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121 デートその4

「やだなぁ、ちょっとしたお茶目ですよ」

笑いながら座りなおすリョウ。


「いいや!わしが止めなかったらそのまま出て行っただろ?!」

もちろん、ジェフリーの言うとおりである。

「頼む!もう時間がないんだ!」


ジェフリーの話によると、伯爵家の結婚の贈り物として依頼され、

素材は新婦の兄が狩って用意するはずだったそうだ。


大勢でボムリザードを取り押さえ、そこに新婦の兄が心臓を槍で一突き!

のはずが、心臓まで届かず爆発。それが数回繰り返され、成功したのは

1匹だけ。取り押さえるだけでも怪我人がでたのに、爆発でさらに増え、

結果、20人以上の怪我人がでて断念したということだ。


「その新婦の兄、アホですか?」

思わずそう言ってしまうリョウ。


「そう言わんでやってくれ。かわいがっている妹の結婚ということで

はりきりすぎただけなんだ」


そう言われると、妹バカであるリョウとしては責められない。


「それに槍の名手としても、それなりに有名でな。もっとも今では

自信をなくして、うちひしがれているようだが・・・」


「御当主は、お得意様でもあり、うちの当主であるメイフィールド伯とも

仲がよいので何とかしてあげたいのです」

グレアムも頭を下げ頼む。


「今、受けてる依頼がありまして、王都から離れられないんですよ。

ボムリザードの生息地って遠いんでしょ?!」


「馬で1日半というところかな・・・」


「狩る時間も入れたら、最低でも4日じゃないですか」


「受けてる依頼をキャンセルとかは・・・」


「無理です。もう前金の金貨10枚も貰ってますし、だいたい私を

ガリアから呼び出したのがその依頼者ですし」


「前金で金貨10枚ですか・・・」

ジュリアが驚いたように言う。


「そそっ、だからペンダントとブローチ、素直に両方ともプレゼント

されてください」

ジュリアの頭を撫でながら言うリョウ。お兄ちゃんモードに入ったようだ。


「ありがとうございます」

顔を赤くしながら礼を言うジュリア。


「明日、依頼主に話してみますので待ってください」


「わしにその依頼主と交渉させてくれないか?」

とジェフリー。


「依頼主は秘密なので無理です」

いくらなんでも聖女と会わせるわけにはいかない。

「とりあえず、ボムリザードの情報をお願いします」


そして、30分ほどの説明の後、リョウたちはドミニク商会を後にした。




(う~~ん、もう少し近ければなぁ・・・)

説明を聞いて考えるリョウ。


狩る時間や休憩も考えると、ボムリザードの生息地までの往復は

リョウの足でも丸二日はかかりそうであった。


(明日、聖女様と話してみるしかないか・・・気持ちを切り替えて、

今は、ジュリアさんとのデートを楽しもう)


そう決めて、次の目的地にジュリアを連れて行くリョウであった。

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