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強欲のダンジョンの作り方  作者: 夢兎
地下農業迷宮

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第14話 地下農業迷宮の調整

「空気が……変わった?」


 さっきまで少し涼しい程度の過ごしやすい感じが今はまとわりついてくるような暑さをはらんだ空気に変わっていた。

 アルセラ様はたしかに「気温を上げてくる」と言っていたが、そんなすぐに変わるものなのか?


「一気に夏になっちゃった!」


 無邪気に笑うリーナに戸惑いながらも頷く。これなら葉物野菜の成長も早く、ナスやトマトもよく実るだろう。

 一体どういう仕組みなんだ。



 しばらくそのまま待っていると外から何かが転がる音とアルセラ様の声が聞こえてきた。


「はーい、ここで止まって。この地点を休憩所として覚えておいてね」


 好奇心に負けて外を見てみるとそこには土を固めて作った荷車につかまれるような手すりのようなものも付いている。そして、馬がいるはずの場所にはごつい人型の何か……なんだ、あれは……


「お待たせ! 気温はどうかしら?」


「あ、はい。この気温なら葉物も実もよく育ちそうです」


「作物には良いかもしれませんが、休憩所は少し暑いかもしれませんね」


「あー! たしかに! 作業してきてからだとあまり休まらない気温かも」


 セドリック様の指摘にアルセラ様が何やらつぶやきつつ考えている。

 どうやらなんとか解決策が思い浮かんだようでもう一度調整にいってくるという。


「トーマスさん、トウモロコシや豆を育ててもらう三階層と芋や根菜を育てる五階層もこの気温にしましたけど、問題ありませんか?」


「はい、この気温のままがいいです」


 「りょうかーい」と声をあげて、あの奇妙なものに乗ってまたどこかへ行ってしまった。


「お父さん、あれおもしろいね」


 うーん……おもしろいで片付けていいのだろうか?


「ここでの不思議は、あまり深く考えない方が良いですよ。答えはでませんから」


「……それもそうですね」


 移住すれば環境は変わるものだから覚悟はしていたが、入り口のガーゴイルなるものから始まり、山の中の畑に、簡単に変わる空気に、変な乗り物に……ここまで常識から変わるのは考えていなかったな……


「次は何が出てくるのかしらね?」


「ねー」


 エルナとリーナが笑い合いどんなものなら驚くか案を出し合っている。

 わが家族ながらここまで変わった環境をなぜすぐに受け入れられるのか……うらやましい……



 急遽作った荷車ゴーレムに手すりをつけて、走るように指示を出す。

 サスペンションなんてないから絶対に座ってはいけない。だから立ち乗りスタイルとした。実際に走らせてみると、走るよりは楽だけど、振動で踏ん張らないといけないから長距離は無理ね。


 あ、ゴーレムちゃん、ここで止まって。この地点がコアね。


 再び戻ってきたコア室の前をゴーレムに覚えさせる。くず水晶に魔導金属でコアと書いて地中に埋め込んでおく。各階層の搬入口の近くにも埋め込んできたからこれでみんなが乗れるバス型のゴーレムを作っておいたら乗って移動できるだろう。

 うーん、この鉱山からだとゴムは作れないわよね。バスも立ち乗りスタイルでいいかな? そんなスピードは出さないし。


 コア室に入って休憩所と住居の気温を快適な温度になるように設定する。

 よし、壁があるからちゃんと区域を区切って設定できるわね。他にも気温が違う作物を同じ階層に作る時は壁で区切りましょう。


「さ、戻るわよ。ゴーレムちゃん、壁伝いに休憩室まで走って」


 名前をちゃんとつけないとな。これからいっぱいゴーレムを作るから、ゴーレムって呼んで命令を出すと声が聞こえた子たちが一斉に従っちゃうわ。

 この子はあたし専用にするからアルセラのゴーレムで『アルゴ』かしらね?


「あなたの名前は『アルゴ』よ」


 ゴーレムは記憶領域がほとんどないから単純な命令しか判断できないのよね。新しく名前を記憶させたら、走るのが止まっちゃった。ある程度は自力で動いてくれるとはいえ、ちょっと面倒だなぁ。使い方次第なんだろうけど。


 作業ゴーレムたちは体に識別番号を書いておこう。それを呼ばれたら自分だって大前提を持たせておけば個別対応もできるだろう。呼ぶ人たちも何番のゴーレムかすぐにわかるしね。


「地味にやることが増えたわね……」


 本稼働まで忙しいのは仕方ないことだよね。



 休憩所に戻ってくると、リーナが休憩所から出たり入ったりしてすごーいとはしゃいでいる。こういう素直な反応は和むわね。


「アルセラ様〜、お部屋の中が涼しくなったよ」


「そう、うまくいってよかったわ」


 こちらから聞く前に報告をくれたから思わず頭を撫でる。えへへ〜って笑ってて、かわいいわね。


 リーナと和んでいたらセドリックさんとトーマスさんが出てきたから次の予定を話す。


「休憩所と住居は先ほどまでの気温になるようにしました。あとは住居に案内して使いにくそうなところがあれば変更しますよ」


 あたしはこの後ゴーレムの作成が待ってるので住居の調整が終わったら作業に篭りますね。


「では私は村での調整に向かいます」


「はい、ありがとうございました」


 セドリックさん、料理人と作業員の確保をよろしくお願いしますね〜。

 では、皆さんは住居の方へどうぞ。


 ダンジョン内は空を作るために縦にも広大に作ってある。高さのある建物を作ることができるから住居は二階建てになっている。


「ここには何家族入るのでしょう?」


 ん? トーマスさんたちだけですよ?


「まぁ、こんなに立派な家をいただいていいんですか?」


 地下畑に住居をたくさん建てる予定はないからね。畑を圧迫しないのであれば全然問題ないですよ。畑を増やしたいのに畑をつぶしてたら意味がないからね。


 設定を変更できるのがあたししかいないから、立ち上げメンバー特典ということで、わがままを言えるのは今のうちだけですよ。要望はちゃんと教えてくださいね。


「リーナ、牛さんの形をした荷車が欲しい!」


 お、おぉ……斜めな要望がきた。

 牛さんか……うまく作れるかなぁ? ガーゴイルもなんか……思ってたのと違うって出来上がりになったのよね……

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