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エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第二章】世界大戦編 ユイサイド
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第二章2話 『教団』

 数日後。何者かが近付いてくるのを察知した。どうやらその人が私の協力者だと予測魔法がいうのでこちらから近付いて姿を晒した。その人は私の姿を見て驚いたが、すぐに感ずいて跪いた。


「貴方様は神城結衣様でございますね。私は結衣教の信者でございます。私ども結衣教はその名のとおり、貴方様を崇め祀るものであり、我々は貴方様の手にも足にもなりましょう。貴方様が世に現れたときいて、探しておりました。しかし、現在敵対する山門教が貴方様を探し、再び捕らえようとしております。私どもが命に変えてでもお守りいたします。どうか、私とともにいらしてください。」


 その私を崇めるという信者は軽く説明をしてくれたので、なんとなくは状況が分かった。それにしても、信者の格好がどことなくプライマリーの制服に似ているのは気のせいだろうか。それは置いておいて話を進める。


「つまり、あなたたちは私の味方ってこと?」

「そうでございます。味方というよりは貴方様の従者と言った方がいいかもしれません。我らに反する者は破壊の対象です。そのものたちに死よりも恐ろしい死を、どうかお願い致します。」


 もしかして、この人たちはあの夜に会った黒魔術教団じゃあないよね。なんかヤバそうな感じがする。でも、今の私はきっとそのヤバい人になってるんだろうな。なるほど。今気づいた。私は大きな過ちを犯してしまったことを。なら、この人たちを正しい道へ導いてあげよう。私を神のように信じているなら、それを利用させてもらおう。


「じゃあ、私の言うことを聞いて。」

「はい。」

「まずはその教団の人たちを全員集めて。そしてそこに私を連れて行って。」

「分かりました。では、私どもの聖典へ参りましょう。」


 信者は宝石を出して、何かの仕草をした。すると、私たちは闇に包まれて瞬間移動した。


 その場所はどうやら地下のようだった。外部からの光は一切入ってこないから、壁沿いにロウソクがともされていた。その薄暗い廊下を歩いていく信者についていく。


「ここは魔法によって空間を作られた地下です。地上から数百メートルくらいのところにあると聞きます。ここに来るにはこの石が必要なので外部の者は入ることはできません。つまり、セキュリティは万全だと言えます。」

「そう。」


 説明に対して興味がなかったので軽く受け流した。間もなくして広いところに出た。そこには多数の信者たちが整列していた。私は案内されて壇上へとあがる。そこでマイクを渡された。戸惑いを隠せないでいると、さっきまで一緒にいた信者がなんでもいいから話してと合図してきた。だから、お話を始めた。


「ん、んん。えっと、みんなは私のことを知っているんだよね?」


 ちょっぴり反応が鈍かったので自己紹介をする。


「私は神城結衣。今、予測魔法でこの時代の私に関することを調べたら、ほとんど私に関する情報は規制されているみたいだね。だから、私のことをせっかくだから話しておこうと思う。私は昔あった神城財閥の娘で、私の国では国の中枢を担っていたと思う。世界でも結構、名はあったはず。でも、訳あって私のいた国は滅んでしまった。それで国を出た私はある組織に出会った。それはプライマリーという魔法社会がまだ民主化されていない、世界魔法協会の幹部たちによる弱い魔法使いたちへの搾取が当たり前にされていた頃の反社会組織であり、革命組織でもあった。そこに私は入り、そして、長を務める人と婚約した。それから、協会と何度も各地で戦いをして、私の婚約者は死んでしまったの。さらに、副を務める人も死んでしまって、婚約者である私がリーダーに選ばれたの。でも、私にはみんなを引っ張れるような力はなかった。私のせいで仲間がみんな殺されてしまった。事実上プライマリーが崩壊し、私は1人で世界と戦い、そして、捕まった。そして今も追われている。みんなは私の味方なの?」


 と訊いたところ、肯定してくれた。


「じゃあ、今から私がここの指揮を執る。私がリーダーになる。みんな、付いてきて!」


 歓声があがる。それを制してから話を続ける。


「じゃあ、山門教との対話の用意をして。そこでなんとか分かってもらえるようにするから。お願いね。」


 すると、幹部の人なのか、あれこれと支持をして行動に移った。



 そして、会談は開かれることになった。こんなにあっさりと行くものなのか。私は信者たちを率いて会談場所へ行った。しかし、そこでは山門教徒が武装、協会の部隊まで配備されていた。どうやらこちら側のスパイは捕まってあちらの情報が漏れなかったようだ。黒と白の集団が向かい合う。これはまた分断の危機だ。仕方ない。会談でやるつもりだったのをここでやってしまおう。


「アクティベーション!」


 魔法を展開させると、あちら側がやる気になる。こちら側も魔法を使おうとしたが、それは私が止めた。


「私は戦うつもりはない。だから、あなた達が崇拝する者を出してあげる。出てきて、織田山門。」


 光のなかからあの白い豪華な制服を着た山門が出てきた。それを見た山門教徒は皆一斉に跪いた。


「ふん。状況は分かっていたが、まさか俺の宗教ができるとはな。」

「何言ってんだ、おまえなんか結衣にはとうてい及ばない。」


 そう言って現れたのは宮沢総司だった。


「総司。勝手に出てくるなよ。術者である結衣の名が廃るぞ。」

「おまえが呼ばれたんだ。俺が抑止力としていないとダメだろ。」

「おまえみたいに勝手に魔力集めて、リンクを切るようなことはしないさ。そんなまわりくどいことをしてたから上手くいかなかったんだろ?」

「こいつ・・・。」

「ちょっと、勝手に出てきて勝手にケンカしないで。」


 今にでも戦い始めそうな二人を止める。


「お?これは新生プライマリーか?」

「ちょっと総司は黙っててよね。」

「結衣。いつからそんなになったんだ?」


 総司は私の肩に手を置く。ちょっとびっくりしたけれど、スルーする。


「山門と私で今のこの分断を解消するよ。」

「まあ、それが神になった俺たちの義務といったところか。」

「神だと!?やっぱおまえ、ここで消してやる。」

「もう!総司!」

「わかったわかった。大人しくしてるさ。」


 さすがに怒った私に総司は悪ふざけをやめた。これでようやく本題に入れる。山門と私はそれぞれの信者に説得を始めた。


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