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136 おしのび王女

リョウは、マーティアにボムリザードの狩りについての説明をした。


「ドミニク商会とお得意様の伯爵家、そして歌姫パトリシアの出身地の

ためというわけですか・・・」

マーティアは納得がいったのかいってないのか、わからない口調で言う。


「私が王都にいない間は、マーティア様には体内サーチの練習を

していただけたらと・・・」


「え~~~!!料理を作ってもらえないんですか~?!」

横からコリーヌが言う。


「料理?」

何のことだという顔のリョウ。


「一昨日いただいた料理がおいしかったので、ここでも作って

いただけないかという話がでてたんです。もちろん、報酬は別に

お支払いします」

マーティアが説明する。


「他にもいろいろな料理があるんだろ?!食わせてくれよ!!」

グレイシアも思わず口を出す。


「今日は料理を作ってもらって、明日からその狩りに行っていただくと

いうのは?」

コリーヌが提案する。


「そうですね・・・」

思案するマーティアであった・・・。





「パトリシア様、相席よろしいでしょうか?!」


「えっ?!」


約束どおり演劇場のカフェでリョウを待っていたパトリシアは、

声をかけてきた女性を見る。

女性というより少女であったが、身につけている服やまとう雰囲気、

お付きのメイドなどから、間違いなく上級貴族であることがわかる。

他に空いているテーブルがいくつかあるし、名前を呼ばれたことから

『席がなくて』というわけではないのは間違いない。


「あの・・・私に何か御用でしょうか?」

パトリシアが言う。


「あら、警戒させてしまったようですね。あなたに危害を加えたりは

しませんわ。待ち人が同じなので一緒のほうがいいかと思っただけです」

ニッコリと微笑みながら言うのはこの国の第3王女カテリーナであった。


「待ち人が同じ?!」


「はい」

メイドが引いた椅子に座りながらカテリーナが言う。

「あなたもリョウをお待ちなのでしょう?!」


「リョウのお知り合いでしたか」

納得が言ってちょっとほっとするパトリシア。


「あなたの依頼でアラバンド地方に行くと聞きましたので、

その前に彼にちょっと頼みたいことが・・・と。

あ、私はカテリーナと申します。家名はご勘弁ください」

偽名を使うことも考えたが、あとで王女だとわかったときに面倒だし

よくある名前なので、そのまま名乗った。


「カテリーナ様・・・ですか。第3王女様と同じ名前でいらっしゃるの

ですね。リョウとはどういうご関係で?」


いきなり大当たりであるが、そのぐらいで感情を表にだすような

カテリーナではない。


「そうですね・・・彼の恋人ですわ」

面白そうなので、そう言ってみたカテリーナであるが、


「カテリーナ様、おたわむれはご遠慮ください」


2人が声の方を向くと、ジュリアが不機嫌な顔で立っていた。

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