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エピローグ ただの人として 49話 【未来への歩み】
コーヒーの香ばしい湯気が、小さな食卓に立ち昇る。
誰からも追われず、何にも脅かされない場所。大陸を壊した罪という重荷を抱えつつも、二人はもはや逃亡者ではない。ただの二人として、終わりのない日常を紡いでいる。
ジークは淹れたてのカップをクロエの前に置いた。クロエはそれを両手で包み込み、幸せそうに目を細める。
「ジーク」
「ん?」
「……ただ、あなたの名前を呼びたかっただけ」
彼女の何気ない言葉に、ジークは目尻を下げて微笑んだ。
(世界が彼女を狙うなら、何度だって壊せばいい。でも、今はそんな力も必要ない。ただ、彼女の鼓動を感じて、食卓を囲んで、同じ時間を重ねていくだけだ)
窓の外には、どこまでも青い空と、穏やかな湖面が広がっている。
今日という一日は、昨日と同じようで、昨日とは違う新しい朝だ。
ジークとクロエは、互いの手を取り合った。
二人の影が、朝日に照らされて長く伸び、重なり合って一つの道となる。
二人の新しい人生は、今ここから、この静かな食卓から始まっていく。
誰にも邪魔されない、あたたかな日々の積み重ね。それが、世界を焼き払った二人が最後に手に入れた、最強の結末だった。




