表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/89

蜻蛉のはなし

 真夏の暑さは和らぎつつあるとはいえ、未だ暑い日が続いておりますね。皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。


 さて、昨日お墓参りに出掛けた所、びっくりするくらい蜻蛉を見掛けました。春夏でも蜻蛉を見掛けることはありますが、これだけ遭遇率が高まると、やはりもう秋なのだなーと実感します。自然界の様に季節の移ろいを感じる。案外、贅沢なことなのかもしれません。


 で、夕方の事です。近所のスーパーに買い物行こうと玄関を出た瞬間、すんごい勢いでこちらに飛んでくる蜻蛉に遭遇しました。

 蜻蛉って、少し飛んではホバリングし、また進んではホバリング……みたいなイメージだったのですが、何故か彼(?)は一直線にこちらに向かって来るのです。私は昆虫類は比較的平気な方なので、慌てることなく軽く屈み彼を避けたのですが……彼はそんな私の顔目がけて軌道を修正してきやがりました。いや、何で?

 玄関前で、華麗なステップで蜻蛉を躱す私。そんな私の顔を追う蜻蛉。数秒の攻防があったのですが、明らかにあちらの機動力の方が上です。仕方なく、蜻蛉の隙をつき一度玄関内に撤退しました。


 不思議なことです。自分でも気づかぬ間に、あんなに執拗にインネン付けられる程の何かをしでかしていたのでしょうか。いやでも、玄関出たばっかりだったし……そんな時はグー〇ル先生に訊ねればいいじゃない! と言う事で、玄関でスマホをテシテシと操作しました。すると、

「蜻蛉はあなたを追っていた訳では無く、あなたの周りに飛んでいる小虫を追っていたんじゃないですかね?」

 とのお答え。いや、小虫なんて飛んでなかったですよ?

「そんじゃ、偶々蜻蛉の飛行ルートにあなたがかぶっただけでは? 彼等、特定のルートを飛ぶことが多いしー」

 どちらにしても、彼は私を追っていたわけではなかったようです。そっかー……冷静過ぎるグー〇ル先生のお言葉に何となくもやっとしつつ、合点はいきました。


 それは兎も角、何時までも玄関でうじうじしている訳にはいきません。買い物に行かなければ本日飲む分のワインが無いのです。もしかしたら、まだ彼は玄関の辺りを飛んでいるかもしれない……一応、気を使ってそっとドアを開け、外を覗くと……蜻蛉が二頭、しっかりと繋がって飛んでいました。二頭は交尾していたのです。


 屹度どちらかは、先程の蜻蛉でしょう。言いようのない虚しさが私を襲いました。

 恋人の浮気現場を見つけてしまったような何とも言えない気持ちと共に、私はスーパーへと向かったのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ