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1−7|自分の存在理由

何年という月日……いや、そういう概念はないのかもしれない。

何もない真っ白な空間、本当に何もなく、音も聞こえない。

私が声を出しても、何も聞こえないし、もうどうなっているかわからない。

気が狂ってしまいそうになる。

これが試練?

私は何でこんなところいるんだっけ。

何のために? 私はどうして……

男の声が頭の中に響き渡る。

「汝が壊れても尚、力を求めるか」

そうだ、私は世界に復讐するために力を求めていたのか

忘れるところだった。

「私は諦めないよ、何があろうとも私は力を手に入れる」

「我も鬼ではない。そろそろいい時期かもしれん。

 今の現実を受け入れてから再度考えるが良い」

私は目が覚めた。

どうやら、ソファーの上で寝ていたみたいだ。

暖かい日差しが私を包み込むように

「ママ!」

誰のことを言っているんだ。

「どうしたの?」

「ママ書いたの!」

「おお、似てる似てる」

娘に微笑みながら私は抱き上げている。

娘? 私は結婚して、子供がいるの?

いつの間にかに……

でも、覚えてる。

確かに結婚もしたし、子供も産んだ。

だけど、夫は誰?

わからない。見ないとわからない。

てか、私はこの世界を復讐するんじゃなかったの?

大切なものができたら、復讐なんてできない。

私は何を考えていたの。

愛なんかに溺れて。

でも私は……後悔していない??

何で……

☆    ☆    ☆

山に登って行く最中、彼方は薄い膜みたいなものが見える。

しかし、透は何も見えていない様子だった。

彼方は透にさりげなく聞いてみたが、何それ??

と言われる始末。

魔法の結界だから私だけしか見えない。

そういえば、透も魔法が自由自在に使えるわけではない。

魔法というものは自分が自覚しないと見えないわけで……

しかし、間違いなくそこに何かがある証拠だと思う。

近いようで遠い、そんな感じだった。

どんどんと歩いていく、2人の足取りは重かった。

何と言っても、悲惨な出来事が起きたばかりで、

なおかつ、魔法の使用によって、疲れが溜まっていたのだ。

しかし、最低限結界の中までは行かなければ、いけないと思っている彼方。

結界を展開した人の許可がないと入れないと思うが、透が入れば、通れると思うし、問題ないと思う。

「鳳は今回のこと予期してたか?」

「いや、これが計算通りだったら、あんたなんて巻き込んでないよ」

「……」

「魔法も知らない、この世界で生まれてきた人間を巻き込むなんて私にとって不利にしか働かない」

「まあ、確かにな」

2人はひたすら歩く。

特に何も話すこともなく無言。

透は何度か彼方に話しかける素振りを見せるのだが、

彼方の雰囲気を察し、言葉が出ない。

彼方が来るまで様々なことがあったが、

それが全て嘘だったらよかったのにと何度も思う。

けれども、今更そんなこと思っていては前には進まない。

てか、真実なんだ……と受け入れることが大事なんだと。

この歩いていく中で透は葛藤していた。

□ □

「……着いた」

数時間山道を歩き、この何もないところで彼方は立ち止まる。

「何も、ないけど……?」

「そうか……あなたには見えないのね……それとも」

何か口ごもるが、なんでもないわ! という雰囲気で気を取り直す。

「ねえ」

「……」

「ねえ、てば」

「……なんだよ」

「ちょっと、ここで待っていて、すぐに戻ってくるから」

そういうと彼方は道無き道を歩き出す。

「お、おいちょっと……」

と透が歩き始めると何かが壁に当たったような感じがし、弾かれる。

引き返すことはできるけれど、前には進めない感じ?だ。

進んでいるんだけれど、違和感がある。……気持ちが悪い……感覚、だ。

「待ってろって言わなかったっけ? 今のあなたじゃ、通れないから待ってろって言ったんだけど」

無言の威圧を透に向けて放つ彼方。

「わかった、大人しく待ってれば、いいんだろ? 落ち着かないんだよ、やっぱり色々ありすぎだろ……冷静でいられる方がおかしいつうの」

「好きで! 好きでこんなになったわけじゃないんだよ! 私もっ! ……あんただけじゃないんだよ!」

急に大きな声をあげる彼方。今までこんな声を荒げたことを見たことがない透は驚きを隠せない。

「いいから、何も言わず、私を信じて、そこで、待ってなさい、わかった?」

「……ああ」

すたすたと歩きながら去っていく彼方の後ろ姿をぼーっと見つめる透。

□ □

本当にわかってない。あいつ! あのくらいで狼狽えすぎなのよ。

透を置いて一人になった彼方は透の態度にイライラしながら森の中を歩いていく。

八つ当たりなのはわかっているし、この世界では……この国では、死はそれほど身近にはないことだから、気持ちはわからなくはないけど、なんかモヤモヤしてイライラする。

なんの警戒をせずに結界の中心である場所に向かう。

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