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126 デートその9

そして現在リョウは、メロディーを覚えるためにパトリシアの歌う曲を

聴いている。


ジュリアも同席しようとしたが、パトリシアに断られてしまったので、

支配人に頼んで舞台がよく見え声や音楽もよく聞こえる席を

都合してもらった。

視聴覚強化スキルがあるとはいえ、せっかくのデートなので、

いい席で見てほしいと思ったのだ。


「こういうのは、どうでしょうか?」

パトリシアの歌を聴いて覚えた後、アレンジを入れてリュートを弾くリョウ。


「う~ん、悪くないけどもう少し明るい感じで」


「では、これは・・・」


「あ、いいわね。その感じで全体を通してやってみて」


パトリシア、リョウの腕を認めたようで楽しそうに注文をつけてくる。

いつの間にか2人は、夢中になってリハーサルをしていた。




こちらは客席のジュリア、ご機嫌ナナメである。


「あの女、リョウ様のことをよく知らないとはいえ無礼な・・・」


リハーサルに同席出来なかったこともあるが、パトリシアのリョウへの

態度に腹を立てているようである。


ジュリアにとってリョウはまさに天が遣わした使徒であった。

(実際、それに近いのだが(笑))


ブラッドウルフとの華麗な戦い、強力な治癒魔法、異国の高度な知識、

そしてジュリアが最もひかれたのは身体強化である。


まさか自分自身だけではなく、他人まで強化できるとは。


視覚強化スキルで遠くの物や小さい物、動きの速い物などがよく見えるのは

確かだったが、限界を感じてもいた。

それが、リョウの身体強化で限界を突き抜けたのだ。


農民に偽装していた暗殺者たち。彼らの変装などあっさりと見破り

躊躇ちゅうちょなくリーダーの男を弓で射ることができた。

草むらに隠れている者たちなど丸見えであった。

さっきも、隠れて顔を少しだけ出してこちらを見ていたパトリシアを

あっさり見つけられた。


リョウと一緒なら何でも出来る気がした。

これからも一緒に!と願うが、リョウはオリビアの求婚も断り

護衛の契約もそのとき限りであった。


一緒に乗っていた馬車が学園に近づき、リョウとの別れが近づくと思うと

我慢が出来なくなってリョウに付いて行くと言ってしまったのだ。


リョウに呆れられるかと思ったが、なんとデートをしようと言ってくれた。

ほんとにお人好しであるが、そこがまたいいと思うぐらいにジュリアは

リョウを好きになっていた。


今日もブローチとペンダントをプレゼントしてくれ、セクハラ貴族からも

守ってくれた。

しかも、護衛の剣を斬ったのである。


他の者はよくわからなかっただろうが、ジュリアにはしっかりと見えていた。

見たこともない形の片刃の剣で、相手が剣を抜こうとしたところを

鍔元つばもとから斬ったのである。


相手の剣を折ったという話ならいくらでもあるが、斬ったという話は

歴史上の剣聖と呼ばれるものたちの伝説でさえ聞いたことがなかった。


そして、今からこの大きな舞台でリョウの演奏が聞けるのだ。


さっきの中庭での演奏もよかったが、パトリシアを見つけることに

集中していたので、楽しむ余裕がなかった。


今度はじっくりと聴いて楽しもう。


そんなふうに考えていたジュリアは、さっきまで機嫌が悪かったとは

思えないほど上機嫌になっていた。


そしてプレゼントしてもらったペンダントとブローチを見て、

にへらっと締まりのない顔をするのだった。

学園に着いたときに、ジュリアがリョウについて行くと

駄々をこねた理由が説明不足だったとずっと心に

ひっかかっていたので、今回はこういうことになりました。


えっ!そんなの気にしてなかった?!ソウデスカ・・・_l ̄l○

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