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それは〇〇〇〇〇

 あなたの温かな吐息に、柔らかな肢体に、どれほど救われてきたでしょう


 陽光に焼かれ、凍てつく夜を過ごす時、優しい気配が私の魂を救ってくれるのです


 私は幸せな奴隷です

 あなたに全てを捧げ、あなたもまた、私という矮小な存在を許してくれる


 愛しています

 ですからどうぞ、私の愚行をお許しください


 この奴隷は、ただ、あなたを愛しているのです



 …………はいっ! リリカルに始めてみましたが、何やねん、この導入! 

 これ、何の事かと言いますと「猫の爪切り」なのであります。

 我が家の「ビジン(仮名)」「カワユイ(仮名)」は、爪切りが大嫌い。毎回エライ目にあうのです。恐らく向こうも、エライ目にあわされたと思っていることでしょうが……。


 爪は彼等の主要武器の一つです。常にしゃきーんと尖らせ、来るべき時に備えておく必要があります。

 ……でもね、おうち猫には、基本的に「来るべき時」は無いのですよ。


 実際「ビジン」も「カワユイ」も、爪を使うのはじゃらしで遊ぶときか下僕を起こす時くらいなもんです。それだって、一応こちらを気遣ってくれているのか、流血沙汰になるような使い方は殆どしません。脅しでちらつかせて来ることはありますが。

 ただ、家の中だからこそ危険な状況というのはあり得るのです。

 カーテンなんかの布ものに爪が引っかかってしまえば、その場から動けなくなることもあるでしょう。複数で暮らしていれば、始めはお互いにじゃれている心算だったのに、逃げ場のない家の中では流血沙汰の喧嘩に発展するかもしれません。


 そりゃ確かに、武士が刀の手入れを人任せにすることはないですよね。軍人さんだって暗殺者だって、銃の手入れを人にやって貰う事は無い筈です。

 つまり私が行っていることは、頼まれてもいないのに「あ、自分、上官の銃手入れしてみたいっす!」と力ずくで武器を取り上げ、手入れと言う名の迷惑行為で武器の弱体化を図り、あまつさえ「上官の為っスから!」としたり顔をする、そういう行為なのです。

 そう考えると迷惑極まりないです。でも、やらないわけにはいかないの!


 よく「爪切りは一度に行おうとせず、隙を見て一、二本ずつ切ればいい」と聞くんですけど、その「隙」が無い場合ってどうしたらいいんでしょう。


 「人生で最も気持ち良い瞬間」のベスト5入りするだろう寝入りばなに行えば、その気持ち良さを奪われたことに負の印象が残ってしまうかもしれません。おちおち昼寝も出来なくなっちゃうかも!

 膝に乗って甘えている時に行えば、こいつの膝に乗ったから酷い目にあったと覚え、二度と膝に乗ってくれないかも!

 ご飯で釣ったら、嫌なことと結びついてご飯が喉を通らなくなっちゃうかも!


 と、もたもたしている内にこちらの殺気を気取られて、逃げられてしまうのです。

 もう、隙もへったくれもありません。逃げ出そうとするところを何とか捕まえて、折角捕まえたのだからと一気に全部の爪を切る。何とか切り終え、ぷんぷんしている所におやつを一口差し出し、機嫌を取る。とにかく褒めちぎる。それでも数十分間は下僕の株は下がりまくりです。


 ふむ……このやり方が、より爪切りを嫌いにさせている様な気がします。が、もう何年もこのスタイルですからね。お互いに慣れた(?)ものです。


 どうかも皆様、本日の猫の爪切りが少しでも平和であるよう、祈っていてください。

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