第一話:消えた兄と、異世界への理不尽な強制召喚
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現代の圧倒的な【資本力】×【最新科学】で、異世界の常識を札束でひっくり返す双子無双ファンタジー、開幕です!
本日はスタートダッシュとして、【17:30から一気に全8話を連続投稿】いたします!まずは第1話をお楽しみください!
1.日常の崩壊
「……よし、じゃあ次の長文、橘。読んでみてくれ」
新学期が始まって間もない、九月最初の英語の授業。
二十三歳の新人教師である俺、三好翔は、教壇から生徒たちを見渡していた。
夏休みの気だるさがまだ残る教室。クーラーの冷気が心地よく響く中、生徒たちは退屈そうに教科書をめくっている。どこにでもある、いつも通りの、平和で当たり前の日常のはずだった。
「先生……なんか足元、光ってない……?」
席についた橘ほのかが、怪訝そうに自分の足元を指さした。
その言葉に、クラス中の視線が床へと注がれる。
その瞬間、俺の全身の肌が粟立った。
教室の床、ちょうど真ん中の席あたりから、どす黒い紫色の光が溢れ出していたのだ。光は生き物のように蠢き、複雑な幾何学模様を描きながら、みるみるうちに巨大な魔法陣を形成していく。
「みんな、席から離れろ! 後ろに下がれ!」
俺は叫び、教壇から飛び降りた。
だが、光の膨張は一瞬だった。
「うわあああ!?」
「なにこれ、動けない!」
魔法陣の中心にいた水上陽斗、橘ほのか、柊鏡花、不破真司の四人が, 光の檻に囚われたように硬直している。俺は頭で考えるより先に走り出し、一番近くにいた水上の腕を掴んで引っ張り込もうとした。
その瞬間、視界が真っ白な閃光に塗り潰された。
強烈な浮遊感。鼓膜を突き破るような高音のキーンというノイズ。
自分の身体が分子レベルでバラバラになり、どこか別の場所に乱暴に再構築されるような、おぞましい感覚が全身を駆け抜けた。
数秒だったのか、それとも数時間だったのか。
不意に、強烈な「冷気」と「石の匂い」が鼻腔をくすぐり、俺は硬い石畳の上に激しく叩きつけられた。
「う, ぐ……っ、はぁ、はぁっ!」
激しく咳き込みながら、俺は必死に周囲を見回した。
「先生……? ここ、どこ……?」
「嫌だ、怖い、帰りたいよ……!」
周囲から聞こえるのは、聞き覚えのある生徒たちの泣き声だ。全員無事のようだが、腰を抜かして震えている。
そこは、学校の教室ではなかった。
天を衝くような高い天井。壁一面に描かれた、見たこともない神獣や宗教的なフレスコ画. ステンドグラスから差し込む薄暗い光。まるで中世ヨーロッパの大聖堂だ。
俺たちの周囲を、冷酷な鉄の兜で顔を覆った「武装した騎士たち」が完全に包囲していた。
「な、なんだよこれ……映画の撮影かよ……?」
不破真司が震える声で呟く。
彼らの視線の先、一段高い玉座のような場所に、きらびやかな法衣をまとった老人たちがいた。さらにその横には、俺たちと同世代に見える、豪奢な武装をした四人の若者たちが立っていた。
「──†‡¶§‡†‡!」
老人の一人が、俺たちを見下ろして何かを叫んだ。
言葉の意味は全くわからない。だが、その声に含まれるのは、明らかな「困惑」と「焦燥」、精度高き「失望」だった。
英語教師として、それから一人の大人として、俺の脳細胞が全力で警鐘を鳴らし始める。
彼らの目は、歓迎すべき「勇者」を迎えた目ではない。
高価なガチャを引いて、お目当ての激レア武器ではなく、ゴミのようなハズレアイテムを引いてしまった時の──そんな、底冷えするような落胆の目だった。
2.異常事態の検知
「ええ、ですから。その銘柄は買いです。今のアメリカの金利を考えれば、半期で十五%は固い。……はい、失礼します」
大阪市内のタワーマンションの一室。
二十三歳の若さで億単位の資産を動かす個人投資家、三好駿は、スマートフォンを耳に当てたまま、マルチディスプレイに映し出されるチャートを睨みつけていた。
大学時代に始めた株で一財産を築き、卒業後はプロの投資家として活動している。
双子の兄である翔が「真面目に高校教師になる」と言い出した時は、その割に合わない労働環境に呆れたものだが、お互い我が道を行く性格だ。元気でやっているならそれでいいと思っていた。
だが、その日の午後に鳴り響いた一本の電話が、すべてを一変させた。
『──三好駿さんでしょうか。大阪府立浪速高校の学年主任の佐藤と申します。実は、お兄さんの翔先生が……』
電話の向ないの男は、完全にパニックに陥り、呼吸を荒くしていた。
「兄貴がどうしたんです? 授業中に倒れでもしたんですか」
『ち、違うんです! 消えたんです! 英語の授業中、教室の床に光る模様が現れて、三好先生と生徒四人が、本当に……目の前で煙のように消えてしまったんです!』
……は?
何を言っているんだ、この男は。
「先生、悪質な悪戯ですか? 冗談なら切りますよ。今忙しいんで」
『冗談なわけがないでしょう! 今、警察と消防が来て教室は大騒ぎです! 監視カメラにも、彼らが一瞬で消失する映像が残っているんです!』
電話を切った後、俺は冷や汗が背中を伝うのを感じた。
あの超現実主義で、つまらない冗談一つ言わない翔が、学校から集団で姿を消した?
誘拐? いや、監視カメラの前で一瞬で消失する誘拐など、現代の科学技術では不可能だ。
その時だった。
俺のデスクに置いてあった、仕事用とは別の「プライベート用スマートフォン」が、聞いたこともない大音量でバイブレーションを開始した。
(次の話は、このあとすぐ17:35に更新!下部の「次の話へ」からどうぞ!)




