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119 デートその2

「お連れ様が貴族の男性に!」

女店員が叫ぶ。


それを聞いたリョウは、部屋を飛び出し信じられない身体能力を発揮して、

すぐに宝飾品売り場に戻る。


そこでは・・・


ジュリアと殴り倒されている貴族の男とその護衛らしい男が2人いた。


状況から見て、殴り倒したのはジュリアのようだ。


「ジュリアさん!」


「リョウ様!!」

リョウが呼ぶとジュリアは泣きながらしがみついてきた。


リョウは、初老の店員に何があったか聞く。


それによると、貴族の男がジュリアを見て、しつこく言い寄ってきたそうだ。

当然ジュリアは断ったが、男はあきらめず護衛たちと一緒に力ずくで

言うことをきかせようとして、ジュリアの尻を触ったところで

ジュリアに殴り倒されたとのことだ。


オリビアの護衛として訓練し働いてきた上に、視覚強化のスキルがある

ジュリアにとって、この程度の者たちの攻撃を避けて反撃することなど

たやすいことであった。


「はっはっはっは・・・・!!!」

それを聞いて、大笑いするリョウ。


「き、貴様、何がおかしい!」

貴族が怒るが、


「いや~、よかった。大変だっていうから怪我でもしたのかと・・・。

あわてて来てみたら、女性の尻を触って殴り倒されたクズがいただけって、

笑うしかないでしょう?!」

ジュリアを自分の背後に移動させ、貴族たちに向き合うリョウ。


「何!!!」

さらに怒る貴族。そして、

「かまわん、斬り捨てろ!!」

護衛に命令する。


護衛2人は剣を抜こうとするが、


キンッ、キンッ


金属音が2つする。


「「 え?! 」」


そして、剣の刃の部分がない柄だけを構えた護衛2人と脇差を抜いた

リョウがいた。


護衛が剣を抜いた瞬間に脇差の抜き打ちで、剣を根元から切ったのだ。


「今、『切り捨てろ』と言ったよなぁ?!」

ドスのきいた声で脇差を貴族に向けながら言うリョウ。


「俺が『よかった』と言ったのは、お前達も含めてだったんだがなぁ・・・」

ゆっくりと貴族に近づき首筋に脇差の峰をあてるリョウ。


リョウの殺気にのまれて誰も動けない。


「彼女に何かあっていたら、お前達、切り捨てるぐらいじゃ済まなかったぞ!」

そう言いながら貴族がジュリアに殴られた顎のあたりを脇差を

持っていない左手の甲で軽くペシペシと叩くリョウ。


チンッ


リョウは脇差を鞘に納めながら護衛たちの方に行く。


「お前達も主人がバカなことをしていたら止めろよ、な!!」

なれなれしく護衛達の肩を抱きながら耳元で言う。


そしてジュリアのほうに戻る。


「たいしたことがなくて、よかったです」

ジュリアの手を握りながら言うリョウ。


「ううっ、リョウ様ぁ・・・」


「リョウ様」

遅れて来ていたグレアムが声をかける。


「あ、グレアムさん、お騒がせしました。怪我人もいないようですし、

今日は帰りますね」

そう言ってジュリアと一緒に帰ろうとするが、


「怪我人がいないだと!私や護衛たちはその女に殴られたんだぞ!」

貴族が呼び止める。


「え?!今、見て確かめたところ、何もないようでしたが?!」


「「「 え?! 」」」


あわてて、貴族や護衛は、お互いの殴られた部分を確かめる。


何もなかった。


「ね、怪我なんかしてないでしょ」

とてもいい笑顔でスッとぼけるリョウであった。

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