特別家系の公認会計士
春彦と伽羅は大広間で更紗と春馬と共に食事を行い学校へと向かった。
学校では通常通りの授業が行われ、昼休みは教室の一角に集まって食事を取るようになっていた。
他の生徒は島津、陸奥、神宮寺、伊藤と特別家系が一同に介して食事をしているので遠慮して全員が食堂へ出かけて昼食を取るようになっていた。
所謂、暗黙の了解というものだ。
悠真は春彦と伽羅から突然松山城の話が出ると鋭い勘を働かせて
「もしかして、依頼か?それとも、松野宮の儲からない夢か?」
とビシッと告げた。
大翔は「噂のあれを予知した夢か」と呟いた。
伽羅は頷いて
「申し訳ありません」
とへこーんと自白した。
春彦は困ったように
「謝ることじゃないって」
と言い
「俺にとっても大切な夢なんだからさ」
と告げた。
悠真は腕を組むと
「俺は松山城行ったことあるぜ」
天守は低いけどちょっと変わった作りしているよな
と告げた。
朔は笑って
「そうだね、九州からは近いから」
俺も行ったことあるよ
と告げた。
「夏月君と松野宮君はないんだよね?」
調べたってことは
凛も大翔も樹も歩も陽翔も二人をジッと見た。
…。
…。
春彦は困ったように
「無い」
と答えた。
「江戸城の石垣見に行ったりとかはしたことあるけど」
こっちの方は全然
伽羅も頷いて
「俺もー」
と答えた。
凜は冷静に
「夏月君も松野宮君も関東だからしょうがないよな」
と告げた。
「俺も江戸城の石垣は見たことないし上の方はなぁ」
大翔も頷くと
「俺もだな」
と答えた。
日本は狭いようで広いのだ。
樹は春彦を見ると
「それで?そのどんな夢だったんだ?」
と聞いた。
それに全員がハッとした。
そこが一番重要で根本的な問いである。
伽羅もハッとすると
「あ、その松山城が見える事務所で男の人が書類書いてるとそこに警棒を持った警備員が入ってきたガツンって」
と叩く振りをした。
悠真がそれに
「なるほどな」
警棒で頭をガツンされたらヤバいよな
と呟いた。
春彦も頷いて
「ああ、それでその二人を見つけて止めようと思ってる」
と告げた。
「ただ何故その警備員が彼を襲ったかを見つけない限りは根本的な解決にはならないから同時進行で調べるしかないけどな」
凜と大翔は「そうだな」と答えた。
そうする理由を取り除かない限りはその場だけになるのだ。
それは凜も大翔もよくわかっていた。
自分たちの親世代がそうだったからだ。
羽田野家は特別な家系になるか、それが永遠に出来ないと分るかしない限り手を尽くしてなろうとし続けた。
島津春樹を。
秋月直樹を。
その子供の夏月春彦と夏月直彦を殺してもだ。
神宮寺家も特別な家であり続けるために手を貸したのだ。
それによってどれだけの人々が傷つき苦しみ続けたか。
身内の人間すら犠牲にしたのだ。
凜は春彦を見ると
「何かあれば言ってくれ」
と告げた。
それには朔も悠真も樹も大翔も歩も陽翔も頷いた。
春彦も伽羅も笑顔で
「「ありがとう」」
と答えた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




