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145 出発準備その6

「いや~、うまかった!」

「まったく、こんな調理法があるとは・・・」

「料理もですが、このドラ焼きというのもおいしいですな」


大司教たちスリーおっさんズは、料理を食べた後のデザートタイムに

入っていた。


「ドラ焼きは包ませておりますので、奥様方へのお土産にどうぞ」

マーティアが言う。


「おお、聖女様、お心遣い感謝します」

と、おっさんズ。

3人とも愛妻家であり恐妻家でもあった。


「これらを作ってくださった、異国の賢者様をご紹介します」

そう言ってマーティアは声をかける。

「リョウ様、お入りください」


「失礼します」

そう言って、リョウが部屋に入ってくる。


「おおっ!!」

司教の1人がリョウを見て驚きの声を上げる。

「あ、あなたは・・・いえ、あなた様はいったい・・・」


何事かと、大司教ともう1人の司教が、声を上げた司教を見る。


「さすがに魔力視のスキルを持つノートン司教様は気づかれたようですね」

と、マーティア。


魔力視スキルとは、体外に漏れ出した魔力を見ることのできるスキルで、

ガリア冒険者ギルドマスターのエリックやメイフィールド領軍スカウトの

エレールなども持っている。


「ノートン、どういうことだ?」

もう1人の司教が聞く。


「とんでもない魔力量だ。聖女様に匹敵するほどの・・・」

自分でも信じられないという感じで話すノートン。


「「何?!!」」


2人が驚くのは当たり前で、聖女の魔力量は圧倒的であり、大司教でさえ

その何分の1しかない。

その聖女にひけをとらない魔力量ということは・・・


「ま、まさか・・・神子みこ様・・・」


神子とは、簡単に言えば、聖女の男版である。

男の娘の場合は、神子なのか聖女なのか意見が分かれるところだが

歴史上実在しないので問題ない。


歴史上、聖女が20人以上いるのに対して、神子は2人しかおらず

聖女の居ない時期を埋める形で存在していた。


なので・・・


「聖女様と神子様が同時に存在することはないはずでは?!」

大司教が当然の疑問を言う。


「はい、リョウ様は神子様ではないでしょう」

マーティアが答える。

「第一、この国の者でない者が神子様ではまずいのでは?!」


ここシルフィード王国の首都シルファンに聖デプラクス教会の総本山が

おかれたのは、歴代全ての聖女と神子がシルフィード王国の生まれだからで

ある。

そのため、この地域は祝福された地とされているのだが、その前提が

崩れてしまう。


「では、いったい・・・?」


「ただ、創造神様の加護もお持ちで、聖女・神子に匹敵するお方でも

ありますので・・・」

少し間をおいてマーティアが言う。


「異国からこの地に使わされた・・・ということで、神使しんし様では、

いかがでしょうか?!」

マーティアがあらかじめ決めておいた呼び名を言う。


「おお、それはよい呼び名ですな。しかし、他国からも聖女様や神子様に

匹敵するものが現れたとなると、聖女様の立場が弱くなるのでは?」


「そんなことは、ささいなことです。それよりも、この国にしか聖女や

神子がいないからと、他国の者や獣人などを見下す傾向があることの

ほうが問題です」

マーティアが語気を強める。


自分達にも多少、その選民意識に覚えがあるおっさんズは、何も

言えない。


「他国からも聖人がでることがある、という事実を示せれば、差別を

弱める助けになると思うのです」


マーティアの言葉に、うなづくしかないおっさんズであった。

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