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死に至る罪  作者: そすけ
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レヴィ・アダーの嫉妬

この世界は、ずいぶんと生きやすくなったらしい。


誰かを傷つけても、言葉を飾れば「意見」になる。

責任から目を逸らしても、「自分らしさ」と呼べば許される。

他人を踏み台にしても、うまく笑えば「努力の結果」だと称賛される。

そうやって、誰もが少しずつ“見ないふり”を覚えていく。


小さな嘘も、軽い裏切りも、都合のいい正義も…積み重ねれば、それはもう“日常”だ。


——けれど。


それを、すべて見逃してくれるほど、この世界は優しくできていない。


気づかれないまま積もったものは、やがて形を持つ。

見過ごされた悪意は、やがて誰かの手によって拾い上げられる。


そして、その時。

それはもう「どこかの誰かに起きたこと」では済まない。


これは、そうしたものを見逃さない存在の物語だ。


もしあなたに、思い当たることがあるのなら。

この物語は、決して他人事ではない。








夜の帳がおりて間もない新宿。

ある高層ビルの最上階で窓の外を窺う一人の女性は、その整った顔に似つかわしくない表情でたたずんでいた。


 切り揃えられた黒髪のボブは刃のように無機質な光を帯び、歩くたびに規則的に揺れる時でさえ躍動的というよりは冷酷な振り子のようだった。


 眼下の風景から視線を持ち上げた瞬間、露わになる三白眼。

 大きく開いた瞼に比べて瞳の比率が異様に小さく、そのアンバランスさは生理的・本能的な違和を、相手に強いる。

 見られている、というより――“値踏みされている”。獲物として。


 その眼差しには感情の色がほとんどなかった。ただ冷たく、執拗で、逃げ場を許さない。

 対照的に、唇だけが異様なほど鮮やかだった。

 血をそのまま塗り込めたかのような真紅。

 生命の象徴でありながら、同時に“死”の匂いを孕んでいる。わずかに歪むだけで、甘い誘いにも、冷酷な嘲笑にも見えた。


一般には成功者として分類されるであろうこの女性は、婚活業界に彗星のように現れ、時代の寵児として名を上げた敏腕経営者だ。

しかし彼女は真っ当な努力と実績だけで成功をつかみ取ったわけではなかった。


同業他社の不正を暴き、切り捨てる。

幹部を罠にかけ、情報を奪う。

本来他者のものだったはずの成果を、自らの実績として世に出す。

やり手というより悪徳商法と呼べる手口を最大限活用することで、他者の持つ富を奪い取ってきた。


——そのすべてを、躊躇なく。


彼女の眼下に広がる無数の明かりは、彼女にとってすべてが恨めしい。自分の運命に比べなんと浅薄で中途半端な人生を歩んでいるにもかかわらず、笑顔が多すぎる。


伴侶と手を繋いでウィンドウショッピングに興じる若夫婦。

一区切りついたのか、ネクタイを緩めながら居酒屋の暖簾をくぐるサラリーマン。

壁の段差にスマホを置いて数人で踊りながら動画撮影をしている女子高生。


…なぜおまえたちが幸せを感じているのだ。そんな資格もないくせに。

大きな責任は見ないふりをして心の底にしまい込んでひと時の快楽を享受する、その心根には虫唾が走る。


お前たちみたいなやつらがいるから私の仕事が増えるんだ。

おとなしくつつましく、社会の隅で縮こまっていればまだかわいげがあるものを…

私の目につくところでアホ面を下げて馬鹿笑いか。

そういうやつは地獄に落ちてしまえばいい。


いや、落としてやる…私にはその力があるのだから。



 細くしなやかな指が髪に触れる仕草は、ひどく緩慢で、どこか粘りつくような色気を帯びている。逃げようとすればその意識を絡め取り、気づけば足を止めさせる――そんな“毒”を含んだ動きだった。

 落ち着いた装いは周囲に溶け込むための擬態。だが、その内側に潜む本質までは隠せない。

 静かに息を潜め、機を待ち、そして一瞬で仕留める。


 ――それは、人の形をした捕食者。

 皮膚の内側に蛇を飼う者ではない。

 “蛇そのものが、人を装っている”存在だった。






いかがでしたでしょうか。

全くの素人が思い付きで書きつけた文章なのでお見苦しいところも多々あろうかと思いますが、どうか広い心で受け止めていただけますと幸いです

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