夏休みの謎解き冒険談
七海は話をしている間に本山誠二に電話を入れて
「明日の10時に取り付けておいたから」
ボディーガードの件も大丈夫だって
「住所を知らせておくわ」
あと、アルバイト君の名前は芒野尊君って言うの
「よろしくね」
と隆に住所を書いた紙を渡した。
隆は受け取り
「ありがとうございます」
と答えた。
春彦と直彦と隆は挨拶が一通り終わると車に乗って直彦のマンションへと戻った。
隆は直ぐに津村家のボディーガードを本山家へと向かわせた。
周辺の危険区域のチェックなど事前準備が必要なのだ。
早いに越したことはないのである。
春彦と直彦と隆の三人がマンションに戻ると既に白露允華と泉谷晟と茂由加奈子が直彦の部屋で作業を始めていた。
允華は扉が開き三人が入ってくると
「おはようございます」
と挨拶をして、直彦に
「先生、先にしてます」
と言い、春彦に
「春彦君、帰宅中に悪いね」
と告げた。
春彦は首を振ると三人に
「俺の方こそ皆さんに気を遣わせてすみません」
と告げた。
それに泉谷晟が
「いや、俺こそリファレンスとか色々借りて悪いな」
と答えた。
春彦は笑顔で
「いや、使ってもらえてうれしいです」
俺は使わなくなったので
と答え
「持って帰ってもらっても良いですよ」
と付け加えた。
晟は笑って
「いやいや、そうなると俺がここに来る意味がなくなるから借りとく」
と冗談ぽく応え、全員が笑い声をあげた。
春彦は更に
「あ、それで允華さん」
小説面白かったです
「どちらもHOWメインで凄く凝ってました」
と告げた。
「允華さんらしかった」
允華は笑顔になると
「そう言ってもらえると安心するよ」
と答えた。
春彦は頷いて
「じゃあ、俺…依頼があったからそっちを先に調べるので終わったらまたゆっくり話してください」
と言い、允華が「ああ、もちろん」と言い手を振ると立ち去った。
直彦と隆はリビングで仕事を始めた。
直彦は雑誌『クレセント』に寄稿する大人の女性向けの恋愛小説を書いている。
直彦自身は純愛ものを良く書くが今回は刺激的で煽情的なものをと注文を受けているので時折「う~ん」とか言いながらそれでも指を動かしている。
隣で隆は先日まで書いていた20代がターゲットの『キュンキュン』というファッション雑誌に連載している純愛恋愛小説の原稿のチェックをしている。
ここのところ二人は恋愛恋愛しているのである。
春彦は時折見せる直彦の眉間にしわのいった表情に
「直兄の苦手なタイプの恋愛小説だ」
と何となく理解し自室に入ると海埜七海から借りた紙を机の上に広げた。
明日の本山誠二と会うのに何の事前準備もしていなかったらそれこそ無駄になる。
自分が動くことで津村隆がどれだけの人を手配してくれているかを春彦はちゃんとわかっているのである。
「隆さんにも迷惑かけてるし…明日、現地でちゃんと本山誠一郎さんが手紙を残した意味を掴まないと」
そう呟き、春彦は紙を見つめた。
その時、伽羅から携帯に着信が入った。
春彦は応答を押すと
「伽羅、家でゆっくりしてる?」
と聞いた。
伽羅は頷いて
「うん、してる」
それでさ、近いうちにお父さんが挨拶しておきたいって
「九州でまた4年お世話になるからって」
春彦と直彦さん何時空いてる?
と聞いた。
春彦は考えながら
「今日、海埜さんのところへ行ってきて依頼もらってきて明日依頼主のところに行くから」
明後日か明々後日くらいかなぁ
と答えた。
伽羅は「依頼されたんだ」と少し笑いながら
「わかった、明々後日にしておく」
と答え
「二週間しかないのに悪いな」
と付け加えた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




