81.罰が当たる時
先にシャワーを浴びた昌彦は、腰にタオルを巻いただけの姿で柔らかいベッドに腰かけていた。
シャワールームからは水の流れる音が聞こえている。
昌彦は不透明なガラスに映るカテチナの影を、ベッドからチラチラと見ていた。
細い首、男を虜にするには充分な胸の膨らみ、そしてむっちりとした太ももへと、カテチナの細い指が這っていく。影だけでもセクシーな肉体美に、昌彦は身もだえした。
焦れったい気持ちを抑えるように、昌彦は大の字になってベッドに倒れる。
手足を伸ばしてリラックスしていると、カテチナがバスローブを着てやってきた。
「ず、随分時間がかかったな」
余裕のない昌彦の言葉に、カテチナは蜜を塗りたくったような甘い笑みを見せた。
「隅々まで綺麗にした方が良いでしょう?さて、遊びの時間よ。たっぷりあ・げ・る」
そう言ってカテチナはベッドに腰を下ろした。乾かしたばかりの髪を梳くと、昌彦の横に寄りそうように寝転がる。
「さっきどこまでお話ししたかしら?」
「え、っと、カテチナさんが昔飼ってたペットの話?」
「ふふ、そうだったかしら」
カテチナがさらに身を寄せると、甘い香りがした。思わず昌彦がそちらに目をやると、前あわせのバスローブから、ふくよかな胸の谷間が覗いているのが見えた。
――す、すげぇ……!
昌彦が固唾を呑んでいると、カテチナが「ねぇ」とまた甘ったるい声を出す・
「マサヒコが飛空船の事件を解決した時の話、もっと聞かせてくださらない?」
「そうだなぁ……」
綿あめのように柔らかい声に、昌彦はほとんど放心状態になっている。
「テロリストとは、どうやって戦ったの?」
「俺が風船爆弾を作って、テロリストを撃ち飛ばしたんだよ」
自分を大きく見せたくて、昌彦は嘘をついた。だが、彼は目の前の女が自分よりもずっと嘘が上手いことに気付いていない。
「素敵。ねぇマサヒコ、あなたの源、私にちょうだい?」
カテチナはゆっくりと昌彦の上に乗り、彼の胸元に両手を置いた。
「は?源?」
「やだ、可愛いのね。愛し合う者同士、源気を与えあうのは当然でしょう?」
「そ、そうだよな、アトランス界では当たり前だよな?」
そんなことも知らないの?と思われるのが恥ずかしくて、昌彦はまた嘘をつく。
「マサヒコ……源もらうわよ?」
そう言うと、カテチナの細い腕は蔦になった。昌彦の顔から血の気が引き、恐怖に引き攣る。
「お、お前……ば、ばけも……」
昌彦の体はカテチナにしっかりと押さえつけられている。
「ふふふ、逃がさないわよ」
「ギョおおおおう!!!!!」
五本の指が茎になり、昌彦の口を塞いだ。掠れた叫び声は、この部屋にいた者だけにしか届かなかった。




