↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
強欲のダンジョンの作り方  作者: 夢兎
ドラグナール帝国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
74/125

第74話 ルドニア公国1

 ガルが二回目の護衛につく頃、ルドニア公国ではドラグナール帝国内の変化した軍の動きに危機感を覚えていた。

 公国の定例会議ではその話題で頭を悩ませることとなる。


「最近、ドラグナール帝国軍の動きが変わったとの情報が入ってきています」


「どこからの情報だ?」


「ドラグナール帝国内で交易をしている商会からの情報です。どうやら軍の小隊がいくつか西から東へと、複数の領を通過しつつ流れているようです」


「西から東……もしそのまま流れてセラディアを通過したら我が国だ。まさかこちらに来るつもりではないだろうな?」


 ルドニア公国はドラグナール帝国に隣接してはいるが、軍侯貴族の領地からは離れている。財政を担うセラディアと隣り合っていることもあり、交易を保つことで友好関係を築いていた。

 だが、突然気分が変わって牙をむくのもドラグナール帝国。先だっても突如ドゥルガルド王国に攻め入ったばかりだ。ドゥルガルド王国への攻撃も最初は小競り合い程度だと思っていたが、実際には大規模な軍が動いている。

 友好関係を築いているからといって安心できるものではなかった。


「こちらに来る確証はないが、来ない確証もない」


「何か手を打っておきたいところではありますね」


「事を大きくして余計に関心を持たれても困る」


「小さな情報でこちらには軍を向けないように交渉するのはどうでしょう?」


「交渉にのせられるような情報などあるのか?」


 会議に出ている官僚たちは自分たちが持つ様々な情報から、ドラグナール帝国が興味を持ちそうなものを出していく。


「最近、鍛冶師の間で質のよいインゴットが出回っているとか」


「それは帝国が気に入りそうな話題ではあるが、逆に攻め入られそうだが……」


「あまり数が多くないようですし、どこから流れているのかを売るのはどうでしょう?」


 出された情報の中で、最も興味を示しそうなものはそれくらいだった。


「売り方次第、か……」


「軍を動かすより、交易路を確保した方が得だと思わせられればいい」


「そういうのに長けた商人に任せるのが良いでしょうね」


「この情報に価値があるかどうかも調査が必要だな」


「まずはどこから流れている品かの調査ですね」


「情報に価値があるのなら、交渉には外交官にも出てもらう。非公式で進めてほしい」


「承知しました」


 ドラグナール対策の方向性が決まったところで会議は解散となった。



 交渉の元となるインゴットがどこから流れている品なのかを調査している間に、どれほど情報に価値があるのか、いくつかの商人にドラグナール帝国へ噂として流してもらう。

 どこもそれなりに反応は良かったが、だいたいは『入手できるのであれば入手したい』程度のものだった。ただ、レヴァン商会だけは違った。


「質の良い鉱石について、詳しい情報を知りたい」


 レヴァン商会はセラディアの鍛冶工房とも繋がりが深く、軍需物資も扱う商会だ。うまく情報を流せば、セラディアから国の交渉として進めることも可能だろう。

 できる限り早くドラグナールの軍がこちらに来ない確約は欲しいところではあるが焦りは禁物だ。情報は慎重に扱って価値を保たなければいけない。

 そのため、一度は『まだ噂話程度であり、調査中』として濁す。実際にまだどこから流れているのかは確証がもてていなかった。


 ただ、最近になってエルヴァリエルから流れてくる品が変わったらしい。どうやら質のよいインゴットはその内の一つらしいのだが、エルヴァリエルに鉱石を発掘できる場所があるとは聞いたことがないし、鉱石の精製技術もないはずだ。

 他国ならはぐれのドワーフを抱え込んだ可能性もあるのかもしれないが、エルフとドワーフの仲の悪さは有名だ。どちらも頑固な種族ゆえに、どうにも手を組むとは考え難い。


 そうこうしているうちに唯一エルヴァリエルと交易を保てている商会から取引成立の知らせが入り、交易品を見せてもらうこととなった。


「……これは……」


 多くは昔から交易しているエルフの工芸品や祝福の込められた装飾品など素朴ながらも珍しいものが並ぶ。だが一角だけ、他と違う。


 薬草は運搬に耐えられるように乾燥させてあるが、素人目に見てもよく見る薬草と違う。これ自体は植物と親和の高いエルフだから、何か技術があるのだろう。


「これが、話のあった質の良いインゴットか……」


 こちらも専門の知識があるわけではない。だが、ただの鉄なのに輝きが全く違う。鉄は鈍い色をしていると思っていたのだが、白く輝くような光沢があり、鉄ではないみたいだ。


「このインゴットをサンプルとして購入したいのだが……」


「販売するのは構わないのですが、見ての通り数が少ないので……二点までとさせてください」


 次にまた入ってくるとは限らないと前置きをしていても予約でいっぱいらしい。

 それはそうだろう。素人目にも別格だとわかる品だ。専門のものが見たら是が非でも入手したいものだろう。


 これは、国内に余剰は全くないことを強調しておかないと危ないな。


 手元にあることを知られること自体が危ないほどの品だが、交渉まで進んだ時には確実に存在するものとして証明は必要だろう。もしドラグナール帝国がこの技術を本気で欲した場合、交易で済むのか、それとも軍が動くのか……小国であるルドニアにとっては、その差はあまりにも大きい。


 とりあえずこれで、高品質のインゴットはエルヴァリエルから入手している品であることは確定した。

 一度国の会議を通した上で、これを帝国のレヴァン商会と取引があるフェルン商会に預けて会談の場を設定してもらわなければならないな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。