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第6話 人見知り発動

すいません!また遅くなってしまっていて・・・。

 夢を見た。斎藤美子だったころの夢、そして現世の温かい家族たちに囲まれていた夢。そしてフォルナと出会ったころの夢。斎藤美子だったころはともかく、温かい家族とフォルナに囲まれて俺は笑っていた。だって幸せだったから。なのに家族は皆俺から離れていく。走って追いかけたいのにうまく追いつけなくて焦って俺は隣に居るフォルナに助けを求めようと見上げた。


 フォルナは消えていた。俺の横から痕跡もなく消えていた。夢の中なのに魔力痕で後を追おうとしてそこで目が覚めた。そこはフォルナから借りている自分の部屋だった。なぜ、どうして、寝起きで回らない頭を懸命に働かせようとするがいまいち分からない。


 そこでふと思い出す。フォルナは?フォルナはどこだよ。自分の意識が落ちた瞬間は分からないけど、最後の最後までフォルナと一緒だった気がする。なのに今は自分の部屋で一人。年甲斐もなく泣きたくなった。前世から数えてもう三十路くらいなのに今不安という感情だけで涙がこぼれた。それはとどまることは知らず、自分でも止め方を知らない。ただただフォルナに会いたい。安心したい。それだけだった。


 この部屋で泣いていてもフォルナは来ない。漠然とその考えが頭をよぎる。俺がフォルナに会いに行かなくちゃ。不安がって泣いているのは自分の癖になぜか会いに行かなくちゃなんて思う。きっとフォルナも不安がってる、そうに違いない。変な自信をつけた俺はベッドから降りて自分の部屋の扉を開けた。


 廊下の先にあるリビングからはフォルナの声が聞こえてきた。


「どうしよう。僕はもうアルに会ってはいけないのかもしれない。」


 頭が真っ白になるってこういうことか。リビングのドアのぶを掴もうとした手は途中で止まった。


「ああ、その方がいいだろう。幼い子供にはやっぱりちゃんとした保護者が必要だ。・・・王都の孤児院ならしっかりしているしなんなら俺からも紹介状を書こう。」


 誰?フォルナ以外の声が聞こえる。男らしく低く淡々とした話し方。今まで一緒に暮らしてきて客人は訪れたことがない。だから俺も楽に暮らせてきた。だが、ここで急に知らない人が登場されると前世からの人見知りが発動する。ぽたぽたとただ落ちるだけだった涙が滝のように溢れ出す。


 知らない人は怖い。怖い。怖い。何を考えているのかが分からない。いやだいやだいやだ。家に入るな近づくな・・・!


 耳をふさいでその人の声が聞こえないようにしゃがみこむ。歯ががちがちと音を鳴らし、キイン、という耳鳴りまで聞こえてきた。体全体が震えだす。


 ふと、我に返る。あれ、わたしはなんでこんなに人見知りなんだっけ。そんな事を考えた瞬間頭に割れるような痛みが走る。


「・・・・っい!」




 がちゃりと目の前の扉が開いた。フォルナが俺を呼ぶ声が聞こえる。


「っあ、はあっ、はあ、はあ、」

「アル!しっかりして!」

「おい!ちっ、フォルナルト!はやくベッドに運べ!」


 フォルナの後ろからずかずかとこっちに寄ってくる人影が見えた。その瞬間体の震えがひどくなる。


「アル!?・・・!バーンこっちに来るな!」


 フォルナの聞いたことがないような鋭い声にバーンと呼ばれた男の人はその位置でぴたっと止まった。そのことに少し安心する。


「アル、大丈夫だよ。僕がいるから。安心して、ゆっくり息を吐こうね。」


 俺を支えながら背中を優しく撫でてくれる。フォルナのいつもの緩いしゃべり方にも安心する。微笑みかけてくれるその青い瞳に幸せな気分になる。ああ、俺の居場所はここなんだって自覚させてくれるようなそんな気分。


 だからさ、フォルナ。俺と離れて暮らしたいなんて言わないで。







前話でちょっとフォルナの仕事について触れていますが、またちゃんと詳しく話しで登場するときがあると思うので今はへえーくらいに思っておいてください(笑)

今回は新しい人物も登場したので頑張ってうまく動かしたいと思います。作者である私自身あまり登場人物は増やす予定はないのですが、もしかしたらこれからどんどん増えていくかもしれません。温かく見守ってください(^-^)

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