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学園に戻ったディアンヌはルネとブランカに今置かれている状況を説明した。

もしかするともう学園にはいられないかもしれないからきちんと説明をしておきたかった。


「ディアンヌ様皇宮でのお仕事と言ってもアルベルト様付きなのですね?」

「もしかするとだけど…」

「カール様の言われる通り、そのままいくと喜ぶのはアルベルト様だけですね」


「侯爵様も思い切ったことを皇帝陛下に仰ったものね。職を辞するってすごいことよね」


「お父様は私の為に色々動いてくださったの。お母様も今まで優先出来なかったからと…」


──お姉様より私をって…変な感じだわ


「良かったじゃない。ミア様はまあ変わらないと思うけど静かなところに行くのはいいかもね」


「私はディアンヌ様がカール様と結婚されたらあまり会えなくなるのが悲しいです…」


まだ決まっていない将来を思い、寂しそうにするブランカにディアンヌは焦る。


「大丈夫ですわよ!私ブランカ様とはずっとお友達でいたいので、いつでも会いに行きます!!」

「相変わらず圧がすごいわ。ディアンヌ」


ルネが笑うのでそちらに振り向き


「もちろんルネもね!!」


3人で顔を見合い笑いあった。



◇◆◇


学園ではいつもと変わらず通常に授業が行われていた。

特別クラスではテスト順位が発表されカールがクラス1位をとり、ディアンヌが2位でアルベルトはかなり下がっていた。


授業が終わり誰にも声をかけられないように急いで教室を出ていくアルベルトにカールは声をかけた。


「ちょっと話いいか?」

「嫌とは言えないか…」


2人で人少ない場所…図書館の自習室まで歩いて行く。その間何も話もしなかったが自習室の扉を閉めた瞬間カールがアルベルトの襟元を掴む。


「おいおい一応皇子なんだけど」

「学園内は身分関係ないよ。しかも人の婚約者に手を出そうとする者には関係ない」


アルベルトは両手をあげて目を閉じる。


「話をしたいから手を離してくれ」


カールが渋々手を離すと


「今回は悪かったよ。上手くいくと思ってたけど甘かったね」

「悪いと思ってないよな」


アルベルトはフッと笑い


「何年も拗らせてきたからな。そんなにすぐには諦めきれない…」

「こちらはもう結婚まで話が出てるからこれ以上関わるな!」


カールが詰め寄って睨みつける。アルベルトが下を向いて軽く頭を振る。


「一応引くよ。父上からも釘を刺されたしね。でも今まで通りいつでも代われる用意はしておくから」


カールがさらに睨むがアルベルトは無視して出ていこうとするので


「いつまでもしつこいな!ディアンヌはずっと俺の横にいるからな」


腕を掴もうとするが、アルベルトは払ってそのまま出ていった。


──今の口ぶりだとアルベルト付きの話はなくなってる…


カールは少しホッとしたがまだ正式に聞いたわけではないから気を引き締め直した。



◇◆◇


それからしばらくは何も連絡がないままだったが、皇宮からの呼び出しでロペール侯爵は皇帝陛下と会った。





「お父様からの手紙?」


学園に知らせが着いたのはその日の夜遅くだったが、父親から報告を兼ねた手紙が届いた。


皇帝から、1ヶ月の謹慎と仕事での降格を言い渡されたと。

仕事の降格は書類上一旦その処置がなされるが、実際内容は変わらないので謹慎が解けた時には、元に戻るようだ。


蓋を開けてみれば、エリックとミアの婚約者解消と皇太子交代という結末に収まった。皇太子はアルベルトに決まった。


ミアは性格が悪いと噂が広がったが、それでもあの美貌は捨てがたいと、少し歳上の伯爵から求婚があり、どうやら話はまとまりそうだ。両親は何度も相手の伯爵にやめた方がいいと説得したらしいが、伯爵が譲らなかったそうだ。


──お姉様…大切にして頂けそうかしら?安心していいのか分からないけど、おひとりで籠らなくても良くなったのはいいこと…かしら?


最後に父親から

『もう何も心配しなくていい。ディアンヌも我慢せず幸せになりなさい』

と綴られていた。


ディアンヌはギュッと手紙を胸に抱いた。


次の日の昼休憩、いつもと変わらず食堂でカールとディアンヌはランチを一緒に食べていた。

カールの元にも連絡は来てたようで


「無事解決できてよかった」

「そうですね。カール様にもご心配おかけしました」

「心配するさ大事なディアンヌに関係することだから」


ディアンヌは前と違って甘い言葉をかけてくるカールに戸惑い気味で、顔を真っ赤にさせながら目線を外してしまった。


「ディアンヌ」


カールもそれを分かっているのか、名前を呼ぶだけでも艶がある声色だ。


「カール様…もう一度確認させて頂いてもよろしいですか?」

「何?」


ディアンヌはコホンと軽く咳払いをして

カールを見つめる。


「以前18歳で婚約破棄するという約束はなかったことにしてよろしいですか?」


「ああ、私は18歳になればすぐ結婚したいくらいだからあの約束は破棄だ」


カールは少し心配になってきてディアンヌの様子を見ながら恐る恐る聞く。


「ディアンヌも…それでいいよね?」


ディアンヌはにっこり微笑みながら答える。


「はい」

「よかった。では具体的に話を進めていこうか。次の休みにでも両親併せて…」

「急すぎますわカール様!!」

「急ではない。またアルベルトが絡んで来る前にこちらは固めておかないと」












その後もディアンヌの勘違いからバタバタがあったり、カールの嫉妬爆発などを経て学園卒業後、無事2人は結婚出来ました。


「本当に君は退屈させてくれない。これからも楽しく幸せになろう」


「はい。でも私は騒動起こしているつもりはないですからね」


カールが笑ってディアンヌを抱きしめる。


「大好きだよディアンヌ」

「私もです。カール様」





──────end

いつもブクマや評価をありがとうございます。大変励みになっております。誤字報告もありがとうございます。本編はここで終了となります。ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

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