表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ものがたり  作者: kaitemita
PR
5/5

光る石


「作れなかったの?」

少し意地悪な聞き方になってしまった。

案の定、彼は少し口を尖らせて困ったような顔をしている。そんな仕草が可愛らしくて、きゅっと抱きしめて頭を撫でてあげた

――。

後ろの姉妹が、ものすごい顔をして睨んでいたっけ。

離れた者同士がやり取りできる仕掛けなんて、本当に作れるとは思っていなかった。もしできたら、それこそ「革新的」な大発明だもの。



「これを姫に」

差し出されたのは、ひとつの透明な石だった。

それを包み込む彼の掌は、もう、かつてのちっちゃな手ではない。

出陣式を終えた彼のそばへ、私は偶然を装って近づいた。

いえ、偶然。出陣式のたびにここへは来ていたけど、偶然。

、、、ずいぶん、待たされたわ。

声をかけると、彼は小走りに駆け寄ってきて、私の前でひざまずこうとしてやめた。そう、それでよいの。出陣式を終えたのだから、たとえ相手が王族でも騎士がひざまずく必要はないの。覚えておきなさい、ね。



「近くにいると光るん……いや、光ります」

途中で無理に言葉遣いを改める彼。相変わらず、お話は苦手なのね。

うっすらと曇った半透明の石が、淡い光を放っている。

――聖国の姉様からの手紙に書いてあったものと同じだわ。

手紙の末尾にさらっと書いてあったのを見た時、胸がザワザワした。姉様に先に渡したのね。

仕方ないわ、あなたは聖国との国境にいたんだもの。でも、あなたは我が国の騎士よ。聖女候補から労いを受けたからって、わざわざあちらへ出向くことはないの。そういうのはもっと偉い騎士団長とかがやればよいの。

なにより、これを思いついたのも、作ってと伝えたのも私。それなのに姉様の後だなんて、なんだか少し気に入らない。

「どれくらい近くにいるかもわかるのかしら」

私が訊くと、彼はまた困った顔をした。

彼の頭に触れて髪を撫でてあげたくなった。

まだ手を伸ばせば届くかしら。

少し下がって立っている姉妹が2人同時に目を見開いて睨んできた。

妹は噛み付きたそうに歯をガチガチさせ、姉の視線はさらに鋭い。「とっととどっかいって」そう言いたげに。

あの街でもこんな風に睨まれた。私は姫なのに。

、、、いいな、二人はずっと、彼と一緒に過ごしているんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ