135 体内サーチ
リョウは、ジュリアをノーレッジ子爵王都屋敷に送った後、演劇場の
カフェの店長から紹介してもらった宿屋で一泊した。
さすがに闇夜の黒猫亭のミーナのようなスキルを持っている者は
滅多にいないので、料理を作ってくれなどとは言われない。
普通に一泊しただけである。
そして宿を出たリョウは、約束どおり聖教会に来てマーティアに指導していた。
「・・・!」
「そう、魔力を流して反応の違いを感じてください。コツはいかに均等に
魔力を流すかですね」
「・・・・・・!!」
「はい、リョウ様」
「・・・・・・・・・!!! あひゃひゃひゃ!!!!もうダメです!!!」
コリーヌが叫ぶ。
マーティアにお腹を触られていたのだが、我慢しきれなくなったのだ。
現在、体内サーチの練習中である。
リョウが一昨日描いた内臓の絵を見ながら、マーティアはコリーヌの
内臓をサーチする練習をしている。
これの前にやった骨のサーチはすぐに出来るようになったマーティアで
あったが内蔵や筋肉は難しいようである。
「こら!動くな!!」
グレイシアがコリーヌを押さえつける。
「あひゃひゃ、無理です!グレイシアさん、代わってくださいよ」
「お、おれは嫌だぞ!こんな・・・」
言いよどんで、チラッとリョウを見るグレイシア。
その反応を見たリョウ。
(ありゃ~、嫌われたか・・・)
つい、腹筋フェチがでてしまって、酔っていたとはいえ初対面で
『触らせてくれ』はさすがにマズかったな~と思った。
実はグレイシアは照れているだけで、リョウを嫌ってなどいない。
それどころか、好意を持っていた。
腹筋を触らせてくれと言われたときは驚いたが、鍛えた肉体は
密かな自慢でもあった。
それをリョウに褒められたときはうろたえてしまったが、
悪い気はしなかった。
そして、食事会のときに王女の護衛に対して見せた身のこなし。
それだけでも間違いなく強いと判断できたが、マー様に聞いたところ、
本来の彼の戦闘スタイルは、とんでもない大剣を自在に操るのだそうだ。
オーガを一刀両断にするところなど、まるで実際に見たかのように
説明してくれた。
あの体格でそんなことが出来るのか疑問だが、マー様があれだけ
ありありと言ったことが嘘や間違いだとは考えられない。
ぜひ実際に戦うところを見てみたいものだ。
いや、自分と手合わせしてもらうのもいいかもしれない・・・。
さらに料理である。
あんなにさまざまな調理法があるのかとびっくりした。
しかも美味い!美味すぎる!!
王女がおしかけてくるはずである。
今日のマー様への指導がすんだら、料理を作ってくれるように
頼むことになっているのだ。楽しみだ。
などとグレイシアが考えていると、「今日はここまでにしましょう」と
リョウが言った。
(マー様!料理のことを!!)
とグレイシアが思ったところに、リョウが言った。
「実は、数日間王都を離れたいのですが・・・」
「「 え~~~?!! 」」
思わずグレイシアがもらした声に、コリーヌの声が重なった。
彼女も楽しみにしていたようである。
「とりあえず、話を聞きましょうか」
落ち着いているように見えるマーティアであったが、心の中では
ガッカリしていた。




