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リバースプロキシ  作者: 如月いさみ


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親子の形

昼休みが始まると開口一番の名乗りを上げたのはいつもの悠真であった。

「いや、久しぶりだよな」

何か漸く落ち着いたって感じだな


そう言い

「ま、金にならない夢も今は見てないみたいだし…探偵騒ぎはなさそうで良かったな」

と告げた。


瞬間にチラリと伽羅が春彦を見た。


…。

…。


朔がそれに

「もしかして、また夢見たの?」

と聞いた。


悠真は「またかー」と叫んだ。

が、慌てて伽羅が

「いや、俺も見てない」

と告げた。


大翔が腕を組むと

「ということは、他か」

と告げた。

「あれか?探偵事務所だったっけ」


凜が「海埜探偵事務所」と正式名を告げた。


春彦は頷いて

「ああ、内容は言えないけどな」

と言い

「けど、無防備に動くのは押さえてる」

と答えた。


樹が苦笑しながら

「だよな」

と相槌を打った。


特別な家系とそうでない人間とが平等にポンポンやり合っている状況に歩も陽翔もついていけずに汗を浮かべるしかなかった。


春彦はそれに二人を見ると

「俺、この一か月半近く休んでいたから勉強も戸惑うかもしれないけどよろしくな」

南くんに小竹くん

と告げた。


歩は頷い

「ああ、俺も宜しくお願いします」

島津さん

と答え、小竹も

「ああ、俺も宜しくお願いします」

と告げた。


春彦が島津家次男であることは狙撃事件を切っ掛けに知れ渡ることになった。


春彦は困ったように笑み

「あ、俺まだ夏月だから」

呼び捨てで良いぜ

と告げた。


歩と陽翔は「ええ!」と言ったものの大翔が「良いんじゃないか?」と助言した。


歩は意を決すると

「じゃあ、夏月よろしくな」

と強張った笑みを浮かべた。


陽翔もまた

「俺もよろしく、夏月」

と答えた。


春彦は笑顔で

「ああ、宜しく」

南に小竹

と告げた。


話が纏まったところで悠真が伽羅を見た。

「それで、松野宮は福岡芸術展に出す絵の方は進んでるのか?」

夏月バッタバタだろ?


春彦は「バタバタしてないけどな」とぼやいた。


伽羅は笑って

「進んでるよ」

大丈夫

と答えた。


それに歩と陽翔は「「おお」」と声を上げた。


歩は驚きながら

「松野宮君、福岡芸術展に出すんだ」

凄いな

と言い

「けど、芸術展って色々あるみたいだぜ」

と告げた。


それに全員が顔を向けた。


彼の母親は結構なスピーカー女性で情報も結構持っているようであった。

「なんかさ、母さんが知ってる話では芸術展の審査員に大岡太蔵って人がいるんだけど」

結構有名人で色々賞を取っているらしいんだ


春彦と伽羅は同時に

「「知ってる」」

と心で呟いた。


歩は肩を竦めて

「それがさぁ、若い頃に絵のライバルと恋人を奪いあいして略奪愛で結婚したって」

と告げた。


それに春彦は驚くと

「それって…もしかして楠野蓮司って人と?」

と聞いた。


歩は思い出しながら

「そんな名前だったかなぁ…でも、そのライバルって人、結局は九州を出て行ったって話だけどな」

と答えた。


春彦は心で「多分楠野蓮司だ」と思うと

「でも、その人が九州出たのは略奪愛から大分経ってからじゃないのか?」

と聞いた。


歩は悩みながら

「俺もながらで聞いてたから…よくわからないけど、その出て行った人を心酔している弟子が同じ審査員だって言うから互いに推す作品で火花が飛ぶんじゃないかって母さんが言ってた」

気をつけろよ、松野宮くん

と告げた。


伽羅は心の中で

「ひー、こわっ」

とぼやいた。


春彦は腕を組んだ。

「3年だけの弟子って聞いたけど…心酔して弟子になったんだ」

そう心で呟いた。


しかも大岡太蔵と楠野蓮司の間には彼の妻を巡っての三角関係があったとは。

想定外である。


朔は「へー」と声を零し

「何か複雑だね」

と呟いた。


凛は冷静に

「でも、そう言うことで芸術展の賞で揉めるとは思わないけどな」

度が過ぎれば問題になるからな

「神宮寺が支援している芸術家のグループでもその辺りは節度を持つように忠告はしている」

と告げた。


樹はむ~んと悩みながら

「けど、弟子とか派閥贔屓とかはあるあるだよ」

大岡太蔵はけっこう公平らしいって聞いたことはあるけど

と告げた。


大翔は腕を組み

「まあ、福岡芸術展だけに限らずだけどな」

でも本当にいい作品以外を選ぶと展示会でブーイング出るからその辺りは何処の派閥も節度を持ってるぜ

「羽田野の面倒見てるグループもそうだし」

と告げた。


伽羅は困ったように笑い

「どうであっても俺はあるがままを受け入れるだけだけどな」

と言い

「そう言うの気にしないことにしてる」

と告げた。

「俺は俺の絵を頑張るだけだから」


悠真は立ち上がって伽羅の肩を叩くと

「さっすが!」

俺は応援しているぜ

と告げた。


朔も「俺も」と告げた。

春彦もまた「俺もだ」と笑った。


凜も樹も大翔も陽翔も歩も全員が頷いた。


予鈴が鳴ると机を片して席に着いた。

春彦は歩から聞いた話を整理しながら大岡太蔵にあの脅迫状を送った人物を絞り込んでいた。


脅迫状の状況と目的から犯人像は絞れてくる。

一つは大岡太蔵が審査員であることを知っている。

それに関しては南歩の母親のように情報通で関係者以外でも知っている人はいるようである。

二つは10年前の楠野蓮司との喧嘩を知っている。

三つは大岡太蔵に恨みを持っている。


春彦は授業を聞きながら

「一番は弟子の村瀬隆二だけど」

と呟いた。


考えると他に全てが当てはまる人物がいないのだ。

ただ今のところ救いなのは脅迫状のみで大岡太蔵に危害が加えられていないということである。

万が一ということはあるので一刻も早く犯人を見つける必要があった。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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