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エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第二章】世界大戦編 ユイサイド
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第二章23話 『8月17日④ 真珠作戦Ⅱ』

 16:00。各員は戦闘態勢をとり、水上打撃艦隊はハワイ陸地に対して砲撃を開始した。敵戦闘機は迎撃にやってくる。これに対して、日本側も戦闘機を発艦。また、敵ミサイル攻撃も行われ、打撃艦隊はこれの対処も行った。


「戦艦大和と武蔵はミサイル発射基地を先に抑えろ!」


 東郷中将はできるだけ指示を最小限にし、各艦長や司令官たちに判断を任せていた。水雷戦隊は少し先行し、戦艦はその後に続く。しかし、敵はそう簡単にやられてはくれない。ハワイ基地のあちこちで赤い光が瞬く。そして、その光は一斉に放射させ、艦隊に向けられた。


「レーザー放射か!?」


 その赤いレーザー線は砲弾を破壊し、戦闘機まで破壊した。レーザーに当たった艦艇は炎上を起こし、混乱を引き起こした。東郷中将は戦闘機を着艦させ待機とし、全艦にレーザーより逃れることを最優先とした。また、その光は眩しく、目くらましになってしまうため、多くの人を艦内待機とした。これでは攻撃をすることはできない。そこで東郷中将は将官4人で緊急連絡会議を行うことにした。


「さて、議題は承知の通り、あのレーザーをどうするかだが、何か案はないか?」

「ダメもとで一斉射撃を行ってみては?」

「それでは弾薬が無駄になってしまう。資源は宝その物だ。」


 東郷中将に阿部則任少将が案を出すが、兄の阿部正任少将が反論する。


「それなら、本部に頼んで魔法部隊を派遣してもらってはどうですか?」

「それでは時間がかかりすぎる。それに我ら海軍の名が折れます。」


 今度は宮野優作少将が提案するが、またもや正任少将に反論される。


「ならば正任少将はどうするべきだと思いますか?」


 今度は逆に宮野少将が問いかける。


「ここは思い切って上陸作戦に強行してみては?」

「部下たちに無駄死にを強いると言うのか?」

「そうとは言っていない。むしろ、上陸してしまった方が安全である可能性がある。」

「何を根拠に言っているのですか。罠が仕掛けられているかもしれませんし、上陸するにしてもまだ防衛システムは動いているのですよ!その前に沈んでしまいます!」


 正任少将と宮野少将とで論争が続く。そこに東郷中将は割って入った。


「宮野少将、少し冷静に。正任少将の案は案外いけるかもしれない。確かに防衛システムは稼働しているが、そのシステムは近づけば近づくほど破壊しやすくなるはずだ。陸上はレーザーが届きにくい。ここはかの特攻というものを信じてやってみよう。」

「中将がそう仰るなら…。」


 こうして行動方針を決議した。


 17:00。太陽が水平線に向かって沈み始めるころ、作戦行動を再開した。水雷戦隊は特攻を仕掛け、速力最大で陸地へ向かう。戦艦と空母は沖で攻撃を再開する。ただし、砲撃のみ行い、陸上施設の破壊を目的とした。レーザーについては陸上施設に含まれるが、基本的に狙うことはなかった。敵の攻撃はレーザーと陸上からの砲撃のみになっていた。レーザーを発動している間は航空戦力を使用できないのがみてわかる。

 やがて水雷戦隊は岸へとたどり着き、上陸作戦へ移行した。沖にいる艦隊は砲撃をやめ、祈るだけとなった。上陸部隊は基地入り口を発見すると、次々と中へ入っていった。基地の中央には戦闘機の離着陸する広場があり、それを囲むように基地の建物があった。管制塔及び指令室や武器倉庫など様々な場所を楽々と制圧した。なぜなら、基地の中はもぬけの殻で誰もいなかったからである。アメリカ軍はハワイ基地を捨てある程度の戦力を持って撤退していたようだった。基地の中には戦闘機や艦艇などは残っておらず、あっても弾薬や修理のための建材が残されているだけだった。上陸部隊はレーザーの機能を無効化し、これらのことを海上にいる東郷中将たち作戦本部に報告した。

 19:00頃。海上にいた艦隊もハワイ基地へと泊まり、東郷中将ら将官はハワイ島付近各地に偵察を送り、状況を確認した。その1時間後、20:00頃に各偵察隊が戻り、とりあえずの安全は確認された。すでに日没してしまったため、細かな調査は翌日以降とされ、各員は艦艇へと戻り休息をとった。



 その晩、真珠作戦の本部東郷中将と参謀本部の有賀参謀総長との間で連絡がとられた。


「・・・以上より真珠作戦は無事に完了いたしました。なお、被害としては戦闘機が26機損失、戦艦はほとんどは中破、航空母艦は戦闘機以外は目立った被害なし、巡洋艦・駆逐艦は激しく消耗し、しばらくは運用を考えたほうがよいかと思われます。」

「わかった。そっちは死者が26人で済んでよかった。こちらの情報では大宮作戦において莫大な被害が出ている。上陸作戦を仕掛けた後にグアムの地下にあった原爆が爆発し、多くの命と艦を失い、また残った者や艦艇の多くは被爆し、戦力に大きな穴が開いてしまった。」

「なんと!そんな事態が・・・。しかし、こちらも大して戦果を挙げられたわけでもなく、敵の戦力はまだまだ残っています。」

「そうだな。君たちにはしばらくハワイ基地でゆっくりと準備を整えてもらおう。新兵器の完成はあともう少しだ。それまではよろしく頼む。」

「それと、上海のほうはどうなったのですか?」

「それは・・・。」


 2人は情報の共有をすすめ、状況と今後の行動を確認しあった。


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