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町の式神 2
塚から離れた路地で、二匹はあれがなんだったのか分からないが、危険なものだと判断する。息を切らしながら電信柱の物陰に隠れた。
日が沈み、人ならざる者が活発化する。これ以上、あの場にいては危険だ。
周囲を伺いながら、「あれが犯人なのか?」と巫女式神は言った。
「いいや、あれは」
犯人がいるわけがない、だって──犯人は主なのだと言いかけるこちらを、巫女式神は遮る。
「まあ、今日はこれくらいにしとこう…あーなんだか出鼻くじかれちゃったなぁ、こえーかった!」
「そ、そうすね。あんなの、久びさでした」
脱力感を味わいながらも半笑いで答えるしかない。喰われてしまうかと思うほどに鬼気迫る気配がしていた。
あれは、何だったのだろう?
「じゃ、また明日!」
「は、はぁ…人ならざる者が明日なんて」
「アンタ、人ならざる者だろうが人だろうが決め文句はこれだろ!」
ニカッと眩い笑顔で彼女は言う。それが人間臭くて、たまらなく不安になった。
「え?え、ええ…」
「気をつけて帰りなよ」
二人は別れを言いそれぞれの持ち場に帰り、何事もなく終わる。