第一章25話 『アメリカ支部 七番隊突撃!』
アメリカ支部をまとめる俺は、藤堂百合と齋藤リリィたちに任せて見物をしていた。それは、敵大将のメイソンへの道が開けるのを待っているのと、単に戦いの手柄を俺がもらうためだ。そのために俺は、支部の建物の屋上に司令本部をたて、高みの見物をして、戦いに出る好機を伺っていた。
「さて、そろそろ整って来たか。」
プライマリーの制服の胸に付けてあるシンボルバッチを整えて、隊士達に声をかける。
「さあ、いよいよ俺たちの出番だ!今まで、頑張ってたやつらに勝利をプレゼントしてやろうぜ!行くぞ!」
アーサーは、隊士達を背に、戦場を見渡して魔法を展開させた。
「アクティベーション!」
アーサーの手に黄金に輝く勝利の剣・エクスカリバーが現れる。キラキラと光り輝くその剣は、金色の髪をしたアーサーにとてもよく似合い、さらに、プライマリーの暗い制服でいっそう眩しく見えた。アーサーは、それを強く握って屋上から飛び出した。
アーサーたちは、百合とリリィたちの背後に舞い降りた。
「ローマ神話の軍神・マーズよ!
今ここに聖なる戦いを誓おう!
勇敢なる戦士よ、我が魂に宿り、
我が母国の領土を拡げよ!
ストラテジー・マジック・スピリット!」
アーサーの目が赤く輝く。この魔法によってアーサーの魔力は増強され、また、力強くなり、通常の攻撃でも人間以上の威力が出るようになる。
「行くぞ!」
アーサーが地面を蹴って敵陣へと突っ込む。アメリカ兵の陣を切り開き、その後に七番隊の隊士達が続く。最後尾には、副隊長のアドルフォが続いて、後ろから拳銃で相手を牽制する。そして、ついに七番隊1団はメイソン直属の抜刀隊と対峙した。その奥には、メイソンがアーサーを睨んでいる。
「お前のようなチャラチャラした輩に追い詰められるとはな・・・。だが、俺、直々に鍛えたこの抜刀隊を敗れるか?それは、否で無くてはならない。このメイソンの部隊にいる限り、負けは許さん!」
メイソンがすごい威圧感を出して、抜刀隊へとプレッシャーをかける。しかし、抜刀隊はそれに動じることなく、魔法を一斉に展開させた。
「「アクティベーション!」」
もともと持っていた剣を鞘から抜き、見栄えよく、端から順に構えた。まさに、魔法使いによる軍隊が編成されたようだった。アーサーたちも陣をとり、先制攻撃を仕掛けた。
抜刀隊は、全部で9人、3人1組で構成されている。これは、本来のプライマリーの部隊編成の時に基盤とした編成で、この体制が続いているのは、各隊によって違う。ちなみに、アーサーたち、七番隊は、一人一人が別々に戦う、1対1の体制をとっている。
抜刀隊は、3人で一人を囲むようにして、襲ってくる。おまけに、周囲は、敵に囲まれているため、四方八方から攻撃を受ける。隊士達は、抜刀隊だけでなく、外側のアメリカ軍や魔法協会の連中を相手にしなければならず、手一杯だった。
それを見たアーサーは、アドルフォに援護を頼んでから、メイソン目掛けて走っていった。
「さあ、見てるのも大概にしてここからはお前も戦えぇ、メイソン!」
メイソンは、落ち着いた様子で構える。
「お望み通り、相手してやろう。アクティベーション!手加減は無しだ!痛みも無しにすぐに殺してやろう!」
巨体な身体をしたメイソンは、魔法を唱える。
「マヤの創造神、フナブ・クーよ!
形無くして、天から見守る至上の神、
その唯一無二の自然なる力で、
我を堅く何にでも動じない神秘なる鎧を創りたもう
アーマー・オブ・オールネイチャー!」
メイソンの身体が熱を出し、鋼鉄の鎧が生成されていった。蒸気が鎧から出ていてとても熱そうだが、メイソンは何も動じない。そう、この鎧こそがメイソンが強いと恐れられている理由の一つだった。
アーサーは、構わず、魔法を唱える。
「オリュンポス十二神のアレスよ!
戦いの神であり、狂乱の城壁の破壊者よ、
粗雑な荒ぶる力で絶壁を壊せ!
プレシピース・バースト!!」
地面に割れ目が走り、メイソンの元へと辿り着く。メイソンは、その圧を腕をクロスして凌いだ。その間に、アーサーが距離を詰めて、メイソンへと、ひたすらに斬りかかる。メイソンは、剣を抜かず、再び自慢の鎧だけで防ぐ。そして、ついにメイソンの鎧には、傷一つも付かなかった。
果たして、この二人の戦いはどうなるのでしょうか?それは、またいつか。
さて、次回は、ようやく主人公・神城結衣と頭首の宮沢総司の場面です。久しぶりですね!