表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】方舟の子 ~神代の遺産は今世を謳歌する~  作者: 篠見 雨
第3章 ローエンディア王国と士官学校
62/270

第3章 第15話 東迷宮の合同遠征(5)

四十五階層ボス部屋奥の下り階段の部屋。


 キリも良いところで、食事休憩となった。

 部屋の隅に【ボックス・トイレ】を二つ設置し、逆サイドで食事の準備を進める。


 今回は《緋の戦乙女(ヴァルキュリア)》の持ち出しの食材からスープ料理が振舞われた。運動した身体に染み渡る肉たっぷりの具だくさんスープである。なんと狩ったワイバーンの肉を贅沢に使っているらしい。


 ワイバーン肉のステーキの方が好みだが、これはこれで美味かった。きっと使っている部位がステーキとかとは違うのだろう。

 もっと設備と時間のあるところで作られれば、トロトロに蕩ける肉が堪能できる筈だ。


 今夜の寝床はこの部屋になるらしく、それならと壁際で毛布に包まって瞑想睡眠をとる。明日には《緋の戦乙女(ヴァルキュリア)》の到達階層五十五階層を越え、彼女達も戦闘に加わる事だろう。万全の状態で挑んでもらいたいものだ。


◆◆◆◆


「この二人が同時に寝ているの初めて見たかも」

 カナリエがエイルとマツリの寝顔を眺めながらそういった。

「いつもどっちかが起きていて見張りしてますものね」

 レーヴィアが頷いてそう答える。二人が肩を寄せ合って目を瞑っていると、似たような装備と同じ髪色である事もあって、兄妹の様にみえる。


「美男美女の双子コーデ風の義兄妹……尊くて鼻血でそう」

「わかる。視力よくなる。魔眼に目覚めそう」


◆◆◆◆


 周囲の雑音カットのため瞑想睡眠を取ったが、案の定、速く起きすぎて手持無沙汰になった。

仕方がないので瞑想を続けながら今日の手応えと、その違和感についてを思い出す。


・とてつもない斬れ味の刀剣類

・斬れて当たり前という程の斬れ味

・しかしこの妖刀を以てしてもしても、なかなか両断出来ないのは何故か。

・相手の魔力や霊力による防御を突破出来ていないのではないか。

・そのためには何が必要?更なる霊力を練り上げて注ぎ込むこと?それとも相手の魔法的・霊的な防御を無効化する?

・練度不足の錬気を纏わせることで、実は本来の斬れ味を殺しているのではないか。


 色々考え込んで迷走している気がする。答えはきっととてもシンプルな事で、正解に至れば「あぁ、これだけの事だったのか」となる気がする。


 エイルは寝ている者たちを起こさないようにそっと立ち上がると、下り階段を下りて行った。



四十六階層。

 エイルは気配感知をして層を見て回る。近場にいた気配を追っていくと、甲冑型のゴーレムを見付けた。素材は黒鉄ブラック製だろうか。

 試し斬りの相手には丁度よい。


 甲冑型が両手剣を上段に構えた。エイルも打刀を抜き、錬気をに纏うと、スッと間合いを詰めて行く。

 振り下ろされる剛剣に歩を進め、頭上に翳した刃にその剛剣を受けながら軌道をずらし、更に踏み込む。

 強化をしていない刃で逆袈裟に刃を走らせる。甲冑の肩口から刃が入り、胸当を斜めに両断していく。途中、核を斬って黒鉄ブラック製のゴーレムは力を失い、前のめりに倒れてきた。

 討った敵は紅の指輪を翳して収容する。


 更に獲物を求め徘徊する。強めの気配を見付けると、頬を緩ませてそちらの方角へと向かっていく。見付けたのは、天銀ミスリル合金製の甲冑型ゴーレムだった。


 先ずは、魔力による身体強化のみの流れるような太刀筋により、右薙ぎを払う。天銀ミスリル合金製の甲冑に半ば埋まるように刃が通ったが、両断には至らない。敵の攻撃を躱しつつ機会を窺う。袈裟斬りに振り下ろされる刃を左切上で流して間合いを詰め、魔力のみを刃に流す長年使って来た強化方法で左薙ぎを払う。すると、天銀の胴鎧は先に付けていた傷までつながる形で通り抜け、両断された。

 紅い指輪に獲物を収容すると、次なる気配を求めて彷徨う。


 天銀ミスリル合金製の甲冑型ゴーレムを再び見付けた。次は、霊気のみの身体強化で右胴を払う。刃の通りが浅い。魔力のみの時の半分程しか刃が通らなかった。

 甲冑型ゴーレムの攻撃をのらりくらりと躱して隙を窺い、刃の刃先に霊気を流して左薙ぎに払うが、やはり浅い。この辺りは魔力と霊気の練度の違いだろうか。

 甲冑ゴーレムの横をすり抜けつつ、振り返りながらの右薙ぎを撃ち、甲冑ゴーレムの胴を背後を取っての左薙ぎで漸く完全に胴体を両断。

 紅い指輪に獲物を収容すると、次なる気配を求めて彷徨う。


 次の獲物を求めて彷徨う。天銀ミスリル合金の甲冑ゴーレムを再度見付けた。リラックスして肩や腰から無駄な力を抜く。知らず知らずの内に要らない力が入っていたようだ。


 次に試すのは混合錬気。訓練で身に着けた瞬発力のある錬気を纏い、身体だけの強化で右薙ぎを払う。魔力のみの時よりより深くに刃が埋まった。埋まりすぎて抜けにくくなった打刀を手放し、

脇差による左薙ぎを払うと、胴が両断された。

 打刀を回収して紅い指輪に獲物を収容すると、更なる気配を求めて彷徨う。


 ここの敵は良い。人型で毎度同じように斬り付けられ、かつ強度も殆ど差がないため、斬り比べに最適だった。


 登り階段周辺で見付けられるだけの気配は全て消えてしまった。更に感知範囲を広げ、気配に向かって彷徨う。迷宮故、方角が分かっても遠回りになってなかなか辿り着けない事がある。何か硬い床の一部を踏み込んでしまった感触を感じ、危機感に従って刃を振ると矢を斬り払っていた。罠があることがすっかり頭から抜け落ちていた。気を付けようと思いつつ、それでも奥へと向かう。


 やっと天銀ミスリル合金製の甲冑ゴーレムを見付けた。混合錬気を熾し身体能力を強化する。続いて、糸より細い刃先の鋭さを損なうことのないように薄く鋭く、刃先が数ミリル延長されるようなイメージで整わせる。

 準備が出来上がるまで天銀ミスリル合金製の甲冑ゴーレムの攻撃を避け続けた。

やがて準備が出来上がった打刀で、右薙ぎに払う。抵抗感なく刃が胴鎧に沈んでいった。両断しきるには刀身がやや短い。それを混合錬気で延長するイメージを与えて振り抜くと、胴鎧が両断されていた。今の手応えを反芻しつつ、叫び出したい程の高揚感がやってくる。


「(これだ。今の感覚だ)」


 この感覚が薄れない内にもう一度斬りたいと渇望したが、感知範囲内には気配がない。

 紅い指輪に獲物を収容して片付けると、登り階段へと戻って行った。

評価、ブックマーク登録、いいね などの応援をお願いします。

モチベーションや継続力に直結しますので、何卒よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ