風が吹くと……
風が吹くと土埃が舞う。土埃が元で失明する者が増える。視力を失った者は三味線弾きになって生活の糧を得ることが多いので、三味線の需要が増える。三味線の材料にする為に猫を捕まえる。鼠を餌にする猫が減ってしまい、鼠が増える。鼠が桶を齧る。桶が壊れてしまい、人々がこぞって桶を買い替える。
結果、桶屋が儲かる。
……これが「風が吹けば桶屋が儲かる」という諺の内訳(?)です。一見関係ないことがあらぬところにまで影響を及ぼすこと、転じて、無理矢理理屈をつける言い訳への皮肉や、当てにならない期待への揶揄を込めた言葉です。
なんか……よくこんな落語みたいなストーリーを思いつくなあと感心します。それが諺として残っているあたりに、日本人のお笑い好きの魂を感じます。しかもこの諺、どうやら地方によって言い方や内容のバリエーションがあるようです。色々と研究して見たら面白そう。
それにしてもこの話の展開に、私、ちょっと納得いかないくだりがあるのです。
「三味線の材料にする為に猫を捕まえる」 ←此処! 猫の下僕として、到底許すことが出来ない……! ですので、新たな展開を考えてみました。
「風が吹くと」~「猫を捕まえる」までは前述通りとお考え下さい。
捕まった猫を取り戻すべく、猫好き達が一斉蜂起。三味線職人と猫好き達の間に血で血を洗う抗争が続く。そんな最中、両陣営の若い男女が互いの素性を知らぬまま出会い、恋に落ちる。
静かに愛を育んでいた二人だったが、やがて逢瀬が周囲にばれ、それぞれの陣営に引き裂かれる。だが、二人は運命に抗う事を決意し、駆け落ちする。
逃避行の最中、中立として匿ってくれていた犬派の裏切りにより、追い詰められる二人。絶望からではなく、明日の幸せを信じ、彼等は崖から身を躍らせた。
愛を貫く彼等の姿に両陣営への抗議が殺到、抗争は急激に沈静化、捕まっていた猫は無事解放され、猫皮に変わる新素材が開発された。その結果、経済活動が活性化。
だが……あの日以来、崖から飛んだ二人の姿を見た者は居ない。
いつしか、彼等が崖に身を躍らせた日は愛の記念日となり、その日に結ばれた恋人同士は永遠に共に在る、という伝説が残った。
その後、愛の記念日に輿入れすることが流行となり、その輿入れは、好経済のお陰で豪華なものが主流となった。祝い酒も大量に用意することが好まれ、造り酒屋は大忙し。新たな酒樽を大量に必要とすることとなり、その結果、桶屋も儲かることとなったのだ。
……と言う事で、新たな諺として「風が吹けば桶屋も儲かる」を提案したいと思うのですが、どうでしょう??




