表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第一章・上】 魔法社会革命編
38/158

第一章34話 『夜襲!』

 ―世界魔法協会にて―

「さあ、今この時、戦いで疲れているところを襲ってやつらを殲滅する!協会存続をかけて、一人残さず捕まえろ!やむを得ず死んだ奴は仕方がない。ここでテロリストに終止符を打つぞ!全員、出撃開始!敵は日本の山奥にあり!」


 サブリンが出撃命令を出すと、あちらこちらで空間を繋げたゲートが現れ、サブリンやシャルルを筆頭に飛び込んでいった。山門は全員の出撃を見届けたあと、最後に乗り込んだ。



 ―プライマリー本部―

 満月の夜のなか、プライマリーのメンバーは戦いの疲れを癒すために皆休息をとって寝ていた。そんななか、協会の面々は静かに屋敷を囲み、陣をとる。そして、サブリンの合図とともに一斉に魔法で火を放った。四方八方から火を受けた屋敷は結界が張られていても、すぐに燃え盛ってしまった。プライマリーのメンバーは、飛び起きてプライマリーの制服を着ると、戦闘に身を投じた。


 結衣もベッドの上で目を開き、予測魔法で状況を確認していた。そこに、総司が部屋に乗り込んできた。


「結衣!大丈夫か?」


 珍しく声を荒くさせていた。


「私は大丈夫。」

「なら良かった。おまえは葵たちと一緒に隠れていろ!俺は外に行って、蹴散らしてくる。」


 総司の後ろには葵たちが立っていた。私は魔法を使って一瞬で制服に着替えた。総司は私のことを葵に託して走り去って行った。私は葵に質問をする。


「外で戦っているのは誰々なの?」

「ううーん、ここにいるのは・・・三番隊と二番隊だけだからあとはみんな戦っているかな。」


 みんなが戦っているのに副頭首である私が守られているわけにはいかない。そう思った私は、


「アクティベーション!」


 魔法を展開させて、高速魔法で外に飛び出した。それを見て仕方なく葵も参戦することにした。


 燃えていた屋敷の大部分は葵の魔法で消火したらしく、燃えていたのは、舞散った破片が地面に落ちて燃えていたものだけだった。その炎を明かりにして、互いにぶつかり合っていた。そのなかに総司の姿があった。総司はこっちを見て、驚いた顔をしたが、すぐに笑みが浮かんだ。そんな総司の後ろから最高魔法師のサブリンが襲いかかってきていた。それに総司が気づいていないと感じ、私は高速魔法で移動し、サブリンの刃を受け止めた。総司はすぐに後ろを振り向いて誤ってから礼を言うと、目の前の敵を切り倒した。そして、私をフォローしようとやってくる。そのときだった。最高魔法師・シャルルによる暗闇魔法で総司の動きを止められた。思わず声をもらした総司は胸に手をあてて跪く。苦しそうな声をもらしながら、苦痛に耐えていた。総司の胸からは血が出ていた。心臓を握り潰されていた。


「総司!!」

「総司いぃぃぃ!」


 私のあとに大石も叫んで、二人で救出に向かう。私はまずサブリンを追い払い、高速魔法で総司のもとに駆けつける。大石は、シャルルのところへ行き、まわりの取り巻きの魔法使いたちと戦いながら、シャルルを追い込んだ。総司への干渉は途絶え、総司は息を整えている。私は、総司に回復魔法をかけていると、総司が突然立ち上がって、私と立ち位置を交換させた。総司に突き飛ばされた私は後ろで手をついて、前を見上げると、総司の身体にサブリンの剣が突き刺さっていた。総司は口から血を吐き出し、私を見た。サブリンは剣を抜いて、総司を私の方へと蹴っ飛ばすと、私の動向を見ていた。私は総司を受けとめて、抱き抱えて、回復魔法をかけた。泣きながら何度も何度も総司の名前を呼んだ。総司は目をつむったまま動かない。私は、駆けつけた葵に総司を託すと、立ち上がって、剣を強く握りしめた。怒りの眼差しをサブリンに向けると、殺気が充満し、辺りに電光が走り始めた。声を上げて、魔力を充満させる。空気が世界が不穏へと変わっていった。


 葵に回復魔法をかけられていた総司は、目を覚ました。そして、葵の膝の上から見上げ、暴走しかけている結衣を見ると、歯を噛み締めた。それから、結衣に向かって叫ぶ。


「結衣!落ち着け!俺は生きている!俺の話を聞け!!」



 結衣は、総司の声を聞くことなく、暴走に身を任せていた。結衣は電光に満ちた剣を再び強く握りしめるとサブリンへと高速魔法で飛び込んでいった。サブリンは予測魔法で結衣の攻撃を読み、かわしつづけるが、あまりの速さに追いついていけなかった。サブリンが距離をとると結衣は詠唱もなしにアパートファイアボールをくりだした。炎の塊はサブリンのまわりに落ち、サブリンの動きを封じ込めた。そこに結衣が向かおうとすると、シャルルによるさっきの総司に使った魔法で結衣の心臓を掴む。その動きが鈍った瞬間を狙って、山門が介入し、結衣に剣を突き刺した。さっきの総司の姿がそっくり再現された。結衣は血を吐き出しながらも剣を山門へと振るが、山門は当たる前に剣を抜いて距離をとった。結衣はそのまま崩れ落ちる。そんな結衣を総司はなんとか受け止めた。目を開けた結衣は総司が生きていることを知った。そして、総司に力なく抱きついた。


「ありがとう、結衣。俺のために戦ってくれて。少し、休んでてくれ。あとは俺がやる。」


 総司はそういって、二人のまわりに警戒していた大石と葵をみた。結衣は静かに目を閉じた。総司は結衣を地面に優しく寝かせると、立ち上がって言った。


「葵。結衣のことを頼む。」

「うん。」


 さすがの葵も大人しく総司に返事をした。それから、総司は大石に向かって言う。


「大石。一緒に頼む。」

「ああ。分かってるよ。」


 総司は魔法を展開させた。


「アクティベーション!」


 剣を握って山門を睨みつける。


「よくも俺の結衣を傷つけてくれたな!たっぷりお返しさせて頂こうか!大石、サブリンは頼んだ。」


 そう言われて大石は何も言わずにサブリンのところへ一瞬で移動し、戦闘を始めた。対して、総司は、魔法を唱え始めていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ