第1話底辺探索者、娘のためにダンジョンへ潜る
APOLLOを通じてこーゆうのも面白そうと思って書いてみた作品です。
メインはAPOLLOなのでこちらが面白いと思えたらAPOLLOも読んで欲しい…
ただAPOLLO1話1話がクソ長いので…そこはすいません
俺は、強くなりたかった。
誰かに認められたいからじゃない。
金持ちになりたいからでもない。
ただ――。
娘「パパ、だいじょうぶ?」
小さな手が、俺の作業着の裾を掴んでいた。
俺は膝をつき、娘の頭を撫でる。
父「大丈夫だ。パパは絶対に帰ってくる」
そう言って笑った。
けれど、本当は分かっていた。
今日潜るダンジョンは、
Fランク探索者の俺が入っていい場所じゃない。
失敗すれば、帰ってこられない。
それでも行くしかなかった。
妻が倒れた。
治療費は三百万円。
期限は一週間。
俺の通帳には、二万三千円しかない。
笑えるだろ。
家族を守りたい男が、
家族を守る金すら持っていない。
妻「無理しないで……」
ベッドの上で、妻がかすれた声を出す。
父「無理くらいするさ」
俺は古びた剣を腰に差した。
市販の安物。
刃こぼれだらけ。
探索者協会の職員にも笑われた武器だ。
それでも、今の俺にはこれしかない。
娘「パパ、こわい?」
俺は少しだけ黙った。
怖いに決まってる。
死にたくない。
逃げたい。
こんな現実、全部投げ出したい。
でも。
父「怖いよ」
娘「え……」
父「でもな、怖くても行くんだ。パパだからな」
娘は泣きそうな顔で俺を見た。
俺は笑う。
強くなんかない。
才能もない。
探索者ランクは最下位のF。
魔力値も最低。
スキルも外れ。
協会からは何度も言われた。
職員「あなた、探索者向いてませんよ」
知ってるよ。
俺だって分かってる。
でもな。
向いてないからって、
守ることまで諦められるかよ。
父「行ってくる」
娘「パパ!」
玄関を出る瞬間、娘が叫んだ。
娘「ぜったい、かえってきてね!」
俺は振り返らずに手を上げた。
父「あぁ。約束だ」
その約束だけを胸に、
俺は人生で初めて、
命を賭けるダンジョンへ向かった。
__________
東京第七ダンジョン。
十年前、世界各地に突如現れた異空間。
中には魔物が生息し、倒せば魔石が手に入る。
魔石はエネルギー資源として高額で取引され、
探索者という職業は一気に人気になった。
だが、俺はその底辺。
Fランク探索者。
倒せる魔物はスライム程度。
稼ぎは日給五千円いけばいい方。
家族三人を養えるわけがない。
だから昼は工場。
夜は探索者。
寝る間も惜しんで働いてきた。
それでも足りなかった。
父「くそ……」
ダンジョンの入口で拳を握る。
怖い。
心臓がうるさい。
足が震える。
でも、娘の顔を思い出す。
妻の声を思い出す。
父「俺がやらなきゃ、誰が守るんだよ」
そう呟いて、一歩踏み出した。
ダンジョンの中は薄暗かった。
湿った空気。
壁に張り付く青白い苔。
奥から聞こえる獣のような唸り声。
普段なら一階層で引き返す。
だが今日は違う。
俺は二階層へ降りた。
そして、すぐに後悔した。
魔物「グルルルル……」
そこにいたのは、
俺が絶対に勝てないはずの魔物。
鉄皮狼。
Eランク探索者が三人がかりで倒す相手。
父「……嘘だろ」
足がすくむ。
逃げろ。
頭の中で警報が鳴る。
でも、背中には家族がいる。
俺が逃げたら、妻は助からない。
娘との約束も守れない。
父「来いよ……」
震える手で剣を構えた。
父「俺は、帰らなきゃいけないんだ」
鉄皮狼が地面を蹴った。
速い。
見えない。
次の瞬間、俺の体は壁に叩きつけられていた。
父「がはっ……!」
息が詰まる。
剣が手から離れる。
痛い。
立てない。
だめだ。
死ぬ。
そう思った瞬間――。
娘『パパ、ぜったい、かえってきてね!』
娘の声が頭に響いた。
父「……まだだ」
指を動かす。
地面を掴む。
血の味がする。
怖い。
痛い。
逃げたい。
でも。
父「俺は……父親なんだよ」
その時だった。
胸の奥が熱くなった。
心臓が燃えるように脈打つ。
視界の端に、文字が浮かび上がる。
《条件を満たしました》
《固有スキル:家族愛を覚醒します》
父「……は?」
《守るべき家族がいる時、限界を超えて能力が上昇します》
《家族への想いが強いほど、上昇率は増加します》
次の瞬間。
全身に力が戻った。
いや、戻ったなんてもんじゃない。
今まで感じたことのない力が、
体の奥から湧き上がってくる。
父「なんだよ……これ」
鉄皮狼が再び飛びかかる。
さっきは見えなかった動き。
今は見える。
俺は拳を握った。
父「悪いな」
娘の顔が浮かぶ。
妻の笑顔が浮かぶ。
父「俺は今日、絶対に帰るって決めてんだ」
拳を振り抜く。
ドゴォォォン!!!
鉄皮狼の巨体が吹き飛び、壁に叩きつけられた。
静寂。
俺は荒い息を吐きながら立っていた。
足元には、光り輝く魔石。
これまで見たこともない大きさだった。
父「……これなら」
俺は魔石を拾う。
手が震えていた。
恐怖じゃない。
希望だった。
父「助けられるかもしれない」
この日。
最弱Fランク探索者だった俺は、
家族を守るためだけに覚醒した。
そしてまだ知らない。
この力が、
世界最強の探索者へ至る第一歩になることを。
最弱ランクF探索者の俺は、家族を守るため最強を目指す
略してF守。(エフマモ)
まぁ楽しんでもらえたらAPOLLOも読んでください…笑




