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ある熟年夫婦の場合  作者: つよきち
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自分ではない自分が嫌だ

さすがに唐突すぎたかもしれない。

誠一は連絡を送った後、後悔した。

もしかして誠一が連絡をしていることを気づかれたかもしれない。

連絡は翌日返ってきた。


「あなたはなぜ妻に嫌われてしまったと思っていますか?」


意外な答えだった。

誠一は全く見当がつかなかった。

でもこの全く見当がつかないことこそ、そもそもの要因ではないかと思っていた。



「それが全く見当がつかないのです。それが原因だと思っています」



それから祥子と連絡をする日々が始まった。

最初はブログでやり取りしていたが、ある日メールでやりとりをすることを提案した。

祥子はあっさりメールアドレスを教えてくれた。

誠一は悲しかった。

でも祥子と連絡をやりとりすることは楽しかった。

祥子と恋愛していた時のことを思い出していた。

あの時は楽しかった。

誠一は、妻である祥子にもう一度恋をしていた。

しかしメールでは話せても、家ではまったく話せなかった。

それについて、祥子に相談してみた。


「家庭で会話がないのは悲しいことですよね。私も正直どうすればいいかわかりません。でもハジメさんなら大丈夫だと思います」


ハジメは誠一の仮名だ。

祥子はサチだ。

祥子の祥から連想したものだろう。

だから誠一も、誠一の一から連想してつけた。


「でも私の場合はもう諦めています。もしかしてハジメさんのような方だったらもっと会話ができたかもしれません」


もしかして祥子も恋をしているのだろうか。

でもその相手は祥子にとっては誠一ではなかった。


誠一は自分のこの感情が分からなかった。

あえて言葉に表せば複雑と言うものだろう。

自分の経験にはないことを考えようとするとき誠一は大抵映画を思い出す。

この場合、どの映画を連想すればいいだろうか。

『ユー・ガット・メール』。

夫婦ではないがシチュエーションとしては似ているような気がした。

でももうずいぶん前に見たからもう詳しい内容は覚えていない。

たしかあれはハッピーエンドだった気がする。

そこまで考えて、誠一はそういうところだと思った。

誠一の頭の中はいつも映画ばかりだった。

それが趣味程度に留まればいい。

でも誠一の場合はそれを遥かに超えていた。



もし祥子が本当にハジメのことが好きだったらどうすればいいのだろうか。

それが自分だと知ったら幻滅してしまうのではないか。

誠一はハジメの力を借りて、祥子との関係を修復したかった。

でももはやハジメが誠一の力を借りて、祥子との関係を始めようとしていたのだった。

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