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リバースプロキシ  作者: 如月いさみ


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巌流島の恋人たち

伽羅は立ち上がると

「じゃあ、部屋で寝てくるな」

と告げた。


流石にこれまでのように一緒に寝るわけにはいかなかった。


春彦は頷くと

「悪いな、じゃあな」

と見送った。


7時前に春彦は目を覚ますと部屋に訪れた武藤譲に

「伽羅は?」

と聞いた。


ちゃんと起きれたのかが心配だったのだ。


譲は笑顔で

「今、顔を洗われております」

と答えた。


春彦はリクライニングを起こすと

「俺もそろそろ起きないとな」

と告げた。


譲は車椅子を横につけると身体を起こすのを手伝った。


春彦は溜息を零すと

「早く自由に動きたい」

とぼやいた。


譲はそれに

「後一か月ほどは家の中で身体を治していただきますように」

と言い

「その間に警備の講義を行いますので」

と付け加えた。


春彦は頷き

「あ」

というと

「実は、武藤さんのお力を借りたいことが出来たので」

お手数をお掛けしますがよろしくお願いします

と頭を下げた。


譲はフッと笑むと

「春彦様、貴方にお伝えしておきたいことがあります」

と言い、不思議そうに見た春彦に

「貴方がそうやって動く前に言っていただけることが私は嬉しいです」

お気遣いなく言ってください

「その方が助かります」

と告げた。


正直、これまでのように勝手に動き回れる方が譲には困った事なのだ。

ただ、命令してくれというと春彦のこれまでの性格上『そんなことできない』と答えるだろうと思ったのでその言葉は伏せたのだ。


春彦は朝食を更紗と春馬と伽羅の4人で取ると更紗に

「あの、お母さん」

とお茶の席で呼びかけた。


更紗は「どうかしましたか?」と聞いた。

流石に怪我の為に外出できないのでどこかへ飛んでいくと言わないだろうと判断したのである。


春彦は彼女に

「前に、俺を福岡空港に迎えに来てくれた時に持ってたショルダーバッグは何処で買ったのですか?」

と聞いた。


更紗は首を傾げた。


春彦は手真似をして

「これくらいの大きさの留め金がAって金属のやつです」

と告げた。


更紗は「ああ」というと

「アーメスのショルダーね」

と告げた。


春彦は「アーメス」と呟いた。


更紗は笑むと

「春彦もアーメスが良いのですか?」

と聞いた。


春彦は慌てて

「いや、その…どこで売っているんですか?」

と聞いた。


更紗は「そうですね、アーメス自体は何処でも売っていると思いますよ」と言い

「必要なら取り寄せましょうか?」

と告げた。


春彦は「あー、俺は今持っている鞄で良いです」と答えた。

「今の鞄でも怖くて使いにくいのに」


前に特注で作った鞄である。

値段を見てビビったものなのだ。


春馬と更紗にはその感覚はなかった。

このアーメスのブランドも100万以上するバッグが主流なので春彦は自分がビビる前に回避したことになるのである。


伽羅も春彦の言葉に小さく頷いた。

伽羅もビビった人間なのだ。


伽羅は立ち上がると

「じゃあ、俺は学校に行ってきます」

と告げた。


譲は春彦を見ると

「それでは春彦様もお身体を休めた方が宜しいでしょう」

と部屋へと戻った。


伽羅はいつものように車で西海道大学付属高校へ行き、春彦は部屋に戻るとベッドで身体を休めながら

「今から言う場所の周辺のビデオを撮って来て欲しいんだけど」

と告げた。


譲は頭を下げると

「かしこまりました」

と答えた。


春彦は携帯を取り出すと

「それで、もしその場所で今から見せる男性か女性を見かけたら見張って欲しい」

と告げた。


譲は頷いた。

「かしこまりました」


春彦は伽羅が描いた男性と女性の絵を見せた。


譲は少し考え

「もしできましたら画像を転送していただけますでしょうか?」

その方がこちらとしても伝達しやすいので

と告げた。

「それからこの二人をお探しならばこの絵を手掛かりに探すように指示を出しますが」


春彦は目を見開くと

「え?」

と声を上げた。

「あの、あまり大々的には」


譲は笑顔で

「心得ております」

と答えた。

「春彦さまの探偵業だと判断しております」


春彦は頭を下げて

「お願いします」

出来れば二人の経歴も

と告げた。


譲は「はい」と答えた。


春彦は譲に場所を山口県の巌流島とその周辺の地域…つまり下関辺りを調べることともう一か所は愛媛県の興居島と松山辺りを調べるように指示を出した。


譲はそれを受け取ると直ぐに部下に指示を飛ばした。


春彦は目に鱗であった。

というか

「俺、ずっと目から鱗ばっかり落ちてる気がする」

と心で呟いた。


これまでは全て一人でしてきたのだ。

調べるのも動くのも一人であった。

もちろん、伽羅も同行してくれていたのだがほぼほぼ春彦一人で解決してきたのだ。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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