が指定された場所へ到達したとき、6号君が叫んだ。


「やれ!!!!!」




 しかし、それと同時にスタジオの照明が消えた。




「…………は?」



 困惑する俺の声をよそに、暗闇の中で発砲音と金属と金属がぶつかり合う音が立て続けに鳴り響き続けた。

そして、3秒後にスタジオの照明が回復する。



「…………」


 そこには、先ほどの位置から動いていない響子が佇んでおり、先ほどまでいた6号君達は、既にその場にいなかった。


 響子は先ほどまで6号君たちがいたところを見て、震えている。

しかし、6号君たちがいなくなったのを見ると一転安堵したのかスタジオの席へと戻ってきた。

その顔は、すまし顔だった。


 無論3秒間での出来事だ。しかも暗転してからの出来事だ。俺の目には暗闇しか映っていなかった。


「……なんだったんだ??」


 俺の頭は混乱した。


 混乱しているのは俺だけではないようで、近くに座るアナウンサー二人も困惑した表情を浮かべていた。


 そして、女性アナウンサーは一転はっとすると声を大にして叫んだ。


「えっと……。これはど、どっきりです!!」


 テッテレーという音楽と共に、男性アナウンサーがプラカードを掲げる。

そこには、「ロボット襲撃、今回のサプライズ質問、全てドッキリです!!」と書かれていた。


「……はあ?」


 隣の席に座る響子は、政治家らしからぬ言葉を小声で呟いた。



◇◇◇◇

◇◇◇

◇◇



<以下、昭人視点>


「はあ? なんなんだよ??」


 俺は、暗転して復帰した目の前のテレビモニターに対して文句を言っていた。

せっかく6号君達が一斉に桜井さんを襲撃したというのに、その状況が暗転して見えなかったのだ。

文句を言うのも無理はないだろう。


「ねえ昭人。6号君達はどこに行っちゃったのかな?」


 俺は、有海からの素朴な質問にはっとする。

事前のリハーサルでは、桜井さんを襲撃した後、そのまま彼女を捕獲し続ける予定だった。

そのような状態で、「どっきりでした」プラカードを掲げる予定だったのだ。


 しかし、予定が狂った。

俺の配下にいる6号君50台が失踪したのだ。


 俺は、自分のスマートウォッチを操作すると、リーダー格の6号君を呼ぶ。


「こちら昭人。6号君応答どうぞ」


『こちら、6号。……やられました』


 瞬時に応答が返ってくると、落胆した声色の6号君から返事が来た。

その時、俺は不審に思う。


 やられた……。誰にだ?

あそこには桜井さんと斎藤静香しかいないはずだった。

桜井さんは拘束されていたし、静香はスタジオに佇んていたはず……。


「やられた? 誰に?」


 俺は思ったことを自然に口に出した。


『誰って……。斎藤静香。桜井響子。二人共にです。暗転したあの短時間で私達全員を倒し、この階まで運んでしまいました……』


「は? 運んだ? 何階に運ばれたんだ」


『3階です。昭人さんがいるスタジオの一つ下の階です』


「は……? 正気か?」


『正気ですとも。後で私の見た映像をお見せしましょうか』


「……ああ、それは頼む」


 俺はそう言い残すと、6号君達との通話を切った。

俺は信じられなかった。

3秒という短時間で、6号君50台を倒し、1つ下の階へと彼らを運んだのだ。


 彼女たちの力量が予想外だった。

そう思い返すことしかできなかった。



 俺は6号君から結果を聞き落胆していると、若井さんから助け船が入る。


「先ほどの戦闘。先ほどの戦闘は地上波に放映されたんですかね? 赤外線カメラとか用意していたんなら放映しているはずですよ!!」


「……なるほど!」


 俺はすぐに理解する。赤外線カメラならば暗いところでもある程度の撮影ができる。

もしそれを使って撮影していたのなら、放映がされているはずだった。


 すぐさま俺は、モニター横の通話機で「カシャット!!」のディレクターに連絡をする。


「ディレクターさん」


『……はい。なんでしょう?』


 若干間が空いた後、早口で俺達に返答がきた。

早口すぎて何を言っているのかがわからない程だ。

その雰囲気に俺は不安な気持ちを掻き立てられたが、すぐに気持ちを立て直すと聞きたい質問を聞くことにした。


「先ほどの戦闘は撮影されましたか? 撮影されたものは地上波に放映されましたか?」


 しかし、若干間が空いた後、ディレクターから落胆した声色で結果が伝えられた。


『スタジオが()()する直前、機材は全て不具合を起こしてしまい、全く撮れていません。しかも、ロボットを出撃させた辺りで警察から放送中止要請が届いてしまい、以降は全く放映できていません……』


「……は? 警察から放送中止要請??」


 それを聞き、俺は気の抜けた返事をしてしまった。

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