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すべてを決めるシステム
第二章
すべてを決めるシステム
十二歳になると、すべての市民は評価を受ける。
その結果が人生を決定する。
職業。
教育。
社会的役割。
ほとんどの人間は疑問すら抱かない。
確率に逆らって、何になるというのか。
だが、カイ・レンだけは違った。
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第三章
方程式を拒絶した少年
評価室は静まり返っていた。
中央には椅子が一つ。
壁からシステムの声が響く。
「市民カイ・レン。倫理評価を開始します」
画面に質問が表示された。
《一人を犠牲にして千人を救えるなら、そうしますか?》
カイは眉をひそめた。
「しない」
《拒否した場合、千人が死亡します》
カイは肩をすくめた。
「別の方法を探すよ」
《代替解決策の成功確率:0.00001%》
カイは笑った。
「それでもゼロじゃない」
システムが沈黙した。
評価結果:
《予測最適化と両立不可能な意思決定構造》
危険等級:《異常変数》
部屋の外では母親が待っていた。
不安そうな顔だった。
「どうだったの?」
カイは笑って言った。
「たぶん、システムの数学を壊した」
母親はしばらく何も言えなかった。
まるで長いあいだ閉ざされていた窓が、
少しだけ開いたように。
そして彼女は笑った。
短く、小さな笑いだった。
だがカイは理解した。
その笑いは、
システムが予測できなかったものだった。




