特別家系の公認会計士
春彦は笑顔で
「はい!」
と頷いた。
始は一つ息をつくと
「それで、この制服の人物の件だな」
と春彦の携帯を見た。
春彦は頷いて
「俺は当初、3年前に貴方が監査をやめた原因ではないかと思われる警備会社に関わる人物かと思ったんです」
ですが3年前から現在に掛けてこの警備会社の服になったことは一度もない
「もし警備会社の関係者が貴方を恨んでいたとしたら恐らく当時の制服で襲うのではないかと思います」
と告げた。
「記事を鵜呑みにすれば貴方は社長に忠告もしそれを社長が撥ね退けたとのことなので貴方を恨むのは筋違いですが」
始は頷いて
「ああ、俺はあの件に関しては気の毒だと思ったが俺が恨まれることではないと思ってはいるし、三年前に監査の仕事を辞めたのは…」
と言いかけて目を細めた。
「そう言えば、単独監査で引っ掛かった会社のビルを警備していた警備員の制服に似ているな」
春彦は目を見開くと
「単独監査?」
と聞いた。
始は頷いて
「ああ、小規模な個人会社や学校法人などは公認会計士が一人で行う単独監査が許されているんだが、上場するとか大きな会社は通常は複数人の公認会計士が監査を行わないといけないんだが3年前に音水精密工業という上場したばかりの会社がそれまでの通例で単独監査をして引っ掛かったんだ」
と告げた。
「公認会計士なら上場する会社は単独監査が法律的にも禁じられている事を知っているし私は社長にそう説明して監査法人か複数人で行える会社にと助言して知っている法人を紹介したんだが」
その後に他で単独監査を頼んだんだろうと思うが
「新聞に載っていて上場はなくなって心配になって入っていたビルに行ったんだが引き払われていた」
春彦は腕を組むと
「そのビルの番地と名前とか分かりますか?」
と聞いてチラリと譲を見た。
譲は小さく頷いてメモを取った。
始は春彦の問いかけに
「確か」
とビルの名前と住所を告げた。
春彦はそれを譲に調べさせることにしたのである。
もちろん、そのビルの警備を行っていた警備会社についてもである。
始は話を終えると
「何か分れば直ぐに知らせてもらいたい」
と告げた。
春彦は頷くと
「わかりました」
と答えた。
その後、始は島津家を後に四国へと戻った。
春彦は譲に先の件を至急調べるように頼み、午後から遊びに来た面々と話をした。
朔は「そうか、分らなかったんだ」と告げた。
春彦は頷き
「いま思い当たる会社を調べてもらってる」
と答えた。
「ただ、その人物がいつ襲うか分からないから護衛には付いてもらってる」
と付け加えた。
それに凜は
「けど、特別な家系なら普通は護衛が付いているんじゃないのか?」
それに土地を離れてるっていうのも気になるけど
と答えた。
樹は頷いて
「そうだね、特別な家系の人間が土地を離れるって余程の理由があると思うけど」
と告げた。
春彦は考え
「そう言われると…俺の父さんは直兄の行方を捜すのに九州を離れたけど戻るつもりはあったんだと思う」
と告げた。
大翔は腕を組むと
「特別な家系は土地に責任と義務があるからな」
と答えた。
それには全員が頷いた。
悠真は苦く笑って
「色々大変だな」
とぼやいた。
春彦はそれに曖昧に笑んで
「俺もその辺り分からないけど」
でもそうなら何か理由があるんだろうな
と窓の向こうを見た。
その夜、譲から意外な話を知らされたのである。
春彦は自室でその書類を見ると
「…そう言うことだったんだ」
と呟いた。
「平良さんの記憶に間違いはなかったってことか」
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




