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185 大きいのと小さいの

もちろん、その程度のことで怒るようなマーティアではない。


彼女の大きな胸には母性と慈愛が詰まっているのだ。

ただ、それらを包んでいる外側がエロいだけである。


「ぼうやは、大きなお胸は好き??」

マーティアが弟に聞く。


「うん!大好き!でも、かあちゃんはぺったんこなんだよ」

「げほっ!!」


無邪気に答えた弟であるが、母親に流れ弾が直撃した。


「マーティア様、そんなことよりフランツさんの治療を・・・」

気を利かせてコリーヌが話を元に戻す。


「そ、そうでした。タイガ様、お願いします」


マーティアに呼ばれて、タイガの格好をしたリョウが馬車から出てくる。

この男の子のせいで、出て行くタイミングを逃したばかりか、ツッコみ

たくても、声を出すわけにもいかないので、何も出来なかったのだ。


「こちらは異国からお招きした神使・タイガ様です。一緒に治療を

して下さいますので、フランツさんのところに案内していただけますか」

マーティアが母親に案内を頼む。


「わ、わかりました。こちらへどうぞ」

初めて聞く神使という言葉に首をかしげながら母親がマーティアたちを

案内する。


護衛隊長と神殿騎士、そして馬車の御者には、神使タイガのことを

前もって説明してある。

ただ、神使タイガが聖女に匹敵する聖魔法の使い手だということは

完全には信じられないようであったが。


母親に招き入れられ、マーティア、タイガ、コリーヌが家に入る。

他の者は家の外で待機である。


「ねえねえ、騎士様」

兄弟の兄のほうが護衛隊長に話しかける。


「騎士様って強いんでしょう?!」

兄弟揃って、キラキラ目である。


「うむ、我ら神殿騎士はこの国では最強とも言われておるな」

尊敬の眼差まなざしをうけ、まんざらでもない隊長。


「なら、ボムリザードをやっつけて!」

「おじいちゃんの仇をとって!」

2人の祖父フランツの怪我はボムリザードに襲われたからであった。


「ああ、そのことなら大丈夫だ。我々は、そのために来たのだからな」

兄弟の頭を撫でながら言う隊長。


「わあ!じゃあ、騎士様がやっつけてくれるんだね!」

「やった~!!騎士様、ありがとう」


「お、おう、任せておけ!」

実際はリョウが戦う予定だが、こんな目で見られてそんなことが

言えるはずがない。

それに、複数に襲われたり、奇襲されたりした場合は自分たちも戦うことに

なるだろうから、まるっきり嘘でもない。


そのへんのことがわかっているので、他の者たちもこの光景を

微笑ましく見ている。


そして、10数分後、マーティアたちが家から出てきた。


男の子たちの祖父のフランツも一緒である。


「おじいちゃん!」

「治ったの?!!」

祖父に駆け寄る兄弟。


「おお、聖女様と神使様のおかげでな。怪我をする前より調子がいいぐらいじゃ」

右腕で力瘤ちからこぶを作るポーズをするフランツ。

もちろん、リョウの全身ケアのおかげである。


「聖女様、神使様、どうもありがとうございます」

母親が言う。


「「聖女様、神使様、ありがとうございます」」

さっき習ったばかりの片膝をつくポーズでお礼を言う兄弟。


「どういたしまして。おじいちゃん、お母さんのお手伝いをしっかりね」

マーティアはそう言った後、母親と祖父に向き直る。

「では、ボムリザードの駆除に行きますので、失礼します」


「おお、お願いします」

祖父も片膝をついて頭を下げる。

母親も両膝をつく。


そして、マーティアたち一行はボムリザードの出現場所に向かうのであった。

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