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リバースプロキシ  作者: 如月いさみ


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巌流島の恋人たち

退院と言っても多少歩ける程度だったので車椅子での退院であった。

久しぶりに島津家に戻るとベッドへ運ばれ、やはり動くことはできなかったがそれでも病院よりは幾らかは気が楽であった。


春彦ははぁ~と肩の力を抜くと伽羅を見て

「ごめんな、色々大変な目に合わせて」

と告げた。


伽羅は首を振ると

「いや、俺の方こそ…もっと早くあの時連絡できていればよかったんだけど」

兄やお父さんやお母さんも心配してた

と告げた。


春彦は情けないという表情で

「伽羅の家族にも心配かけてハァ~ごめんな」

と言い

「俺が本当に今まで東京だったら直兄や隆さん、こっちではお母さんや春馬さんや武藤さんに甘えていたんだと思う」

勇ちゃんにもすごく心配かけたし本当に怒らせた

と呟いた。


神守勇は芯が強くて明るい女性である。

春彦のこともちゃんと理解してくれて応援もしてくれている。


その彼女が開口一番に言った言葉が

『私、怒ってます』

なのだ、かなり本気で怒っていたのだろう。

しかもすごく心配させてしまった。


伽羅は春彦を見て

「けど、勇ちゃんの言ったこと本当だから」

と告げた。

「俺の夢の中で勇ちゃん同じこと言っていた」

だから

「春彦は春彦の身体を守ることも視野に入れないとな」


春彦は頷いた。

そして、部屋の隅で二人を見守る武藤譲を見ると

「武藤さんにも今回は本当にすみませんでした」

と告げた。


譲は首を振ると

「いえ、屋上の件を言い忘れていたのは私の本当の落ち度でした」

申し訳ありません

と告げた。


春彦はそれを受け止め

「実は」

と唇を開いた。


譲はそれを聞くと大きく目を見開き

「…本当に春彦さまは私の考えの斜め上を行きますね」

と静かに笑むと

「かしこまりました」

と告げた。

「体技の方はお身体が治ってからで講義的なものは明日からでも」


春彦は頷いて

「ありがとう」

と答えた。


伽羅も笑顔で

「確かに春彦がボディーガードくらいの知識と護身術を身につけたら自分の身も守れるよな」

と告げた。


春彦は笑顔で

「ほら、伊藤君や神宮寺君も護身術を習ってるって言ってただろ?」

俺はそう言う知識も技術もなかったなぁと思って

と答えた。

「それに、直兄が心配して4回生目前の上に小説書いてて凄く忙しい允華さんまで派遣してくれたんだ…それに応えなかったら本当に俺どうしようもない奴になっちゃうからな」

それにもう色々な人に九州まで足を運ばせてしまって

「本当に申し訳なかったなぁって思って」


允華は昨日東京へ帰って行ったが、それまでは病室の春彦に情報収集や精査の方法、目の付け所などを実際の事例を交えて教えてくれた。

彼は謙遜して『ただしこれは素人である俺の考え方だから一つの指標程度に受け取ってくれれば良い』笑って言っていたが春彦には驚くほど思慮深く様々なことを形にして理解している人だと分ったのである。

そして、允華は最後に

『後は春彦君がチャレンジしながら身につけていくことだね』

そう言ったのだ。


春彦は今まですべてが分った上から考えていたし、それ以上に行動と思考が同時進行だったので形にして矛盾や手掛かりを元に推理していくことが抜けていたのだ。


しかし、探偵業として答えが分からない時点からの着眼点については溜息が出るくらい目から鱗であった。

また、その推理の裏付けという作業にかなりの知識と資料が必要だということも理解した。


まだまだ知識の蓄積が必要なのだと分ったのである。


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