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『人間は、好んで猫の爪とぎになろうとするべきじゃない』

カフェに迷い込んだ一匹の猫。それを見て友人は「猫が好きそう」と笑った。


雨の日にだけすり寄り、晴れた日には爪を立てる。そんな気まぐれな生き物に、人はどうして温もりを期待してしまうのだろう。

「人間は、好んで猫の爪とぎになろうとするべきじゃない」


決して誰のためにも立ち止まらない猫と、素直に求め、与え合うことを学べない人間たち。

友人とカフェで雑談していた時、一匹の猫が入り口から音もなく飛び込んできた。


カップの中で揺れるコーヒーの波紋を見つめていると、ふと、子供の頃に祖母の隣の家にいたあのサビ猫を思い出した。


雨の日にはいつも窓を鼻先で器用に押し開け、湿った水気をまとって枕元に丸くなり、おんぼろバイクのように喉を鳴らしていた。


しかしある晴れた日、撫でようとした時、鋭い爪で手の甲を引っ掻かれ血が滲んだ。


祖母は薬を塗りながらため息をついた。


「猫なんてそういうものだよ。自分が寒い時はすり寄ってくるのに、太陽が出ると今度は、お前の体温が高すぎるって嫌がるんだ」


ちょうどその時、友人があの入り込んだ猫を指差して言った。


「宇くんって、猫が好きそうな人に見えるよね」


人間は、好んで猫の爪とぎになろうとするべきじゃない。


あの猫は再び入り口へ歩いていき、毛皮は夕日の中でサテンのように光っていた。


決して誰のためにも立ち止まらない。一部の人が、素直に求め、与え合うことをいつまでも学べないのと同じように。


銀の匙がソーサーの縁にぶつかり、澄んだ音を立てた。


僕は一瞬ぼんやりとし、窓の外の次第に暗くなる空を見て微笑んだ。


「あいにくだけど、僕、これまで猫を好きになったことなんてないんだ」

ここまでお付き合いいただき、感謝します。

こうして物語を公開するのは初めてのことですが、

雨の日の猫の喉鳴りと、冷めたコーヒー。そんな情景が誰かの心に少しでも残れば幸いです。


面白かった、または雰囲気だけでも好きだと思っていただけたら、下の星【☆☆☆☆☆】を押して応援していただけると嬉しいです。

また次の物語でお会いしましょう。

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