第一話 転生特典
「パンパカパーン!!おめでとうございます!貴方は記念すべき”転生者1万人目”に選ばれました!」
ただ白い殺風景な空間に明るい声が響いた。
「・・・え?」
「・・・、」
二人の間に沈黙が訪れる。
まっずーい!凄い変な目で見られてるよ。私、変かな?変じゃないよね!?というか次なんて話しかければいいの?どうしよう、さっきはそれっぽいのが出来てたのにぃ、、
神は対人関係が乏しかった。
その一方、
え?何何?転生?どういうこと?私死んじゃったの、嘘!?
てかなんて話しかければいいの?最近そんな人と喋ってないし、というか17年生きて来てそんな両親意外と喋ったことないしぃ、面と面向かって話すなんて急にできないよぉ。
こっちもこっちで対人関係が乏しかった。
((どうしよぉ〜、誰か助けて〜!!))
数分後、
「え、えっと、あの、、」
「あ、はいっ!なんでしょうか!」
金髪の女性は食い気味に返事を返した。その勢いに私はビクッと肩を震わせた。
「その、、転生って、本当ですか?」
「はい、本当ですよ!!」
即答だな。
「貴方は先程死亡して、魂がここに辿り着いたんです。」
そんな笑顔で言われましても。
「あぁー、やっぱり。私死んじゃったんだ。」
神様らしき人は私の発言に少しばかり驚いていた。
「驚かないんですね、普通もっと、うぎゃぁぁぁぁああああとかイヤァァァァとか生に執着する筈なのに。」
意外にも感情豊かだなぁ。
「まぁ、、その、死ぬ寸前のこと覚えてますし、苦しかったですし、それに、死んで、、、良かったんじゃないんかなって思うんです。」
「っ!?」
「私、父に家族に迷惑かけっぱなしでした。」
俯いたまま、溜めてた物を吐き出す。
「何も出来なかったんですよ、親孝行も恩返しも、返せるもの返せなくて、、いっぱい逃げて、、、私なんて────」
「生まれるべきじゃあ無かったって言いたいの?」
頬に衝撃が走る。ペチンと、音を立てて、叩かれて。
「馬鹿なことを言うではない!!」
優しい目が厳しい目へと変わった。
「お前は、お前は何を見ていた!!」
「・・・え?」
「父親の、貴方の父親は貴方を本当に心の底から大事にしていた!」
「っ!」
反射的に違う!と否定の言葉が出そうになった、しかし出せなかった。言えなかった。
「考えろ、毎日飯を用意してくれた。心を閉ざしてる貴方に毎日喋りかけに来てくれた、、」
「……やめて」
思い出したくない。
あの扉越しの声。
遠慮がちで、それでも優しかった父の声。
「やめてください……、」
「何をやめる。」
即座に返される。
「真実から目を逸らすのか?」
「っ……!」
言葉が詰まる。
「貴方は、“何もしていない”と言ったな。」
一歩、近づく。
「だがそれは違う。」
「……え」
「何もしなかったんじゃない。」
神ははっきりと言った。
「“出来なかった”んだ」
「……!」
その言葉は、優しさではなく、現実だった。
「貴方は余裕がなかった。壊れかけていた。だから応えられなかった、、」
「それだけの話だ」
「……でも、それじゃあ……」
言葉を絞り出す。
「それじゃあ、どうすれば!」
「生きろ。」
「・・・え?」
「次の人生を生きろ。一生懸命に、そしてまた死を迎えた時また父親と会うことになるだろう、」
神様はまっすぐこっちを見て言った。
「その時に胸を張って言え、貴方の娘に生まれて幸せだったって、逃げて終わるな、返せなかったで終わるな、迷惑で片付けるな。」
「次を大切に生きろ。」
俯いたまま動けなかった。
「……できるか、わかんないです」
正直な言葉だった。
神は、少しだけ笑う。
「最初から出来る奴などいない。」
「・・・」
”次を大切に生きろ”そのことばが胸に残る。
「私、生きて良かったって言えるようになりますかね、、」
「・・・それはお前次第だ、、」
怖い、不安、また、また同じになるんじゃないか、そんな事でいっぱいだ。でも、、
「やります、転生します、転生させて下さい。」
神は少し笑い、
「最初からそのつもりですよ。」
最初の雰囲気に戻っていた。
「では転生特典を与えます。」
「これまでの転生者には、強力な攻撃能力を与えてきました。」
「……はい。」
「ですが、そのほとんどが力に溺れ、世界を壊しました。」
「……」
「なので今回は方針を変えることにしました。」
神、真っ直ぐこちらを見る。
「貴方には、“守る力”を与えます」
「守る……」
その言葉に、少しだけ意識が向く。
「一つ。絶対結界」
空間に、淡い光の膜が浮かび上がる。
「貴方の意思一つで展開される、防御魔法です。」
「どんな攻撃も通さない。物理も魔法も、干渉そのものを拒絶します」。
「……、」
「さらに、」
光が変形する。
薄く、鋭く、圧縮されていく。
「これは形を変えることも可能です」
「もうひとつは、アイテムボックス」
空間に小さな歪みが生まれた。
「物を異空間に無限に収納、格納できる能力です。」
「、、以上です。」
「え?」
「攻撃能力は不要でしょう。貴方には必要なさそうですし。」
「・・・、」
「それでは転生準備に入ります!転生までの少しの時間少しお話しましょ!!詩織!!」
「聞いて下さいよ、ウラヌスがぁ、」
色んなことを話した、
好きな物、趣味の話などたくさん。
神は本当によく喋って、よく笑った。
あっという間だった、神との話は楽しくて、どこか安心できた、そしてその時が訪れた。
「あ・・・、」
意識が遠のいていく。
「時間ですね。」
神はどこか寂しそうな目で見ていた。直ぐに元の笑顔に戻ったが、、
意識が、ゆっくりと沈んでいく。
光も、音も、全部遠ざかって行く。
――それでも、不思議と怖くなかった。
「頑張ってね、詩織」
優しい声が、最後に届く。
「次の人生に、幸あらんことを」
その言葉を最後に、
私の意識は、完全に途絶えた。




