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リバースプロキシ  作者: 如月いさみ


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親子の形

二人は顔を見合わせると同時に吹きだして笑い声を零した。

その後、譲から夕食の声がかかり大広間へと向かったのである。


春彦は譲には先に大岡太蔵のことを調べておくように指示を出した。

現在の状況とこれまでの経歴などである。

他に調べることが出来る可能性があるのでその時はまたお願いすると付け加えたのである。


そして、その日の夜に大岡太蔵へと電話を入れた。

が、大岡太蔵は既に島津家から自宅警備の連絡を受けており、その事情を聞いて驚きと疑問符の嵐を覚えていた。


「え?島津家のご次男の春彦様が…あの、海埜探偵事務所の…探偵を?」

何故????

本当に何故?しか出なかった。


特別な家系の中でも特殊な家系である島津家の次男が何故態々高校生からアルバイトをしているのか理解が出来なかったのである。


金が必要というわけではないだろうに、である。

無論だからと言って警備を拒否することはしなかった。


大岡太蔵にとっても島津家は重要なパトロンである。

彼が一流になるまでの支援やその後の絵の購入など支えられている部分は大きかった。


その上での電話である。


大岡太蔵の女中は電話に出た瞬間に

「島津家のご次男…キター!」

と心で叫び

「ご主人様ですね」

かしこまりました

と答え、慌てて大岡太蔵に子機を渡した。


「島津家のご次男の春彦様からです」


太蔵は咳払いをすると

「代わりました、大岡太蔵です」

と答えた。


春彦は「お忙しいところ申し訳ありません」と言い

「まず、既にご連絡が行っているともいますがこちらの都合で島津家のボディーガードが配置につくことをおわび申し上げます」

と告げた。


太蔵は腰の低い言い方に

「いえ、こちらこそ脅迫状の件よろしくお願いいたします」

と答えた。


春彦は頷くと

「早速ですが、脅迫状の文面をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

原本はお伺いしてから拝見させていただきますが

「内容から察することが出来ることがあるかもしれませんので先にと思います」

と告げた。


太蔵は脅迫状を手に

「では」

と言い

「紙は通常のコピー用紙で印刷されているのですが」

と続けた。


「『お前に美術を審査する資格はない福岡芸術展の審査委員を辞退しなければ天誅をくだす。時効が来ようとお前のしたことが無くなることはない』と書かれていて」


春彦は太蔵が告げた内容をメモに取り

「大岡さんは福岡芸術展の審査委員なのですか?」

と聞いた。

太蔵は「ええ、審査委員長を打診されて受けました」と即答した。


春彦は伽羅のことを脳内に過らせると

「そうですか」

と答え

「犯人の要求は審査委員長の辞退ということですね」

と呟き

「貴方が審査委員であることを知っている方はどのくらい居られますか?」

と聞いた。


太蔵が審査委員であることは恐らくそれほど多くの人が知っているとは思えなかった。

美術展のチラシやパンフレットを伽羅から見せてもらったことがあるがその何処にも審査委員について名前は載っていなかった。


不正などを考えてだろう。


つまり、その事を知っている人物ということになる。

春彦の問いかけに太蔵は

「恐らくは芸術展主催者と運営、他の審査委員でしょう」

その誰かが話をしていれば他にもいるとは思いますが

と答えた。


春彦は「なるほど」と答え

「最後に時効が来ようと…と書かれているので恐らく何かあって時効が間近なのだと思います」

誤解を含め

「そう言うことに心当たりは在りませんか?」

と告げた。


もし覆い隠したい秘密があったならば不快な思いをさせるかもしれないが、脅迫状の犯人の犯行を止めるにはその理由は絶対に必要なのだ。


そう、何故こんな脅迫状を送ったのかの原因がここにあると思われたからである。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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