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親子の形

春彦は目を見開くと伽羅を見つめた。

きっと。

本当に。

伽羅は自分よりもずっとしっかりしているのだ。

以前にも何度かこう感じることがあった。


直彦に『好きな道を選べ』と言われた時もそう思った。

落ち込んだり迷ったりする自分を引っ張ってくれた。


春彦は笑みを見せると

「わかった。ありがとうな、伽羅」

俺いつも伽羅に助けられてるな

と告げた。


伽羅は驚くと

「?よくわからないけど、何時も助けられてるの俺だけど」

とぼやき

「一緒に頑張ろう、春彦」

と答えた。


春彦は頷いて

「ああ」

と答え

「邪魔して悪かったな」

と笑顔で手を振ると立ち去った。


伽羅は手を振って見送り一人自分の絵を見返して

「かっこ良く描いてるかなぁ?」

俺はもっともっと春彦は綺麗だと思ってるんだけどな

と呟いた。

「九州に来た頃よりも凄くしなやかで強くなってる」

それを描けたら良いな


夜は深々と降り、春彦は譲にすぐさま大岡太蔵の身辺以外に福岡芸術展の関係者と楠野蓮司についての経歴と現在の居場所などを調べるように指示を出した。


傷害の時効は10年。

『お前に美術を審査する資格はない福岡芸術展の審査委員を辞退しなければ天誅をくだす。時効が来ようとお前のしたことが無くなることはない』

という文面にあった『時効が』の件は正にそれだと春彦は思ったのである。


同時に大岡太蔵が楠野蓮司について聞いたこと以上のことを答えたことで大岡太蔵が彼の現在を知りたいと思っていることが判ったのである。


翌日の日曜日の朝に春彦が目を覚ますと譲が挨拶と共に警備の手配が済んだことを告げた。

「おはようございます、春彦様」

警備の手配はすみましたので訪問日をいかがいたしましょうか?


春彦は服を着替えて顔を洗うと

「出来れば早い方が良いけど大岡さんの身辺と楠野蓮司についてある程度調べてからの方が良いかと思う」

と呟いた。


譲は頷き

「確かにですね」

と言い

「わかりました、報告が上がりましたらご連絡いたします」

と答えた。


春彦は「急がして申し訳ないけどお願いする」と答え、ちょうど顔を洗いに来た伽羅を見ると

「おはよう」

ちょうど俺も起きたところ

と笑いかけた。


伽羅も笑顔で

「俺もー」

と答え

「今日もモデル頼めそうかな?」

と聞いた。


春彦は頷いて

「いいよ」

と答えた。


訪問も全ては譲に調べさせている報告が来てからである。

それまで時間はある。

それに、と春彦は考えた。


「伽羅さ、福岡芸術展の話で分かることで良いから聞いても良いかな?」

伽羅は「もちろん」と答えた。

「俺のわかる範囲になるけど」


春彦は伽羅が顔を洗い終えると一緒に歩きだしながら

「勿論、悪いな」

と告げた。


伽羅は首を振ると

「別に」

その分モデルしてもらうからさ

と笑った。


二人はその後朝食を更紗と春馬の4人でとり、伽羅の部屋に行くと芸術展に出す絵の制作に取り掛かった。


昨晩も書いていたのだろう下絵と下地の塗りは出来上がっていた。


春彦は絵を見て

「凄いな、もうほぼほぼできてるじゃん」

と告げた。


伽羅は首を振ると

「ここから本格的に色を落としていくんだからまだまだだよ」

と答えた。


春彦は朔屋と同じように窓際に椅子を置いて座った。

窓から朝日が射し込み逆光の中で春彦が椅子に座って伽羅を見つめていた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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