第一章22話 『アメリカ支部 八番隊VS.アメリカ陸軍』
・・・私は、八番隊隊長の齋藤リリィ。暗闇魔法の使い手。愛刀は、摂州住池田鬼神丸国重っていう。これは、新撰組の三番隊隊長の斎藤一が使っていたとされているもの。
私は、今、アメリカに来ている。アメリカは、私にとっては、思い出の場所。それは、以前にここに住んでいたから。だから、私は、英語を話すことは容易くできる。
さて、七番隊隊長のアーサーが、大きく勝利宣言をした。だけど、まだ、戦いは始まったばかり。私は、この戦いがちょっとだけ楽しみにおもう。日本で暮らしていた時の唯一の友達だった、藤堂百合と一緒に戦うことができるから。そんな百合が、隊士たちに指示を出して戦闘を始めたようだ。相変わらず、剣術が、戦うのが好きみたい。自分は、魔法を使わないで、刀だけで戦っている。
それじゃあ、私達も始めよう。目の前の敵がこちらの様子を伺っている。アメリカ陸軍と言っても、魔法の使えないただの人間。なんも怖くない。私も百合に負けずに頑張ろう。
「全員、突撃開始!前の敵を蹴散らしなさい!それから、花音は、いつもどおりバックアップをよろしく。」
「うん、分かった。後ろは私に任せて。親友との共闘、楽しんでくださいね。ああでも、無理のし過ぎはダメですよ。」
副隊長の花音が答える。それから私は、敵陣に突っ込んで行った。
「天然理心流、相手を一掃せよ、乱懸剣!」
目の前の敵を、防御壁ごと斬り払った。このくらいのことは、一撃で十分。私は、様々な人と戦ってきた。そして、いろんな戦い方を知っている。たぶん、頭首の総司よりも戦いについては詳しいんじゃないかな、と思う。敵の陣地に穴が空いたところで、私たちは、そこに入り込み、アメリカ陸軍を一掃する。
「天然理心流、敵を無力化せよ、青眼剣!」
敵の持っている武器を無効にする。それから続けて、
「天然理心流、刀抜様之事!」
喉元を襲い、二撃目に相手の手首を斬る。こうすることで、前線にいたアメリカ陸軍の歩兵隊を無力化する。次の相手は戦車のよう。例え、戦車になろうが関係ない。ただ斬るだけなのは何も変わらない。
「神道無念流、自然の流れに従い、身を任せる、立居合、十二剣!」
戦車の砲塔を無力化させる。それから、
「示現流、力強く、初太刀で決める、一の太刀!」
戦車をひとつずつ潰していく。それから、後ろに控えていた軍人たちをやる。
「北辰一刀流、奥義、蓮折!」
で、先制攻撃をしかけ、
「斎藤一流、左片手一本突き!」
新撰組の斎藤一が得意としてた技で片をつける。
私は、生まれて小学校に入る前に、お父さんの仕事の都合でアメリカへと移り住んだ。英語が話せない私は、アメリカの小学校に入っても、ひとりで、友達がいなかった。私は、お父さんの勧めで剣術を学んでみた。きっと、後に役に立つだろうと見込んでくれてたと思う。私は、インターネットを使って、道場に通わずに独学で剣術を学んだ。
それから、中学になって、お父さんの都合で日本に帰る時があった。日本の道場で試合をたくさんした。その時に、私の噂を聞いた百合が対戦を申し出てきた。私は、試合に初めて負けた。だけど、初めての友達ができた。日本にいる間、百合と一緒に道場に通った。とても楽しかった。だけど、楽しい時間は長くは続かなかった。アメリカに帰ることになり、私は百合にお別れを告げた。百合は、まあ会おう、そして、またお手合わせ願いたいと言ってくれた。
私は、アメリカに帰っても剣術を独学で続けた。そんなある日に、日本からの噂を聞いた。それは、百合のご両親や道場のことだった。それを知って心配した私は、親を説得した。百合を助けようと。だけど、親は反対するどころか、協会の立場をとった。親は、協会に務める人。それは当たり前のことだった。それでも、私は、親の都合よりも百合の方を優先した。だから・・・
だから、私は・・・
親を殺した。
大切な、たった一人の親友を助ける、そのために。
その後、日本に渡り、百合を探し歩いた。
そして、ある雨の日、私の前に、百合は現れた。百合は傘をささずに、男の人とともに立っていた。そして、静かに手を差しのべてきた。
「久しぶり、、、リリィ。一緒にいこう。」
そのときの百合は暗かった。私の目的は、ただ一つ。百合を助けて、支えてあげること。だから、両親を殺してまでここまできた。私は、百合の手をとった。
「うん。」
そこで、初めて二人の目が合った。百合の目は、何かを失った闇色をしていたけど、その奥には、固い決意をした強い光があった。
こうして、私は、雨のなか、百合と合流し、プライマリーに参加した。




