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猫と私  作者: ライアン


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10/10

マキの反応:『猫!?』

コン、コン。


ヒナは静かに息を吸い込み、ドアノブに手をかけた。

カチャリと音を立てて扉を開けると、冷たい空気が一気に流れ込み、かすかに雪の匂いを運んできた。


そこに立っていたのは、栗色の髪を高い位置で結んだ女の子。

冬の陽だまりのような笑顔を浮かべていた。


「やっほー、ヒナ!」

「……マキ?」

「そう! 本物のマキですよ~! 相変わらず、ドア開けるの遅いね?」


マキは白くてふわふわしたマフラーに、ベージュのコート、そしておそろいの手袋をしていた。

頬は寒さで少し赤く染まり、元気いっぱいな様子だった。


「どうしたの?」とヒナが少し身を引きながら尋ねる。

「んー、ちょっと誘いに来たの! 一緒にゲームセンター行かない?」

「……ゲームセンター? 今日?」

「うん! だって日曜だし! 最近ずっと家にこもってるでしょ? 少し心配になってさ~」


ヒナは一瞬黙り、困ったように笑った。

「ありがとう、マキ。でも今日は家にいようかな。」


「えぇ~、またぁ?」

マキは軽く肩を落とし、それから小さくため息をついた。

「じゃあ、せめて中に入ってもいい? 外、めっちゃ寒いの!」


「うん、いいよ。入って。」


マキは靴を脱ぎ、手をこすりながらリビングへ。

暖かい空気に思わずほっと息を漏らした。

だが――目線を上げた瞬間、彼女は固まった。


「……え?」


ソファの上に、小さな影。

銀色の髪、猫のような耳。

その少女が、恥ずかしそうにマキを見て、すぐに視線をそらした。


「……ヒナ、その子……猫?」


ヒナは気まずそうに笑った。

「えっとね……実は、その話をしようと思ってたの。」


二人はちゃぶ台の前に座る。

サキはソファの影から、そっと顔をのぞかせていた。


ヒナは、あの日のことをゆっくり話し始めた。

雨の夜、路地での出会い、そしてどうやってサキがここに住むようになったのか――。


マキは途中で口を挟まず、ただ目を丸くして聞いていた。


「ちょ、ちょっと待って。つまり、その子……私たちの言葉、わかるの?」

「うん。」

「え、話すこともできるの!?」

「少しだけね。」


マキはテーブルに手をつき、興奮気味に言った。

「すごい! 猫じゃないよ、猫娘だよ!」


その言葉に、サキの体がピクッと震えた。

マキが立ち上がって近づこうとすると、サキは一歩、また一歩と下がり、ヒナの後ろに隠れてしまう。


「ちょ、ちょっと逃げないで~! 別に何もしないって!」

マキは笑いながら言うが、サキはヒナの服の袖をぎゅっと握り、耳をぺたんと伏せた。


ヒナはその頭をそっと撫でた。

「ごめんね、マキ。サキは少し人見知りなの。」

「そっか……ごめん、びっくりさせちゃったね。」


空気がふっと和らいだ。

マキはまた座り、今度は落ち着いた様子で微笑んだ。

サキはソファの陰から、まだ少し警戒しつつも二人を見守っている。


外では風が窓をかすかに鳴らし、部屋の中に穏やかな時間が流れた。


「ねえ、ヒナ。」

しばらくして、マキが小さな声で言った。

「なんか……ヒナ、今の生活、似合ってる気がする。」


「……そうかな。」

ヒナは小さく笑い、サキの頭をもう一度撫でた。

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