第二章24話 『8月17日⑤ 上海防衛戦Ⅰ』
秦子轩たちと戦ったあと、私は他の中国の魔法使いたちを倒し続けていた。というのも、『ゴッド・オブ・サンダー』を発動してしまったので、魔力を多く消費し続ける魔法を厳かにすることはできなかったので、最大限に利用していたのだった。しかし、そんなことをしてしまったために魔力の大半を消費してしまった。そんな私は一度、上海基地へもどることにした。高速魔法を使って街の中を駆け抜ける。途中に行われていた戦闘は適当に手を貸して終わらせながら、基地へと戻った。そこで情報を手に入れた。それは、中国魔法軍が再び集まり、上海奪還作戦を実行しようとしているとのことだった。場所は上海から西にある蘇州の湖。私の分析魔法によるとこれは中国側が意図的に流した情報で、罠である可能性が十分にある。あちらはこちら側からやってくるのを待っているのだろう。そのトラップにまんまと流されてそこへ向かっている魔法使いたちがいるようだった。魔力は減っているが、向かったほうがよさそうだ。別にその人たちを助けるわけではない。どうせ上から命令がくるだろうからはじめからそうするだけ。今度は空から目的地へと向かう。フロートと高速魔法を使ってそれっぽいところにたどり着いた。その湖上に魔法使いたちがずらりと並んで浮いている。
「やっと来たか。」
振り返り、上空にいる私を見ながら言ったのは秦子轩だった。
「さあ、わざわざあなたのためにこの場を用意した。今こそ中国の歴史に我らの名を刻む時だ!ヂィエ ファン。」
「「ヂィエ ファン!」」
彼女のあとに続いて他の魔法使いたちが一斉に魔法を第二展開させた。
「さあ私たちの成長を示す糧となれ!
私は人生を愛し、正義も愛する。
しかし、その両者を共にもつこはできないならば、
私は人生を捨て、正義を選ぶであろう。
聖なる光よ、私のもとに宿り、悪を断ち切れ!
ディバイン・プロテクション!」
光のベールが魔法使いたちを包んだ。
あれは強力な防御壁だろう。私から来るように誘っているみたい。そんなこと、後悔しても知らないんだから。
「アステカの創造神テスカトリポカよ、悪魔と化し、あらゆるものを無へ還せ、リバース!」
総司が得意な魔法を使って防御魔法を力ずくで壊す。防衛が崩れると湖上にいる魔法使いたちは二手に散開した。そして、遠距離魔法攻撃で私を地味に困らせる。邪魔で仕方がない。私は強者弱者を分けるため、ちょっと大技を出すことにした。
「冥界の覇者、ハデスに願う、
冥府に満ちる瘴気を現界させ、
力量の差を裁定せよ、
ミアズマ!」
辺りに魔の瘴気が充満し始める。この瘴気は魔力が強いほど弾かれ、弱ければ体内に吸収され猛毒となり死へと至る。敵味方関係なく発動されるので注意が必要な魔法でもある。予測魔法で状況を把握し、人数が絞れたら風を起こして空気をリセットさせた。残ったのは秦子轩ら4人と見知らぬ魔法使い4人だった。
「さあ、場は整った。どこぞの生徒会長さんたち、改めて勝負!今度は負けない。」
「そう。私たちが負けるわけない。果てるのはあなた!」
8人の魔法使いと私は詠唱する。
「時間の神クロノスよ!
時を止め、わが時を速め、
時間を支配せよ、
タイム・ルーラー!」
「ギリシア神話の地母神、ガイアよ!
母なる大地を動かし、
暴走する者を止めよ!
ゲー!」
「ギリシア神話の女神、ガイアよ!
未来を予知し、予言者たる器を分けたまえ、
ディクレーション!」
「風の神々アネモイよ!
突風を吹かせ、
あまたの槍を貫け、
スピア・レイン!」
「ギリシア神話の女神ヘカテーよ!
嵐やきらめく輝きを受け入れる胸をした、
魔女たちを導く魔術の神よ、
彼方まで精霊を先導せよ、
ヘカトス!」
「ギリシア神話のオーケアノスよ!
地の果てに流れる海流を生み出し、
世界の水を循環させよ、
オーシャン・スパイラル!」
「ギリシア神話のオリュンポス十二神の1柱、
ヘーパイストスよ!
神々の武器を創り、我に神の御業を与えよ!
オリュンポス・オブ・ブラックスミス!!」
「魔より生まれし産物、
心臓を握り、時を奪い、
悪夢を見よ、ファントム!」
「ローマの最高神ユーピテルよ、
天を操り、雷を起こせ、
天使の羽を付与し、
われの願いのために、
事象を支配せよ、
インペリアル・エンジェル・スカイ!」
全ての系統魔法の魔法が発動されるのだが『タイム・ルーラー』によってまずはその魔法使いとの戦闘に入った。ちなみに私の詠唱は終えて成立している。
「一応、名前は?」
「俺の名は、郭皓轩。先にその首を取らせてもらうぜ。」
「それは無理です。それと、この時間を作ってくれてありがとう。おかげで楽に全滅させることができる。」
「そうはさせないさ。行くぜ。」
皓轩は高速魔法で仕掛けてきた。単純なスピード勝負では私に勝てないのに。これでは天使の支配術を使うまでもない。無音の世界に剣がぶつかる音だけが響く。2、3回で相手の出方を見抜き、次手で相手を斬った。斬られて集中が切れたのか時が通常に動き始めた。その瞬間に心臓に違和感が走り、そこに水面下から得体の知れない植物が私を絡めとった。動きを封じられた上に、ファントムに心臓を握られてしまった。さらに、槍が雨となって私に降り襲い、付近に現れた渦潮は私から魔力を奪い吸収していく。黒い魔力を帯びた斬撃が私を貫き、その他様々な武器という武器で攻撃を受けた。
これが数の暴力というものか・・・。




