第一章19話 『アメリカ支部 九番隊VS.魔法協会アメリカ陸軍』
今日の日付は7月22日、だったと思う。プライマリーの創設以来、初の大規模な作戦になるだろう。私は今、アメリカ支部に応援できている。アメリカ軍相手では、さすがに現地の戦力だけでは足りないのだろう。私は、正直、ここにこれて嬉しく思う。なぜなら、それはここの戦場には強い人たちがたくさんいるからだ。しかも、魔法を使えない軍人もいるから、武器同士、剣と剣とで交わることができる。わくわくして仕方がない。でも、私は九番隊の隊長を任された身でもある。だから、あまりはしゃぎ過ぎないように気をつけなくては。ここの長であるアーサーは、強気でいる。先程の言葉をきけば、簡単に片付けることが出来るらしい。そうされては困る。だから、私は、部下たちに指示を出す。最前線で戦え、と。だからといって、私は部下たちを無駄死にさせるつもりはない。私が敵全員を斬り倒す。さあ、始めましょう。楽しい楽しいパーティーを。私を楽しませなさい。
「アクティベーション!」
魔法を展開させ、刀・上総介兼重を手に取り、構える。そして、副隊長の霧先萌花に、声をかける。
「準備はできたわ。あとはよろしく。」
少し後ろいた副隊長の萌花は、魔法を発動させる。
「アクティベーション!
哲学者・ヘーゲルは言った、世界史全体のそれぞれの段階は、絶対精神の理念における必然的な契機であるっと、
あらゆる存在を統一させ、わが精神のもとに世を動かせ、ヴェルトガイスト!」
彼女の前に浮かびあがったのは、チェス盤だった。その上には、現在の戦況と同じように駒が配置されている。これを動かして、彼女は敵を操ることができるのだ。もちろん、敵だけではなく、味方やいろんなものまでも動かすことができる。このようにして、彼女は敵を操り、私の周りへとこさせ、私はその敵を次々と斬っていく。こんなに人を斬ったのは久しぶりだ。今から、約1年前のことだった。
私は、魔法社会の一般家庭に生まれた。初等部から高等部までは東京の魔法学園に通っていた。私は、小さいころから剣術を習っていた。北辰一刀流の道場に通い、剣術を習得した。今では、免許皆伝ももっている。他流試合では、八番隊隊長の斎藤リリィと試合をしたこともあった。私は、小さいころから剣術の才能を開花させ、負けることはほとんどなかった。だから、リリィとの試合も負けることはなかった。だけど、リリィはいろんな流派の技を使ってきて、とても手強い相手だった。だから、私たちはお互いライバルとして、親しくなった。そのあと、リリィがアメリカに留学にいき、私は日本に取り残された。高等部は、一人で過ごしていた。そんなある日、一人の魔法使いから誘いの手紙が届いた。最高魔法師、メイソンからであった。私の剣術を気に入ってくれたようだった。しかし、私はそれを断った。そのあと、私が通っていた道場に魔法使いの剣客集団が現れた。これらは、道場の同胞たちを斬り殺し、おまけに師匠まで殺した。私へのみせしめとして。私はひどく怒り狂った。だから、わたしは道場でたったひとり生き残った者として、道場を土足で汚した彼らを斬った。斬って斬って斬りまくった。その後、道場をそのままにして家に戻った私がみたのは、両親の死体だった。二人とも内臓をえぐられ、長時間苦しんだように見えた。やつらは私を極限まで追い込んだ。そんなところにわれらの頭首、宮沢総司が私の前に現れた。彼らは、私と同い年、同じ学年だった。そして、一緒にやつらを倒すことを約束してくれた。私はずっとやつらを殺したかった。
そして、いまようやくその願いが叶い始めている。こうして、何人もの協会の人間を斬ることで救われるような気がしたのだ。むしろ、こうすることこそが幸福であると感じるかもしれない。私は今、すごく幸せだ。まだ戦いは始まったばかり。まだまだ楽しい時間は続く。
「北辰一刀流・秘奥義、星王剣!」
百合は、すばやい動きで、細長い上総介兼重を使い、敵を切り倒した。そう、戦いはまだ始まったばかりなのである。