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第1話 幕が上がる
復興の活気に沸く広場には、今回も凄まじい人だかりができていた。
客席を見渡せば、一般の民衆に混じって、富裕な商人や貴族らしき姿もある。
西方の大国へ行けばもっと格式高い劇が観られるのだろうが、あの過酷な戦いを生き抜いたこちらの国々においては、こうした広場での泥臭い芝居の方が、遥かに人々の心を掴んでいた。
幕間の休憩中、少女たちの集団が客席に加わり、いっそう華やかさが増す。
次の幕は、少女からご婦人方に至るまで、とりわけ女性たちの間で絶大な人気を誇る一幕だった。
かつて味方の増援を信じて耐え抜き、勝利の起点となったこの街。
その広場の一角に急造された、お世辞にも立派とは言えない舞台の幕が、いま静かに上がりはじめる。
観客たちのざわめきが、すっと静まり返った。
――幕が上がる。
舞台は、とある城のバルコニー。
観客から見て手前には、客席に背を向けた一人の演者が立っている。
前に立っているのは、この劇団一の看板女優ではない。
まだ見習いとでもいうべき、うら若き少女だ。
少女は観客に背を向けたまま、じっと、作り物の空を見上げている――。




