表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/261

かくがり

 このところ、だいぶ暑さが和らいできましたよね。

 お庭いじりなんかにもよい季節なのでしょうか、ご近所のお宅の生け垣がすっきりと刈られていました。それをぼんやりと眺めながら歩いていたら、向かいから、若いお母さんと、三、四歳くらいでしょうか、可愛らしいお嬢ちゃんが手を繋いでやって来ました。


 微笑ましさにほっこりとしてましたら、お嬢ちゃんが刈られた生け垣を指差し、


「あっ、木が髪の毛切った!」


 と、お母さんに笑顔で叫びました。刈られた木を見て「髪の毛を切った」なんて、素晴らしいセンスですよ! お嬢ちゃん、詩人かな⁉

 お嬢ちゃんの言葉に、「本当だねー」と、お母さんもにっこりです。

 するとお嬢ちゃんは再び叫びました。


「かくがり!」


 かくがり……一瞬、何の事だろうと思ったのですが、すぐに気付きました。生け垣の刈られ具合がかなり直線的で、確かに角刈りのようなシルエットになっていたのです。お嬢ちゃんは三度叫びました。


「パパとおそろい!」


 そっかー、お嬢ちゃんのパパは角刈りなのかー。だからそんな単語を知ってるんだね、おりこうさんです。

 しかし、お母さんは通行人(私です)に気を使ってくれたのか、生垣のお宅に気を使ってなのか、慌てて、


「しー。ちょっと声が大きいよ」


 と、お嬢ちゃんを注意しました。私の事なら全然気にしなくていいのに、いえむしろ、そんな可愛い科白を聞かせて貰ってお礼を言いたい位なのですが……なんて考えてましたら、お母さんは更にお嬢ちゃんにこんなことを言いました。


「角刈りだとちょっと可愛くないから、『かくがりーた』って呼んだら?」


 ……と。

 お母さんの声はそれほど大きくはなかったのですが、丁度この辺りで親子とすれ違う形になったので、ダイレクトに耳に飛び込んできました。


 危なく、吹くところでした。お嬢ちゃんの「かくがりーた……」と繰り返す声がまたツボに……。駄洒落に弱いので、堪えるのが大変でした。


 秀逸なセンスの親子さんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ